ジリ高基調を継続、13円台を維持できるかの攻防
〇トルコリラ円、19日早朝からのドル円反発とドル安リラ高から13.07まで高値切り上げ
〇現在底上げパターン維持、8/9安値12.67を割り込まないうちは上昇継続の可能性残る
〇対ドルでは17日夜高値8.36以降は上昇一服でやや横ばい推移
〇18日、エルドアン大統領はタリバンに対し「あらゆる協力を行う用意がある」と表明
〇18日夕安値12.87以上での推移中は上向き、13.07超えからは13.10台前半を目指すとみる
〇12.87割れからはいったん下げに入るとみて12.80前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の8月18日は13.03円から12.87円の取引レンジ。17日に高値で13.03円を付けて8月11日高値13.01円を超えて8月9日安値12.67円以降の高値を切り上げて8月3日高値13.15円へ迫るかに見えたが、18日は午後高値で13.03円を付けたものの高値更新へ進み切れずに夕刻にはこの日の安値となる12.87円までいったん下げた。
18日夜にかけてはドル円の上昇に押し上げられて13円を超え、19日未明のFOMCを挟んでの反応は小さかったものの19日早朝からのドル円の反発とドル/トルコリラでのドル安リラ高から19日朝には13.07円まで高値を切り上げている。
【13円台定着から8月3日高値超えへ挑戦】
6月1日にエルドアン大統領による利下げ言及が報じられたことで12.44円まで急落し、6月11日高値13.21円までいったん戻したところから6月21日には12.48円まで下落、底割れを回避してダブル底型を形成してからは持ち直しの動きに入りジリ高基調で8月3日高値まで戻してきた。
8月3日のトルコ7月消費者物価上昇率が前年比で18.95%へ上昇して政策金利の週間レポレート19.00%へ迫ったことで8月12日のトルコ中銀金融政策への警戒感から8月9日安値12.67円までいったん失速したが、12日に中銀は政策金利を現状維持としてインフレ率を下回る政策金利とはしないと明言したことからやや安心感が高まったとしてリラ買いが進んでいた。
8月11日以降も高値を若干切り上げているが13円到達では戻り売りも出ており、13円台定着から8月3日高値及び6月11日高値超えを目指す勢いにはまだ欠けているが、終値ベースで13円台に定着し始めれば8月3日高値超え、さらに6月11日高値に迫る可能性も出てくるところと注目される。今のところは6月2日安値から6月21日安値、7月8日安値12.55円、8月9日安値12.67円と底上げパターンは維持されているので、8月9日安値を割り込まないうちは上昇継続の可能性が残ると思われる。
【ドル安リラ高は一服】
ドル/トルコリラの8月18日は8.49リラから8.38リラの取引レンジ。
8月11日安値で8.67リラまで下落してきたところからドル安リラ高へ流れがかわり、8月17日夜には8.36リラまで上昇してきた。日足は8月12日から17日まで4日連続の陽線(ドル安リラ高)での上昇だったが、17日夜高値のあとは上昇一服となり、19日未明のFOMC議事録公開を控えて米長期債利回りが上昇したところでドル高リラ安となり18日夜には8.49リラまで下落していた。19日未明のFOMC議事録はサプライズ無しとしてドル/トルコリラとしての反応は薄く、19日朝には8.36リラまで上昇して17日夜高値にせまった。
8月3日高値8.27では6月11日高値8.25リラ超えには至らず、8月11日8.67リラへ下落したものの6月25日に付けた史上最安値8.79リラには届かずにリラ売りが一巡してリラ買い優勢の流れとなってきた。8月17日以降は上昇一服でやや横ばいの推移だが、FOMC議事録公開を通過した後にユーロドルが一段安へと下落、ポンドドルも18日夜安値割れへ余裕が乏しくなり、豪ドル米ドルが安値を更新するなど、ドル高感がぶり返している印象であり、ドル高感が強まり始めると独自材料的にはきっかけ待ちとなっているドル/トルコリラも全般的なドル高に流されやすくなると注意したい。
【アフガン情勢】
アフガニスタン情勢が米軍の撤退とガニ政権の逃亡、タリバンによる首都カブール掌握と風雲急を告げる展開となる中、NATO加盟国としてカブール空港の警備を米国から依頼されていたトルコ駐留軍も対応に苦慮する状況となている。
8月18日にエルドアン大統領は実権を握ったタリバンに対して「あらゆる協力を行う用意がある」と表明し、米軍撤退後に検討されていた首都カブールの空港の管理についても引き続きトルコが関与する方向で検討すると述べた。また「アフガンの将来について協議するためにタリバン指導者を受け入れる用意がある」とし、タリバンが「全国民への恩赦」等を表明したことについても歓迎すると述べた。
8月17日時点ではトルコの申し出に対してタリバンは拒否の姿勢とも伝えられており、トルコ軍は撤退を余儀なくされるかタリバンと周辺諸国及び西側住民の脱出や今後の外交チャンネル構築で重要な役割を果たして外交的プレゼンスを向上させるのか、またそうした動きが米国とトルコの関係修復に貢献するのか注目される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月11日朝高値を前回のサイクルトップ、11日夜安値を同サイクルボトムとして上昇期に入ったとして高値形成期を14日早朝から18日午後にかけての間と想定してきたが、17日夜へ高値を更新したために18日午前時点では引き続きサイクルトップ形成中とした。また16日午後安値ないしは17日夕安値を直近のサイクルボトムとして17日夜の一段高からすでに新たな強気サイクル入りしている可能性もあるとした
8月17日夜へ高値を切り上げてから18日夕刻へいったん下落し、その後に一段高しているため、18日夕安値を直近のサイクルボトムとして既に新たな強気サイクル入りしているとみる。高値形成期を20日夜から24日夜にかけての間と想定し、弱気転換は8月18日夕安値割れからとし、その際は23日夜から25日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月18日夕安値への下落時に先行スパンからの転落を試したが切り返しているのでまだ上昇余地ありとして遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落の場合は下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は18日夕の下落時に30ポイント台へ低下したところから50ポイント超えへ戻しているので上昇再開に入っていると思われる。50ポイント台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは70ポイント台を目指す上昇を想定するが、45ポイント割れを弱気転換注意とし、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月18日夕安値12.87円を下値支持線、19日朝高値13.07円を上値抵抗線とする。
(2)12.87円以上での推移中は上向きとし、13.07円超えからは13.10円台前半(13.10円から13.15円)を目指すとみる。13.15円以上は反落警戒とするが、12.95円以上での推移なら20日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.87円割れからはいったん下げに入るとみて12.80円前後への下落を想定する。12.80円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、12.87円以下での推移なら20日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月19日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
20:30 週次外貨準備高(グロス) 8/13時点 (8/6時点 677.4億ドル)
8月20
23:30 7月 中央政府債務残高 (6月 202.7億リラ)
8月23日
16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 79.5)
17:00 7月 観光客数 前年同月比 (6月 853.4%)
8月24日
19:00 7月 自動車生産台数 前年同月比 (6月 3.8%)
8月25日
16:00 8月 製造業景況感 (7月 114.8)
16:00 8月 設備稼働率 (7月 76.7%)
※ポイント要約は編集部
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