ユーロもパウエル議長講演までもみあい(週報8月第4週)

先週のユーロは、週初から上値が重く年初来安値更新を狙いたい雰囲気が漂っていました。

ユーロもパウエル議長講演までもみあい(週報8月第4週)

ユーロもパウエル議長講演までもみあい

〇先週のユーロ、1.17を割り込み2度安値を試しての買い戻しで引ける
〇本日発表の主要国PMI速報値で週初のユーロ買い戻しの動き継続かどうか判断
〇火曜ドイツ4〜6月期GDP改定値、木曜ECB理事会議事録公表、金曜はパウエル議長講演
〇多少の振れは出てくるが、先週の年初来安値を下抜ける動きは無さそう
〇今週は週末まで大きく動きにくい、1.1670レベルをサポートに1.1780レベルをレジスタンスとする

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、週初から上値が重く年初来安値更新を狙いたい雰囲気が漂っていました。水曜早朝の安値更新時には1.1700さえつけられず、これはひょっとしたら反発かと思っていたところに、NY市場のドル買いの動きから1.17を割り込み、週後半は1.1665、1.1664レベルと2度安値を試しての買い戻しで引けました。

今週はジャクソンホールでのパウエルFRB議長による講演に注目が集まりますが、週初の動きを見ていると、先週後半の下げで短期筋の売りが膨らんでいた分、週明けは買い戻しが先行している様子です。ただポジション的には先週火曜時点のシカゴ通貨先物では改めてユーロ買いが増え、7月13日以来の水準へと戻しました。先週はポジション再構築の予想は合っていましたが、それとともにユーロが買われるという流れは全く逆になりました。

ドル高の流れに助けられた面もあるとはいえ、ユーロの年初来安値更新はちょっと無理押した感があり、長期的なポジションでユーロ買いが増える中で短期筋が売り、週末週初の動きでポジション調整が起きているという流れでしょう。

今週ですが、週初月曜には主要国のPMI速報値が発表されます。多少の増減はありますが、各国製造業、サービス業ともほぼ前回並みの数字が予想されています。まずは、これらの数字が前回並みとなるかどうかを見て週初のユーロ買い戻しの動きが継続するかどうかを判断することとなります。そして火曜にはドイツ4〜6月期GDP改定値、木曜にはECB理事会議事録公表と金曜のパウエル議長講演を前に連日のように結構重要な数字やイベントが出てきます。多少の振れは出てくると見られますが、先週の年初来安値を下抜ける動きは無さそうです。

パウエル議長の講演とFRBのテーパリングについては、先週からのコラムやドル円の週報で書きましたので繰り返しませんが、個人的にはパウエルFRB議長とブレイナード理事の発言に沿ったハト派なイメージを描いていますので、現在のテーパリング前倒し思惑に傾いている状況は議長講演時に注意したいところです。梯子を外される際の金利低下とドル安の動きにより反応しやすいでしょう。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ユーロもパウエル議長講演までもみあい

安値を更新したので全てのラインは引き直しです。現時点ではレジスタンスラインはそのまま残し、下側のラインは暫定的に平行ラインから実際の安値を結んだラインへと変更し、拡散型チャンネルとして表示しました。また目先の安値は見たという判断で7月末高値と先週安値のフィボナッチ・リトレースメントを表示してありますが、38.2%戻しの1.1756から半値戻しの1.1785が戻りのターゲットとなりやすい水準です。

今週は週末まで大きくは動きにくいため、先週のレンジの中で1.1670レベルをサポートに、1.1780レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円の日足チャートを見てみます。

ユーロもパウエル議長講演までもみあい 2枚目の画像

引き続き6月中旬高値以降の高値を切り下げる流れは有効で、先週も反落して前月安値を割り込む動きを見せました。特に戻りはユーロドルだけでなくユーロ円の水準も見ながら判断する方が良いと思われます。

現在レジスタンスラインは129.10レベルを下降中で金曜には128.80レベルへと下がって来ます。この水準を上抜けないとユーロは上値も限定的にならざるを得ないというところでしょうか。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月23日(月)
16:15 フランス8月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ8月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏8月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国8月製造業・サービス業PMI速報値
23:00 ユーロ圏8月消費者信頼感速報値 ☆

8月24日(火)
15:00 ドイツ4〜6月期GDP改定値 ☆

8月25日(水)
17:00 ドイツ8月ifo企業景況感

8月26日(木)
15:00 ドイツ9月GFK消費者信頼感
15:45 フランス8月企業景況感
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
23:10 フランス中銀総裁講演
**:** ジャクソンホール(〜28日)

8月27日(金)
15:45 フランス8月消費者信頼感
23:00 パウエルFRB議長講演 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

8月16日(月)
ユーロドルはドルの動きよりも円の動きの影響が大きく、ユーロ円がリスクオフの動きから円買いが強まるとともに、ユーロドルでもユーロが下げる動きが強まりました。ユーロ円は1日で1円近い下げとなりましたが、ドル売りからくるユーロドルの買いと相殺されユーロドルのレンジは34pipsに留まりました。

8月17日(火)
ユーロドルはNY市場までは動かず、弱い小売売上高発表にもかかわらずドル高の動きとなったことからユーロドルは水準を下げ、安値1.1707レベルと再び年初来安値更新を伺う地合いでの引けとなりました。

8月18日(水)
ユーロドルは年初来安値は更新したものの思いのほか落ち着いていてNY市場まで横ばいとなっていましたが、NY市場昼前に米金利上昇、ドル円でのドル買いの動きに引っ張られてユーロドルの売りが再開しました。FOMC議事録発表後の株安ドル売りからユーロは一時1.1743レベルへと反発したものの、すぐに元の水準へと押し東京朝方の水準での引けとなりました。

8月19日(木)
東京市場のドル円はFOMC議事録発表後の下げから一転上昇、昼すぎには110.23レベルまで高値を切り上げました。この辺りの動きはテーパリング時期前倒し思惑から素直にドル買いで反応したということのようです。しかし後場になり株価が急速に値を下げるとともにリスクオフの円買いが強まり、欧州市場前場には109.48レベルと前日安値圏へと押しました。NY市場では株価が持ち直したこともあり、109円台後半へと戻して引けました。
ユーロドルは東京市場ではドルの動きとしてドル円と歩調を揃えユーロ売りが進み一時1.1665レベルの安値をつけた後に買い戻しとなりました。しかし、リスクオフの動きでユーロ円の売りも強まったことから買い戻しの動きは弱く東京早朝水準に戻すことはありませんでした。NY市場ではドル買い戻しの動きによるユーロ売りとはなったものの一日のレンジは狭く、どちらかというと年初来安値更新による上値の重さのみが影響している印象でした。

8月20日(金)
ユーロは対ドル、対円で上値が重たい展開が続き、NY朝方に一時1.1664レベルと前日安値を1pip下回りましたが、1.1660レベルでは前日に続きユーロ買いが見られたこと、またユーロ円も同時に下げていたものの前日安値をトライできなかったことからその後は対ドル、対円ともに買い戻しが入っての引けとなりました。しかし、値幅は広がらず積極的な取引は見送られた週末相場でした。

ディスクレーマー

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