『約1週間ぶり安値圏へ下落。来週もダウンサイドリスクに警戒か』
〇今週のトルコ円、12.85で寄り付き後、週後半にかけて13.09まで上昇
〇その後エルドアン大統領がタリバンを支持、アフガニスタンをめぐる地政学リスク等に12.80まで下落
〇テクニカルには21日線、90日線等主要テクニカルポイント下抜け地合い悪化
〇ファンダメンタルズも国内外にトルコリラ下落要因残る
〇トルコ円下落をメインシナリオとして予想、国内指標、ジャクソンホール会合要注視
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.60ー13.10
今週のレビュー(8/16−8/20)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.85円で寄り付いた後、週後半にかけて週間高値13.09円まで上昇しました。しかし、ボリンジャーバンド上限に続伸を阻まれると、@新型コロナウイルスの感染再拡大懸念(米国務省はトルコへの渡航警戒レベルを4段階で最も高い「中止」に引き上げ)や、A世界経済の減速懸念、Bアフガニスタン情勢を巡る地政学的リスク(エルドアン大統領はタリバンを支持する構え)、C上記@ABを背景としたリスク回避ムード(株安・商品安→投資家心理悪化→エマージング通貨下落)、Dトルコ北部の黒海沿岸地域で発生した豪雨・洪水による甚大な影響(トルコ経済の先行き不安)が重石となり、週後半にかけて、週間安値12.80円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/21午前5時45分現在)では、12.92円前後で推移しております。
来週の見通し(8/23−8/27)
トルコリラの対円相場は、8/19に一時13.09円まで急伸するも、週末にかけて12.80円まで反落する動きとなりました。この間、一目均衡表基準線や転換線、90日移動平均線や21日移動平均線といった主要テクニカルポイントを軒並み下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いは「悪化しつつある」と判断できます。目先は一目均衡表「雲」を終値ベースでクリアに下抜けられるか否かに注目が集まります。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米早期テーパリング観測の高まりを背景とした国内から国外への資金流出圧力(エマージング通貨に下押し圧力)や、Aトルコ国内における新型コロナウイルスの感染再拡大懸念、Bトルコ経済の先行き不透明感、CEU及び米国との関係悪化懸念、Dエルドアン大統領による利下げ圧力(インフレ低下なら利下げ観測再燃でトルコリラ売り要因。インフレ上昇なら実質金利低下でトルコリラ売り要因。このように、トルコはエルドアン大統領への配慮から利上げカードが封じ込まれている為、インフレ低下の場合も、インフレ上昇の場合もトルコリラには下押し圧力が加わり易い構造)など、トルコリラの下落リスクを意識させる材料が複数残っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は8/23に予定されているトルコ7月消費者信頼感指数の他、8/24のトルコ7月自動車生産台数、8/25のトルコ8月製造業景況感指数、トルコ8月設備稼働率に注目が集まります。市場予想を下回る結果となれば、トルコ経済の先行き不透明感を通じて、トルコリラに強い下押し圧力が加わる可能性があり、注意が必要でしょう。また、来週のジャクソンホール会合(8/26ー8/28)でパウエルFRB議長がテーパリングの地均しに踏み切った場合にも、米長期金利上昇を通じて、トルコリラには強い下押し圧力が加わると予想されます。来週はダウンサイドに注意を要する神経質な1週間となりそうです。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.60ー13.10
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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