ジャクソンホールを控えて(1)
来週26〜28日には対面での経済シンポジウム(通称、ジャクソンホール)が開催されますが、直近の弱い米国経済指標の動きもあって、一時期ほどパウエルFRB議長の講演において金融政策に関する言及がされないのではないかという見方が増えてきているようです。
パウエルFRB議長は6月FOMC後の会見や7月議会証言において、複数回のFOMCでテーパリング議論を進めていくとともに、経済の状況を判断する段階にあり、テーパリングの前に知らせる、と金融政策の変更に慎重な姿勢を貫いています。8月4日のクラリダFRB副議長の講演ではタカ派な発言も出たものの、基本路線はパウエル議長の示す方向と考えてよいでしょう。
そしてパウエル議長と並んでハト派であり、パウエル議長の再任が無い場合には次期議長候補と目されるブレイナード理事は、7月末の講演では9月の統計を見れば自信をもって判断が可能と、少なくとも9月の経済指標を見たいという考えを示しました。
こうしたことから、前回7月FOMCから9月FOMCまでの経済指標を見た上で、最短で9月FOMCで判断するという流れを想定すると、ジャクソンホールは無視はできないものの、金融政策に対して具体的な変更時期を示す可能性は非常に低いと言わざるを得ないと見ています。
また直近では新型コロナデルタ株、さらにはラムダ株と感染拡大の波が見られ、こうしたことも早期テーパリングには慎重にならざるを得ない材料でしょうし、最近のNFP(非農業部門雇用者数)は100万人の大台に迫る勢いの伸びではあるものの、コロナ前のピークから考えると総雇用者数はまだまだ低い状況です。
毎月、前月からの変化だけを見ていると気づきにくいので、非農業部門総雇用者数(NFPの累積)のグラフをご覧ください。
コロナショック前のピークが1億5252万3千人、前回の雇用統計のNFPが加わって1億4682万1千人、つまりコロナからの回復は大きいとはいえ、ピークと比べると570万2千人少ないわけですから、絶対的に望ましい数字があるとは思えないもののかなりその水準には近づいていること、ただ全く楽観視しているわけではないということがブレイナード理事の発言の真意というところだと言えるでしょう。
オーダー/ポジション状況
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