トルコリラ円見通し 8月20日早朝に一時的に急伸するも元の水準へ押し返される
〇トルコリラ円、8/19午前13.07まで上昇するも、ドル高リラ安とドル円の下落により夕刻12.78まで急落
〇対ドル、ややリラ高の推移で8/19朝8.36へ上昇したが、その後ドル全面高の様相で深夜8.55へ下落
〇8/20早朝フラッシュクラッシュ的ドル安リラ高発生、対円・対ドルともに急騰するも元の水準に急落
〇FOMC議事録公開後総じてドル高基調、リラ売り圧力がかかりやすい状況と思われる
〇12.78以上での推移中は上昇再開余地ありとし、13円超えからは13.10前後への上昇を想定する
〇12.78円割れからは、12.73から12.70への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の8月19日は13.07円から12.78円の取引レンジ。19日午前に13.07円まで上昇して8月9日安値12.67円以降の高値を更新していたが、19日未明の米FOMC議事録公開後のドル全面高に加えてドル円が19日昼へ一段高したところから夕刻へ急落したために、ドル高リラ安とドル円の下落が重なって19日夕刻安値で12.78円まで急落した。その後は下げ渋りで12.85円を挟んだ揉み合いでの推移だったが、20日早朝にはドル/トルコリラでフラッシュクラッシュ的なドル安リラ高が発生したことで13.24円まで一時的に急騰してから元の水準に急落している。
一時的でイレギュラーな急騰であり、出来高の薄い状況が多いトルコリラの早朝では発生しやすいことではあるが、出来値としては6月11日高値13.21円を超えた。しかし、その後の急落も踏まえれば13円台の高値としては4月29日の13.38円以来の水準ではあるものの、5月18日の13.14円、6月11日の13.21円、8月3日の13.15円と共に13円台序盤で抵抗にあって失速してきたことを踏まえれば、かえって一時的な急騰で高値を出し切って下落再開へのきっかけにもなりやすい状況と思われる。
【ドル安リラ高は一服】
ドル/トルコリラの8月19日は8.55リラから8.36リラの取引レンジ。
19日未明の米FOMC議事録公開当初のトルコリラの反応は鈍く、19日朝にかけてはややリラ高の推移で8.36リラへ上昇したが、19日朝以降はドル全面高の様相となりドル/トルコリラでもドル高リラ安へ流れが変わって19日深夜には8.55リラへと下落した。
8月20日早朝、フラッシュクラッシュ的なドル安リラ高が発生して8.25リラまで上昇、8月3日に付けた高値8.40リラをいったん上抜いたが、早々に元の水準へ反落している。一時的でイレギュラーな急騰を除けば8月17日からは3日連続のドル高リラ安であり、FOMC議事録公開後にドル全面高が進んでいることを踏まえればドル/トルコリラにおいてもドル高リラ安へ進みやすい状況と思われる。
【FOMC議事録公開後のドル全面高】
米連銀(FRB)は8月19日未明に7月27-28日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公開したが、その中で量的緩和縮小については大半の参加者が年内開始が適切とし、複数は数か月内の開始を支持していた事が示された。パウエル米連銀議長は6月のFOMCで量的緩和縮小への議論を開始するとされた後も量的緩和の着手を急がない姿勢を繰り返し強調してきたが、今回の議事録ではインフレへの警戒感がかなり強く9月の次回FOMCで量的緩和縮小開始を決定する可能性も高まった印象だ。8月27日にジャクソンホールでのシンポジウムで議長は経済見通しに関する講演を行うが、そこでより具体的なガイダンスが示され、9月3日の8月雇用統計が良好なら9月21-22日の次回FOMCで方針が決定する流れとなるのではないかと思われる。
FOMC議事録公開後はドル全面高の様相であり、メジャー通貨の加重平均であるドル指数は93.59へ上昇、3月31日高値93.44を超えて年初来高値を更新した。1月6日と5月25日の両安値がダブル底型となっており、その中間にある3月31日高値を超えたことで大きなダブル底も完成して上昇基調が一段と強まった印象だ。ドル指数と逆相関にあるユーロドルは3月31日安値を割り込んで1月6日と5月25日の両高値をダブル天井とした下落感が強まった。デルタ株感染拡大の影響への懸念もあって原油相場が下落しているが資源通貨の豪ドル米ドルの下げも目立ち年初来安値を更新、利上げを見送ったNZドル米ドルも一段安している。総じてドル高基調であり、ドル/トルコリラにとってもリラ売り圧力がかかりやすい状況にあると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月19日朝高値から19日夕刻へ下落したところからフラッシュクラッシュ的なドル安リラ高が発生したために20日早朝に高値をいったん更新しているので、19日夕安値を直近のサイクルボトムとして反騰入りしたと仮定するが、すでに急騰分を解消する下落となっているため、20日早朝高値でピークアウトして下落期に入っている可能性が高いのではないかとみる。
19日夕安値割れ回避のうちは13.00円超えから上昇再開とするが、19日夕安値割れからは新たな下落期入りとして24日から26日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月20日早朝の一時的急騰で先行スパンを突破したもののその後の反落で先行スパンから再び転落している。このため先行スパンを上抜き返せないうちは一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパン突破からは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は19日夕刻への下落で20ポイント台へ低下したところから戻しているが50ポイントに届かずにいる。50ポイント以下での推移中は一段安警戒として再び20ポイント台を試すとみる。強気転換は50ポイント超えからとし、その際は60ポイント台後半を目指すとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月19日夕安値12.78円を下値支持線、13.00円を上値抵抗線とする。
(2)12.78円以上での推移中は上昇再開余地ありとし、13円超えからは13.10円前後への上昇を想定する。13.10円以上は反落注意とするが、13円を超えた後も12.97円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.78円割れからは12.70円台序盤(12.73円から12.70円)への下落を想定する。12円台序盤は買い戻しも入りやすいとみるが、12.78円を割り込んだ水準での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月20
23:30 7月 中央政府債務残高 (6月 202.7億リラ)
8月23日
16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 79.5)
17:00 7月 観光客数 前年同月比 (6月 853.4%)
8月24日
19:00 7月 自動車生産台数 前年同月比 (6月 3.8%)
8月25日
16:00 8月 製造業景況感 (7月 114.8)
16:00 8月 設備稼働率 (7月 76.7%)
※ポイント要約は編集部
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