トルコリラ円見通し 中勢は12円台後半中心の底上げ型ボックス持ち合いを維持(21/8/23)

トルコリラ円の8月20日は13.24円から12.74円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 中勢は12円台後半中心の底上げ型ボックス持ち合いを維持(21/8/23)

トルコリラ円見通し 中勢は12円台後半中心の底上げ型ボックス持ち合いを維持

〇トルコリラ円、8/20はやや乱調な展開、早朝13.24へ急伸後押し返され、夕刻12.74まで反落後持ち直す
〇対ドル、早朝に8.25まで一時的に上昇、元の水準へ戻し、夕刻8.55へ失速後に再び持ち直しの推移
〇対円・対ドルとも終値ベースでは先日より若干上昇
〇トルコ金融政策に対する市場の不安感はあるものの、製造業等の力強い回復等がリラ支えるか
〇ドル高、クロス円の下落基調の中でも、トルコリラ円は12円台後半を維持して確りした動き
〇8/9安値12.67割れを回避するうちは、12.70前後への突っ込みは買われやすい展開とみる
〇12.67を割り込んでから切り返せない場合は、12.50前後を試す流れへ進みやすくなるとみる

【概況】

トルコリラ円の8月20日は13.24円から12.74円の取引レンジ。20日早朝の出来高が薄い時間帯にドル/トルコリラがフラッシュクラッシュ的にドル安リラ高となった局面で13.24円(ベンダーによっては13.27円)へ一時的に急伸したが、早朝に元の12.85円近辺まで押し返され、夕刻には逆に12.74円(ベンダーによっては12.77円)まで反落したものの持ち直すというやや乱調な展開となったが、終値ベースでは8月19日の12.86円から20日は12.91円へ0.05円の上昇となった。

ドル/トルコリラの8月20日は8.55リラから8.25リラの取引レンジ。早朝に8.25リラまで一時的なドル安リラ高が発生して元の水準へ戻し、夕刻に8.55リラへ失速したところからは再び持ち直しの推移に入り、終値ベースでは19日の8.49リラから20日の8.48リラへと若干のドル安リラ高に終わった。
早朝のフラッシュクラッシュ的な動きについては特段の材料的なきっかけは報じられていないようだ。

【物価上昇継続、中銀の利下げ当面なし、経済指標は良好】

8月3日のトルコ7月物価上昇率において消費者物価上昇率の前年比が18.95%となり政策金利の週間レポレート19.0%に迫ったが、8月12日のトルコ中銀金融政策決定会合では政策金利を現状維持とし、インフレ率を下回る政策金利にはしないとの従来の方針を繰り返した。物価上昇率の上ブレが収まらなければ中銀も利上げを迫られる可能性もあるが、原油相場が7月をピークに下落に転じている事をはじめ、世界的なデルタ株による感染拡大の影響でパンデミックからの景気回復感が鈍化して原材料相場の高騰も一服していることで、トルコの物価上昇率の上ブレも年後半にかけては収まる可能性も出てきている。このため市場としては当面はエルドアン大統領による利下げ要求圧力が継続しても中銀が無理筋な利下げに走ることはないだろうとみているようで、6月までの利上げ催促的なリラ売り攻勢は収まっている印象だ。8月の物価上昇率は9月3日発表、中銀金融政策決定会合は9月23日に予定されている。

今年3月のアーバル前総裁の解任騒動やエルドアン大統領の利下げ言及報道等によるトルコの金融政策に対する市場の不安感は今後も引きずるだろうが、ひとまずは材料的には様子見に入っている。大統領の不規則発言はまた繰り返されて一時的な市場反応もあるだろうが、最近の冷静さを踏まえれば次の物価上昇率発表まではトルコの製造業等の力強い回復等によってリラも支えられやすいかもしれない。
トルコの経済指標は概ね良好な数字が続いている。8月2日発表のイスタンブール製造業7月PMIは6月の51.3から54.0へ上昇、8月10日発表の6月失業率も5月の13.1%から10.6%へ改善、8月12日発表の6月鉱工業生産前月比は5月の1.5%から2.3%へ加速、6月の小売売上高前月比も5月の-5.5%から14.4%へと回復した。
8月23日には観光客、25日は製造業景況感と設備稼働率、27日には経済信頼感指数の発表と続くが前月を上回る強い数字が続けばリラ買い要因になる可能性もある。

【中国、カタールに続き韓国と通貨スワップ協定を締結】

外貨準備高も絶対的な水準はまだ低いものの8月13日時点の準備高はネットで241.5億ドルとなり前週の251.8億ドルからは若干減少したものの今年4月に100億ドルを切った水準から回復している。グロスでは673.6億ドルで6月に500億ドルを割り込んだところから持ち直している。
トルコは中国とカタールに続いて8月12日には韓国との通貨スワップ協定も締結に至り、2兆3,000億ウォン/175億リラ(凡そ20億ドル)の3年契約を結んだ。今年6月14日には中国とのスワップ協定で上限を60億ドルへ引き上げている。英国及び日本とも交渉中とされていることについては締結できるかは定かではないが、着実に通貨スワップ協定を拡大しておりリラ防衛的な観点からも市場を落ち着かせるものとなっている。

【ドル高、クロス円の下落基調の中でも独自の動きで確り】

米連銀が量的金融緩和の縮小へ動き始めている中で、ユーロドルや豪ドル米ドル、NZドル米ドル等が年初来の最安値を更新している。クロス円においてはユーロ円が6月1日以降の最安値、ポンド円が7月20日安値に迫る下落、豪ドル円が5月10日以降の最安値、NZドル円が5月27日以降の最安値を更新するなど全面安の様相にある。新興国通貨でもランド円が6月7日以降の最安値、メキシコペソ円も6月24日以降の最安値を更新している。
これらドルストレートにおけるドル高基調の中でもドル/トルコリラは6月25日に史上最安値を更新した流れも一服して落ち着いており、クロス円の全面安の中でもトルコリラ円は13円台では売られるものの12円台後半を維持して確りし、6月2日安値12.44円から6月21日安値12.48円、7月8日安値12.55円、8月9日安値12.67円と安値を切り上げてきている。

【逆張り展開続けつつ、週末の議長講演からの動きに注意】

【逆張り展開続けつつ、週末の議長講演からの動きに注意】

6月2日以降はやや底上げ型のボックス持ち合いの様相で2か月半を経過しているため、市場心理としては噴いたところは売られるものの多少突っ込んだところはリバウンド狙いも有効とみて逆張り的に買われやすい状況にあると思われる。当面はこの動きが続くのではないかと思われるが、8月27日にジャクソンホールでのパウエル米連銀議長講演をきっかけにして為替市場全般が大きく動く可能性がある点には注意がいる。議長講演をきっかけにドル全面高が進むような展開になる場合はトルコリラも為替市場全般の流れに圧されてドル高リラ安へ向かい、ドル円が上昇したとしてもクロス円全般の下落も厳しくなってトルコリラ円も底上げパターンが崩れる可能性もあると注意したい。

以上を踏まえれば当面は、13.10円以上は戻り売りにつかまりつつ、8月9日安値12.67円割れを回避するうちは12.70円前後への突っ込みは買われやすい展開とみておく。ただし、8月9日安値を割り込んでから切り返せずに日足が陰線連続となって安値切り下げに入る場合は6月2日以降の底上げパターンが崩れるので12.50円前後を試す流れへ進みやすくなると思われる。

【当面の主な予定】

8月23日
 16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 79.5)
 17:00 7月 観光客数 前年同月比 (6月 853.4%)
8月24日
 19:00 7月 自動車生産台数 前年同月比 (6月 3.8%)
8月25日
 16:00 8月 製造業景況感 (7月 114.8)
 16:00 8月 設備稼働率 (7月 76.7%)
8月26日
 20:30 週次 外貨準備高 8/20時点 (8/13時点 673.6億ドル)
8月27日
 16:00 8月 経済信頼感指数 (7月 100.1)
8月31日
 16:00 7月 貿易収支 (6月 -28.5億ドル)

9月01日
 16:00 4-6月 GDP 前期比 (1-3月 1.7%)
 16:00 4-6月 GDP 前年同期比 (1-3月 7.0%)
 16:00 8月 イスタンブール製造業PMI (7月 54.0)
9月03日
 16:00 8月 消費者物価 前月比 (7月 1.8%)
 16:00 8月 消費者物価 前年同月比 (7月 18.95%)
 16:00 8月 生産者物価 前月比 (7月 2.46%)
 16:00 8月 生産者物価 前年同月比 (7月 44.92%)
9月23日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.00%)


※ポイント要約は編集部

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