『約5ヶ月ぶり安値圏へ急落。心理的節目7.00円が射程圏内』
〇今週の南ア円、週明け早々7.46まで上昇後、中国の経済指標悪化等で下落に転じる
〇コロナ拡大懸念、アフガン情勢悪化、南ア指標の不冴えから200日線を割りロスカットも誘発
〇一時約5か月ぶり安値7.12まで急落、安値圏で越週
〇南ア円テクニカルの地合い悪化し、ファンダメンタルズも複数の悪材料残る
〇南ア円続落をメインシナリオとして予想、来週の予想レンジ(ZARJPY):7.00ー7.30
今週のレビュー(8/16−8/20)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.44円で寄り付いた後、早々に週間高値7.46円まで上昇しました。しかし、先週末金曜日に記録した高値7.48円をバックに伸び悩むと、@中国経済の先行き不透明感(中国国家統計局が8/16に発表した7月鉱工業生産、7月小売売上高、7月固定資産投資は軒並み市場予想を下回る冴えない結果→南アフリカ最大の貿易相手国である中国の景気減速懸念は南アランドの下落要因)や、A新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、Bアフガニスタン情勢を巡る地政学的リスクの高まり、C上記@ABを背景としたリスク回避ムード(株安・商品安→投資家心理悪化→エマージング通貨下落)、
D南ア7月消費者物価指数(結果4.6%、予想4.7%)及び、E同コア指数(結果3.0%、予想3.2%)の市場予想を下回る結果(インフレ鈍化→南ア中銀による早期利上げ観測後退)、F根強い米早期テーパリング観測(国内から国外への資金流出懸念)、G市場参加者に注目されていた200日移動平均線を割り込んだことに伴う大規模ロスカット、H南アフリカの主要産品であるプラチナ価格の急落(昨年11/30以来、約9ヵ月ぶり安値圏)が重石となり、週末にかけて、3/10以来、約5ヶ月ぶり安値となる7.12円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/21午前5時45分時点)では7.18円前後で推移しております。尚、ゴドングワナ新財務相は今週、「ムボウェニ前財務相の方針を継続する姿勢」を示しましたが、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(8/23−8/27)
南アランド円相場は、週後半にかけて値を崩し、約5ヶ月ぶり安値となる7.12円まで急落しました。この間、市場参加者に注目されていた(最後の砦と見られていた)200日移動平均線を下方ブレイクした他、強い売りシグナルを示唆する「三役逆転」や、ボリンジャーバンド下限に沿って下落を続ける「弱気のバンドウォーク」も成立するなど、テクニカル的に見て「地合いは極めて弱い」と判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@新型コロナウイルスの感染再拡大懸念や、A南アフリカ最大の貿易相手国である中国の景気減速懸念、B上記@Aを背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感、C国内から国外への資金流出圧力(市場がリスク回避姿勢を強める中、エマージング通貨全般に下押し圧力)、D南ア中銀による早期利上げ観測の後退(今週発表された南ア消費者物価指数が鈍化したことも一因)など、南アランド円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。来週は8/26に予定されている南ア7月生産者物価指数や、8/26ー8/28に予定されているジャクソンホールに注目が集まります。前者が市場予想を下回る場合(インフレ鈍化→南ア中銀による早期利上げ観測後退)や、後者でパウエルFRB議長がタカ派的なスタンス(テーパリングへの地均し)を示す場合(米長期金利上昇→新興国からの資金流出懸念)には、南アランド円相場に強い下押し圧力が加わる可能性がある為、来週はダウンサイドリスクに注意を要する神経質な1週間となりそうです(心理的節目7.00円割れを試すシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.00ー7.30
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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