ジャクソンホール会議注視、週末にかけ荒れ相場か(週報8月第4週)

先週のドル/円相場は、週を通して小動き。いわゆる「夏枯れ相場」は続いているようで、値幅も限られたものにとどまった。

ジャクソンホール会議注視、週末にかけ荒れ相場か(週報8月第4週)

ジャクソンホール会議注視、週末にかけ荒れ相場か

〇先週のドル円、109.11の週間安値後、110.22へ急反発、週末は109.80レベルで越週
〇先週は週全般を通してドル高、円高、それ以外の通貨はおおむね弱含み
〇今週は26日-28日のジャクソンホール会議、27日実施のFRB議長講演に注目
〇今週のドル/円予想レンジは、108.70-110.80
〇ドル高・円安は先週高値110.22、超えれば110.80がターゲット
〇ドル安・円高は先週安値109.11、割り込むと月間安値108.72が意識される

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、週を通して小動き。いわゆる「夏枯れ相場」は続いているようで、値幅も限られたものにとどまった。

前週末は、アフガニスタン情勢が大きな話題に。反政府武装勢力タリバンが首都カブールにまで達するなか、ガニ大統領は国外脱出するとともに敗北を認める声明を発表している。一方、15日の「終戦の日」を前後して日本の現役閣僚数人が靖国神社を参拝。これに中韓からクレームが相次いでいた。

そうした状況下、ドル/円は109.60円レベルで寄り付いたのち、下値を試す展開となり109.11円の週間安値を示現。しかし、そののちは一転して上値を試す動きで、1円を超える急反発をたどると110.22円へ。ただ、上値も重く上げ渋ると、週末に掛けてはレンジ取引となり、週末NYは109.80円レベルで取引を終えている。
なお、先週は週全般を通してドル高、円高。それ以外の通貨はおおむね弱含みをたどったが、なかでもオセアニア通貨である豪ドルやNZドルが冴えない。実際、豪ドル/円や豪ドル/ドル、NZドル/ドルはいずれも年初来安値を更新する局面が観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「アフガン情勢」と「新型コロナ」について。
前者は、前述したような状況で、タリバンがアフガニスタンをほぼ制圧したことが明らかに。ただ、日本や米国、主要な欧州諸国が情勢に懸念を示すなど西側諸国の対応は冷ややかだった反面、中国やロシアなどは逆に寛容。たとえば、中国外務省の華報道局長は会見で「アフガン国民の意思と選択を尊重する」などと述べ、タリバンによる武力制圧を事実上容認している。なお、そうしたなかバイデン米大統領は演説を実施し「米軍のアフガン撤退に変更なし」との考えを改めて強調したことが確認されたほか、G7外相がオンライン形式で会談を行い、「アフガニスタン情勢悪化の阻止に向けた国際社会の団結」を呼び掛けていた。

対して後者は、WHOが「デルタ変異株はワクチン接種率の低い地域でまん延」と発表し話題に。そうしたなか、米政府は9月から「ブースター接種」と呼ばれる3回目のワクチン追加接種開始する旨を表明、バイデン氏も夫人とともに3回目の接種を受ける考えを示していた。ただ、WHO事務総長は「ワクチン接種が遅れる途上国への供給を優先させる必要がある」との認識を示したうえで、3回目ワクチン接種の停止を米国に求めており、米国が要請に従うのか否か注目だ。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、週の初めにレンジ下値、その後は同上値を試すもともに失敗に終わっている。結果、先週末に掛けては109.11-110.22円という新レンジを形成した感を否めず、まずは同レンジをめぐる攻防に注目だ。ただ、前述した「小レンジ」を抜けても、8月以降は108.72-110.80円という約2.1円の「大レンジ」を形成しており、そのなかにはとどまるとの声も少なくない。ちなみに、先週末のNYクローズは109.80円レベルで、「大レンジ」のちょうど真ん中。非常に居心地が良さそう。

前述したような状況下、マーケットでもっとも注視されているものは引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。そうしたなか、26日から28日にかけて実施される経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」への関心が高く、内容如何で乱高下などもありそうだ。なかでも27日に実施されるFRB議長の講演で、内容的には今後のテーパリング開始についての示唆があるかどうかが注視されている。最近の米地区連銀総裁の発言からは、「次回9月のFOMCでテーパリング開始を決定するべき」としたタカ派発言も聞かれていたが、果たして議長発言は如何なるものになるのだろうか。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円は109.11-110.22円という短期的な新レンジを形成。今週は、その新レンジの脱却がまずは注視されそうだ。注目材料が予定されていることもあり、「小レンジ」は上下どちらかには抜けていく公算が大きいものの、より大きな8月以降の2.1円レンジはいかがなものか。
仮に「大レンジ」の上限を超えていえば、ターゲットは111.66円。逆に底割れした場合には、107.48円を目指す展開が予想されている。

材料的に見た場合、中長期的には、アフガン情勢でも日米欧との意見対立が目に付く「中国情勢」や、今週からのパラリンピック開催で内閣支持率浮揚があるのか「日本の政局」、感染拡大が止まらない「新型コロナウイルス変異種(デルタ株)」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、8月のリッチモンド連銀製造業指数や4-6月期のGDP改定値をはじめとする米経済指標が発表されるほか、前述した「ジャクソンホール会議」が開催される見込みだ。そのほかコロナ感染拡大下の東京パラリンピック開幕、アフガニスタン情勢を協議するG7首脳のテレビ会議(24日)などにも要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.70-110.80円。ドル高・円安については、先週高値の110.22円をめぐる攻防にまず注視。超えれば110.80円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、同じく先週安値の109.11円はなかなか強いサポートか。割り込むと月間安値108.72円が意識されそうだ。

ジャクソンホール会議注視、週末にかけ荒れ相場か

ドル円日足

※ポイント要約は編集部

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