トルコリラ円見通し 8月20日の乱高下の範囲だが23日からは赤三兵での上昇
〇トルコリラ円、8/25は13.14から12.99の取引レンジ、ジリ高基調継続で日足は3日連続陽線
〇対ドル、8/25は8.42リラから8.34リラの取引レンジ、日足は3日連続陽線での上昇
〇対円・対ドルともに高値を切り上げているが、8/20の乱高下時の高安レンジ内にとどまる
〇ドルストレートでのドル安継続により、リラ高基調維持
〇昨日発表の8月製造業景況感等、トルコ経済指標は高水準を維持し確り
〇13円以上での推移中は上昇余地ありとして、13.20試しを想定する
〇13円割れからは弱気転換注意とし、12.95割れからは8/20夕安値12.74を目指す下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の8月25日は13.14円から12.99円の取引レンジ、26日早朝の終値は13.11円で25日終値13.01円から0.09円の上昇。
8月20日にドル/トルコリラで早朝のフラッシュクラッシュ的なドル安リラ高が発生し、夕刻にドル高リラ安へと揺れ返したことを反映して20日は高値で13.24円、安値で12.74円の大きな値幅で乱高下したが、その後は23日から25日まで日足は3日連続陽線で高値を切り上げる赤三兵で上昇している。20日も上下に大きなヒゲを付けた陽線だったので陽線連続は4日目となっているが、20日の高安レンジ内にある。
8月25日夜は米長期債利回り上昇と株高によるリスク選好感からドル円が110円台序盤へ戻したことと、ドルストレートにおける先週末からのドル安基調が継続したことでのドル安リラ高を反映してトルコリラ円はジリ高基調を継続した。
【ドルストレートでのドル安継続とクロス円全般の上昇】
ドル/トルコリラの8月25日は8.42リラから8.34リラの取引レンジ、26日早朝の終値は8.36リラで24日終値の8.39リラからは0.03リラのドル安リラ高となった。8月20日は早朝のフラッシュクラッシュ的なドル安リラ高で一時8.25リラへ急伸してから8.55リラまで反落したが、日足は23日から3日連続陽線での上昇で高値を切り上げている。20日の乱高下時の高安レンジ内にはとどまっているが、終値ベースでは8月9日への下落で6月25日の史上最安値更新を回避してからの上昇基調を維持している。
ドルストレートでは先週がほぼドルの全面高だったものの週末夜からはドル高が収まり、今週はドル全面安の様相で推移している。ドル/トルコリラも8月17日から20日まではドル高リラ安の推移だったが、20日夜からはドル安リラ高へと流れが変わり26日早朝にかけてもリラ高基調を維持している。
8月27日にはパウエル米連銀議長によるジャクソンホール会合での講演が注目されており、米連銀の量的金融緩和縮小へ向けたガイダンスも示されるのではないかと予想されているが、議長講演を控えて米長期債利回りが上昇してドル円の押し上げ要因となっているものの、独英豪等の主要国の長期債利回りも上昇しており、ドルストレートでは米長期債利回り上昇にもかかわらずドル安反応が続いている。26日夜の米GDP、27日の米連銀議長講演で流れが変わるか加速するのかにより、ドル/トルコリラの動きも左右されるところとして注意したい。
【トルコ経済指標は確り】
8月25日に発表されたトルコ中銀による8月製造業景況感は113.9となり7月の114.8からは若干低下した。市場予想では115への改善が期待されていたようだが期待には届かなかったものの高水準を維持している。昨年のコロナショック時においては2月時点の106.9から4月には66.8まで急降下したが、その後はV字回復を続けてきた。感染拡大の第三波から第四波の影響も受けているが経済活動への厳しい規制は見られずに製造業の回復は力強さを示している。
8月の設備稼働率は77.1%となり7月の76.7%から上昇して昨年4月のコロナショックで付けた61.6を底としたV字回復を継続している。
トルコ統計局が発表した8月のサービス業景況指数は116.1となり7月の114.8から上昇、小売部門の景況感は7月の109.6から8月の110.3へ上昇、建設部門も7月の86.3から8月の92.4へ上昇している。8月23日に発表された消費者信頼感指数が7月の79.5から8月は78.2へ若干低下したものの、各種景況感は高水準を維持している。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月20日早朝に一時的なドル安リラ高を背景に急騰したところの高値からいったん20日夕刻へ下げ、その後に13円到達へ戻してきたため24日午前時点では20日夕安値を起点として強気サイクル入りしているとし、高値形成期を25日早朝から27日朝にかけての間と想定した。
25日夜もジリ高基調を継続しているので引き続きトップ形成中とみるが、連騰に対する修正安にも注意がいるところとして13.00円割れを弱気転換注意とし、12.95円割れからはいったん弱気サイクル入りするとみて26日の日中から27日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月20日夕刻からの上昇を継続して先行スパンを突破し、遅行スパンも好転を維持しているので引き続き遅行スパン好転中の高値試し優先とみる。弱気転換は先行スパンから再び転落するところからとし、その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は25日夜高値時に70ポイントに到達した後は上げ渋りとなっている。50ポイント以上を維持して確りするうちは再び70ポイント超えを目指す上昇の可能性ありとみるが、高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は下げ再開注意とし、50ポイント割れから続落に入る場合はいったん下落期に入るとみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.00円を下値支持線、13.20円を上値抵抗線とする。
(2)13円以上での推移中は上昇余地ありとして13.20円試しを想定する。13.20円以上は反落注意とするが、勢い付く場合は13.25円前後へ上値目途を引き上げる。また13円台を維持しての推移なら27日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13円割れからは弱気転換注意とし、12.95円割れからはいったん下げに入るとみて20日夕安値12.74円を目指す下落を想定する。12.85円以下は反騰注意とするが、12.95円以下での推移なら27日安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月26日
20:30 週次 外貨準備高 8/20時点 (8/13時点 673.6億ドル)
8月27日
16:00 8月 経済信頼感指数 (7月 100.1)
8月31日
16:00 7月 貿易収支 (6月 -28.5億ドル)
9月01日
16:00 4-6月 GDP 前期比 (1-3月 1.7%)
16:00 4-6月 GDP 前年同期比 (1-3月 7.0%)
16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 54.0)
9月03日
16:00 8月 消費者物価 前月比 (7月 1.8%)
16:00 8月 消費者物価 前年同月比 (7月 18.95%)
16:00 8月 生産者物価 前月比 (7月 2.46%)
16:00 8月 生産者物価 前年同月比 (7月 44.92%)
9月23日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.00%)
※ポイント要約は編集部
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