ユーロ イベントの狭間でユーロはもみあい(週報8月第5週)

先週のユーロは、月曜はじり高の流れとなりましたが、その後金曜のパウエル議長の講演まで1.1730〜80のレンジの中でまったく方向感が見られない展開が続きました。

ユーロ イベントの狭間でユーロはもみあい(週報8月第5週)

イベントの狭間でユーロはもみあい

〇先週のユーロ、金曜のパウエル議長講演まで1.1730〜80のレンジ内で方向感見られず
〇議長講演、市場参加者多数はハト派と受け取りユーロ買いに
〇今週はドイツ、フランス、ユーロ圏CPI速報値に注目、高めなら来週理事会に向けタカ派的な思惑も
〇米国雇用統計はよほど予想からずれない限り方向性を決定づけるものにはならないとみる
〇今週は1.1730レベルをサポートに、1.1830レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、月曜はじり高の流れとなりましたが、その後金曜のパウエル議長の講演まで1.1730〜80のレンジの中でまったく方向感が見られない展開が続きました。ECBが緩和継続を示す中で米国の金融政策に変化があるのかを見極めたいという動きでしたが、個人的には予想通りですが、パウエル議長らしくハト派スタンスは崩さずに年内テーパリングのみ示す内容に留まりました。

それでも年内テーパリング開始を示しただけ、議長としては一歩進めたなという感じでしたが市場参加者の多数はハト派的と受け取り、ECBとの温度差もあまり広がらずということでユーロ買いに動いた一週間でした。ただ、今週の米国雇用統計と14日CPIの間となる来週9日にECB理事会がありますので、ECB理事会で多少でもタカ派的な意見が出てくるようだとユーロ買いとなりそうですし、特に変化が見られなければ9月22日のFOMCに向けてユーロ売りとなる可能性もありそうです。これについては来週もう一度考えます。

今週は主要国のPMI改定値が目立ちますが、それ以上にドイツとフランス、ユーロ圏のCPI速報値の注目度が高いでしょう。それぞれ前月と同程度でまちまちの予想となっていますが、原材料や輸送費の上昇が昨年以降継続しているため、高めのCPIが出てくると来週の理事会に向けてタカ派的な思惑が出てくる可能性があります。また今週は比較的順調な景気回復を見せる北部ユーロ圏の中銀総裁の講演が続きますので、これらの講演にも一応注意しておきましょう。

そして米国雇用統計はよほど予想からずれない限りは一時的な動きはあっても、方向性を決定づけるというほどのものにはならないと考えています。テクニカルにも見ていきましょう。日足チャートをご覧ください。

イベントの狭間でユーロはもみあい

先週と同じ6月下旬からのレジスタンスラインと7月上旬からの安値を結んだラインによる拡散型のウェッジ(ピンク)を示してあります。また下側ラインと平行なライン(青)も追加してみました。現状ではどちらもあまり離れてはいませんが、7月高値と8月安値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%レベルへと戻してきたことを考えると、そろそろ反落する動きが出てもテクニカルにはおかしくありません。

下値は先週の動きを見ている限り1.1730レベルがかなり底堅い印象でした。今週はこの1.1730レベルをサポートに、青のレジスタンスが位置する1.1830レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円の日足チャートを見てみます。

イベントの狭間でユーロはもみあい 2枚目の画像

6月中旬高値以降の高値を切り下げる流れは続いているものの、レジスタンスラインは上抜けてきたことがわかります。下げが継続するとなると8月初めの高値を超えないことが大前提となりますが、7月末の高値と8月安値との78.6%(61.8%の平方根)戻しが129.99と8月初めの高値圏と一致しています。130円の大台とも重なっていることを考えると130円の大台を上抜けない限りは下降トレンドが継続しているという見方を続けたいところです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月30日(月)
**:** LDN市場休場
18:00 ユーロ圏消費者信頼感
21:00 ドイツ8月CPI速報値 ☆

8月31日(火)
15:45 フランス7月PPI
15:45 フランス4〜6月期GDP改定値
15:45 フランス8月CPI速報値
16:55 ドイツ8月失業率
18:00 ユーロ圏8月CPI速報値 ☆
18:00 オーストリア中銀総裁・オランダ中銀総裁講演 ☆

9月1日(水)
15:00 ドイツ7月小売売上高
15:00 英国8月住宅価格
16:50 フランス8月製造業PMI
16:55 ドイツ8月製造業PMI
17:00 ユーロ圏8月製造業PMI
17:30 英国8月製造業PMI
18:00 ユーロ圏7月失業率
21:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆

9月2日(木)
18:00 ユーロ圏7月PPI

9月3日(金)
16:50 フランス8月サービス業PMI
16:55 ドイツ8月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏8月サービス業PMI
17:30 英国8月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏7月小売売上高
21:30 米国8月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月23日(月)
ユーロドルは終日ユーロ買いの動きが続きました。欧州市場までは日経平均上昇による円売りの動きがユーロ円の上昇にも繋がったと見られ、米金利とは離れた動きとなりました。NY市場ではドル円とドルの方向を揃えてのドル売りとなりましたが、背景となった米金利低下は週末のジャクソンホールを控えてややタカ派に傾いた市場参加者のポジション調整となっていました。

8月24日(火)
ユーロドルはNY市場まで小刻みな上下はあったものの比較的小動きのままの推移を続けました。NY市場ではドル売りの動きから1.1765レベルの高値をつけた後はあまり下げず、底堅い地合いのままで引けました。

8月25日(水)
ユーロドルはNY市場まではドルとしての動きがドル円と似たような状況でしたが、動きは鈍く1.17台半ばを中心に狭いレンジでの取引に終始していました。NY市場に入りドル買いの動きから1.1726レベルと日中安値を更新したものの、その後は底堅い株価の動きもあり、ドル円だけで無くユーロ円でも買いが入ったことで、ユーロドルは1.1774レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。

8月26日(木)
ユーロドルは金曜のパウエル議長講演を前に動きが鈍く東京市場ではほとんど動きが見られませんでした。欧州市場に入りドル買いの動きから軽い押しを挟んだ後に1.1779レベルと週間高値を更新しましたが上値もまた重く、1.1746レベルへと下押し後にもみあいのまま引けました。

8月27日(金)
金曜のユーロドルはNY市場までほとんど動かず、NY市場朝方に地区連銀総裁のタカ派な発言が続いたことからドル買い・ユーロ売りの地合いでパウエル議長講演を迎えました。議長講演では年内のテーパリング開始を適当としながらも利上げのシグナルとはならないとし、従来のハト派スタンスを踏襲。講演前にタカ派発言で動いていたこともあって、その後はドル売り・ユーロ買いが続きユーロドルは1.1802レベルと週間高値を更新し、高値圏での週末クローズとなりました。

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