NZ中銀の金融政策記者発表要旨
本日のNZ金融政策で、中銀はオフィシャルキャッシュレート(OCR)を現行の0.25%に据え置きました。市場予想では0.25%の利上げ実施でしたが、コロナウィルス感染の再拡大による不透明感により現状維持になりました。但し、スタンスは緩和の縮小方向で一致しています。NZドル米ドル相場は発表後70ピップス程度NZドルが売られましたが、その後は昨日からのNZドル安に買い戻しが入り、0.69台を回復しています。
以下はNZ中銀金融政策記者発表要旨です。
(要旨の一部和訳)
金融政策委員会は、現行実施している金融政策、…オフィシャルキャッシュレート(OCR)を0.25%で維持…の緩和水準を保持することで合意した。政府要請によるNZ全土の活動で、レベル4のCovid制限を課していることに関連し、今日の決定は成されている。
委員会は進行中の状況に基づくインフレや雇用の見通しについて継続的に査定していく。それは政策提言を最も良く満たすため、時間経過と共に金融刺激策の水準を引き下げていくという見通しを持っている。これは7月に行った巨額債券購入プログラム(LSAP:Large Scale Asset Purchase programme)の下で、追加国債購入を停止したことに続くものである。
世界的な金融・財政策は依然として緩和的水準のままである。これにより国際的な支出や投資を下支えしている。多くの国でワクチン接種率の拡大は経済活動に弾みをつけている。活動の増加は需要やNZの輸出商品価格を支え続けている。
しかしながら、幾つかの地域で、Covid-19封じ込め政策の再出動の必要性が、ウィルスによりもたらされた重い健康被害や経済リスクを強調している。持続的で高率の健康リスクが世界的な供給チェーンの混乱を促している。そして、それが生産の稼働率を制約しインフレ圧力を長引かせている。NZ全土に亘る今日のレベル4の活動制限再導入は、ウィルスが如何に予測不可能で、破壊的であるかを示す明らかな例である。
委員会はNZ経済が他の多くの国よりもより強く回復していることを確認している。今日までCovid-19により引き起こされた国内の混乱は少ないと確認している。雇用は持続可能な最大水準かそれ以上であり、消費者物価のインフレ期待値は目標範囲の中間点である2%近くを維持している。
NZ経済の最近のデータでは、需要が強く、経済回復が広がっていることを示唆している。勿論、これには継続的に弱い部門、例えば国際観光業などがある。家計支出や建設活動は高水準で成長を続けている。そして企業投資は増加する需要に応えている。特に、最近の失業率や不完全雇用の低下にも関わらず、求人が非常に高い労働市場において、稼働圧力が明らかになっている。
1回限りのインフレ上昇…例えば原油高や一時的要因…例えば一時的な供給不足要因、あるいは高まる輸送コストなどで、幅広いインフレ圧力は、短期的に際立っている。目先の消費者物価インフレは2022年央頃に中間点である2%に向け戻る前、委員会の目標レンジを越えることが予想されている。
委員会は、既存水準の金融刺激策の必要性を減らしながら、インフレと雇用の付託を満たしていくことに自信があると合意した。しかしながら、委員会は、Covid-19が引き起こした供給混乱やこれにより自信が削がれる影響にはまだ警戒感を持っている。住宅価格もまた持続可能な水準を越えている。供給増加に伴う価格修正リスクが高まっている。
委員会は、インフレ期待が落ち着き、持続可能な最大雇用に向け貢献が続く限り、金融刺激策の水準を一段と引き下げる政策スタンスには後悔が少ないことで合意した。しかしながら、ロックダウン中の国内で不確実性が高まるとの今回会合で、OCRを据え置くことで合意した。
(以上)
(注)NZ中銀金融政策議事要旨は一部を和訳したものであり、詳細は金融政策要旨本文をお読みください。(出所:NZ中銀HP)
NZドル米ドル相場は、シカゴ295内で短期的なNZドル安トレンドライン0.6820〜0.7050を形成しており、月曜日段階ではまだ0.6940〜0.7050で収斂しているとしました。今日の金利据え置きでこの下限を割ったので、0.6820〜0.7050の下限方向を狙う構えに入っています。今日の底値は0.6870でしたが、この水準は7月20日底値0.6876のダブルボトムになっています。従いまして、0.6820の前に0.6870にサポートが出来ています。上値は0.6940を切って下値トライでしたので、現状では0.6870〜0.6940レンジが中心となり、下値を切れば0.6820のトレンドライン下限、越えれば0.7000と0.7050の抵抗線方向への戻りを試す流れになります。
(8月18日14:40、1NZドル=0.6929米ドル)
次回のNZの金融政策は2021年10月6日(水曜日)に予定されています。
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