トルコリラ円見通し 8月20日早朝の一時的急騰時高値に迫り13円台維持
〇トルコリラ円、8/26夕刻に高値13.19をつける、その後伸びず深夜13.06まで下げるも13円台を維持
〇対ドル、8/26夕刻に高値8.32へ上昇したが、夕刻以降は上げ渋り、日足はわずかに陰線引け
〇本日のパウエル議長講演を前にドル安一服の様相
〇来週発表の4-6月期GDP・8月インフレ率、結果次第ではトルコ金融政策やリラの動きに影響も
〇13.15以下での推移中は下向きとし、13.05割れから13.00前後試しを想定する
〇13.15超えからは13.20試しを想定、13.20前後は反落警戒とする
【概況】
トルコリラ円の8月26日は13.19円から13.06円の取引レンジ、27日早朝終値は13.10円で26日終値13.11円からは0.01円の下落だった。
8月20日早朝の一時的な急騰で13.24円の高値を付けたところから夕刻安値12.74円までいったん下げてから上昇に転じて23日から25日まで日足は3日連続陽線で高値を切り上げてきた。26日も夕刻にこの日の高値となる13.19円まで続伸したがその後は伸びずに深夜に13.06円まで下げ、日足はわずかに陰線で前日比もマイナスで終了したが、13円台を維持した。
為替市場全般では先週末の20日夜でドル全面高が一服、週明けの23日からはドル安基調での推移に入りドル/トルコリラでもドル安リラ高での推移が続いたが、27日の米連銀パウエル議長講演も迫る中でドルストレートでのドル安に一服感が出てドル/トルコリラが上げ渋りに入り、ドル円は米長期債利回り上昇基調を背景に110円台序盤にある19日以降の上値抵抗帯突破を試すところへと上昇したものの突破へ進めなかったことでトルコリラ円も13.20円を超えて続伸するのは時期尚早として利益確定売りに圧された印象。
【ドルストレートでのドル安一服、パウエル議長講演から仕切り直し】
ドル/トルコリラの8月26日は8.40リラから8.32リラの取引レンジ、27日早朝終値は8.38リラで前日終値8.36リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
8月20日早朝に一時的なドル安リラ高により8.25リラへ急伸してから20日夕刻に8.55リラまで反落し、その後は20日の高安レンジ内での推移が続いている。8月23日から25日までは3日連続陽線で上昇し、26日も夕刻にこの日の高値となる8.32リラへ上昇したが、夕刻以降は上げ渋りとなり日足はわずかに陰線引けで前日比も若干のマイナスとなった。
6月11日高値8.25リラから6月25日の史上最安値8.79リラへ下落した後はこの高安レンジ内での推移であり、8月3日高値8.44リラ及び8月20日の一時的急騰時の高値8.25リラも新たな高値更新へは進めずに壁を作っている。
8月27日夜にパウエル米連銀議長の講演がある。ジャクソンホールでの議長講演はこれまでも重要な米連銀の姿勢変更のヒントを与えるものとして注目されてきた。米長期債利回りはここ3日間で上昇基調にあり米連銀の量的金融緩和縮小開始を想定した動きに入っている。先週のドル全面高から今週はドル全面安へと風向きがいったん変わったものの26日夜からはユーロが反落、ポンドも大きく下げるなどドル安基調継続は議長講演を見定めてからとしてドル安にはブレーキがかかっており、ドル/トルコリラも20日からの上昇一服に入りつつある印象だ。
【4-6月期GDP発表から8月インフレ率発表へ】
来週は9月1日に4-6月期のトルコGDPが発表される。コロナ禍中においてもトルコのGDP回復は顕著であり、1-3月期は前期比で1.7%、前年同期比で7.0%成長を実現している。前年同期比は昨年4-6月期にコロナショックを受けてマイナス10.3%へ急降下したが、その後は6.3%、5.9%、7.0%と堅調だが、4-6月期の市場事前予想は21.7%を見込んでいる。コロナ不況からいち早く脱却した中国でも1-3月期は18.3%、4-6月期は7.9%であり、ワンテンポずれての回復となるトルコが4-6月期に20%を超えるなら中国以上の回復力ということになる。予想に近いか予想を超える場合はリラ買い材料として急伸の可能性もあるところだ。
9月3日には8月のトルコ物価上昇率の発表がある。7月の消費者物価上昇率は前年同月比で18.95%へ上昇して政策金利の週間レポレート19.00%への余裕が乏しくなった。8月の消費者物価上昇率に対する市場の事前予想は現時点でまだ集計されていないが、仮に19%を超えるようだと実質マイナス金利状態の発生となりトルコ中銀への利上げ催促的なリラ売りが発生する可能性がある。逆に7月よりも伸びが鈍化すればトルコ中銀は利上げ要求圧力からひとまず解放されるが今度はエルドアン大統領による利下げ要求がエスカレートする可能性も出てくるため難しい舵取りが強いられる。
【6月以降のやや底上げ型の持ち合いからを抜け出すか】
トルコリラ円は2月16日高値15.26円と3月19日高値15.13円をダブル天井として下落してきたが、6月2日安値12.44円と6月21日安値12.48円をミニダブル底としてジリ高の推移に入ってきた。これまでは6月2日安値から6月21日安値、7月8日安値12.55円、8月9日安値12.67円と安値を切り上げ、8月20日に乱高下した際の安値も12.74円にとどまって底上げパターンを維持している。一方でこの間の高値は6月11日の13.21円を8月20日の一時的急騰時に付けた高値13.24円で上抜いておりやや右肩上がりといえるが、4月29日の戻り高値13.38円や5月18日高値13.14円を含めて13円を超えたところは戻り売りにつかまっている。
8月20日高値は一時的な急騰に過ぎないが、8月20日高値を超える上昇を実現すれば13円台序盤で売られてきた流れから脱却する可能性も開けるが、逆に8月20日安値12.74円を割り込むと底上げパターンも崩れ始めて6月2日安値からのややジリ高の展開も一巡して下落期に入る可能性も浮上してくる。
次回のトルコ中銀金融政策決定会合は9月23日に予定されていてかなり間があるため、利上げ催促的なリラ売りが発生する場合には下落圧力もかなり厳しくなる可能性も考えられる。ジリ高基調もすでに3か月に迫っており、現状の緩やかなジリ高基調から一歩抜け出してゆくのか、下落再開へ進むのか、27日のパウエル議長講演、来週のトルコGDPとCPI発表を見ながら秋相場への方向性も決まってくるのだろうと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月20日早朝に一時的なドル安リラ高を背景に急騰したところの高値からいったん20日夕刻へ下げ、その後に13円到達へ戻してきたため24日午前時点では20日夕安値を起点として強気サイクル入りしているとし、高値形成期を25日早朝から27日朝にかけての間と想定してきた。
26日夕へ高値を切り上げてから反落しているので26日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は27日夕から週明け30日にかけての間とし、すでに26日深夜安値でボトムを付けた可能性もあるところのため26日夕高値を超えないうちは一段安余地ありとするが、26日夕高値超えからは新たな強気サイクル入りとして31日夕から9月2日夕にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では8月26日夜への反落で遅行スパンが悪化したが先行スパンを上抜いた状況は維持している。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが再び好転するところから上昇再開とみるが、先行スパン転落からはいったん下落期に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は26日夕高値形成時に70ポイントを超えたが23日に70ポイントを超えて以降は指数のピークがほぼ横ばいにとどまり2弱気逆行気配となっていたところから26日深夜には50ポイント割れまで低下した。このため60ポイントを超える反騰からは上昇再開とみるが50ポイント以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは下向きとして30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.05円を下値支持線、13.20円を上値抵抗線とする。
(2)13.15円以下での推移中は下向きとし、13.05円割れから13.00円前後試しを想定する。13.00円前後で買い戻しが効かない場合は12.95円前後へ下値目途を引き下げる。また13.10円以下での推移なら週明けは安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.15円超えからは13.20円試しを想定する。13.20円前後は反落警戒とするが、さらに伸びる場合は13.25円前後試しへ上値目途を引き上げる。13.25円以上は反落警戒圏とするが13.15円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月27日
16:00 8月 経済信頼感指数 (7月 100.1)
8月31日
16:00 7月 貿易収支 (6月 -28.5億ドル)
9月01日
16:00 4-6月 GDP 前期比 (1-3月 1.7%)
16:00 4-6月 GDP 前年同期比 (1-3月 7.0%)
16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 54.0)
9月03日
16:00 8月 消費者物価 前月比 (7月 1.8%)
16:00 8月 消費者物価 前年同月比 (7月 18.95%)
16:00 8月 生産者物価 前月比 (7月 2.46%)
16:00 8月 生産者物価 前年同月比 (7月 44.92%)
9月23日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.00%)
※ポイント要約は編集部
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