ドル円 依然レンジ内だがリスクは下方向にバイアス(8/16夕)

週明け16日の東京市場はドルが弱含み。先週末の流れを継ぐ格好でドル安進行、直近安値を再び更新している。

ドル円 依然レンジ内だがリスクは下方向にバイアス(8/16夕)

依然レンジ内だがリスクは下方向にバイアス

〇ドル円、109.75まで値を上げるも日米株価の下落でドル売り優勢となり109.30-35まで下落
〇本日東京時間は円全面高、ドル円以外クロスも下値を試す展開でユーロ円は129円割れと7/20以来の安値
〇反政府武装勢力タリバンがアフガニスタン首都カブールを制圧、ガニ大統領は敗北を認める声明発表
〇バイデン大統領が国務長官らとアフガン対応協議、英国がNATOに緊急会合要請など緊迫度合い増す
〇本日発表の8月NY連銀製造業景況指数に注意、サプライズとなれば市場が荒れる可能性
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ108.80-109.80

<< 東京市場の動き >>

週明け16日の東京市場はドルが弱含み。先週末の流れを継ぐ格好でドル安進行、直近安値を再び更新している。

先週末は、アフガニスタン情勢が大きな話題に。反政府武装勢力タリバンが首都カブールにまで達するなか、ガニ大統領は国外脱出するとともに敗北を認める声明を発表している。一方、15日の「終戦の日」を前後して日本の現役閣僚数人が靖国神社を参拝。これに中韓からクレームが相次いでいた。
そうした状況下、ドル/円は110.55-60円で寄り付いたのち、当初はドル買い優勢。日中高値である109.75円レベルへと値を上げている。しかし、日米株価が大きく下落したことなどが嫌気されると、リスク回避志向が強まりドル売り・円買いが優勢に。一時109.30-35円まで下落し、そののち16時現在でもドルは安値圏109.35円前後で推移、欧米市場を迎えていた。
なお、本日の東京時間は円全面高。ドル/円以外、クロスも下値を試す展開で、とくにユーロ/円は129円割れ、7月20日以来の安値を一時示現している。

一方、材料的に注視されていたものは、「アフガン情勢」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、前述したような状況で、タリバンがアフガニスタンをほぼ制圧したことが明らかに。それを受け、日米などは、同国の首都カブールにある大使館職員を国外に退避させる方針を表明している。さらに、休暇中のバイデン米大統領は滞在先の別荘からテレビ会議方式で、ブリンケン国務長官やオースティン国防長官らとアフガン対応を協議したほか、英国がNATOに緊急会合を要請。ノルウェーなどは安保理の緊急理会合を要請していた。情勢は一気に緊迫の度合いを増している。
対して後者は、中国紙・環球時報が、北朝鮮の李駐中国大使が取材に応じ、米韓合同軍事演習に対して「朝鮮半島情勢をさらに悪化させる、自ら滅亡を招く行為だ」と非難したと報じるなか、本日から9日間に及ぶ米韓演習が実際に開始している。そののち、ここまで目立った反応は見られないが、北朝鮮の金統一戦線部長は11日、「演習を実施すれば報復する」可能性を示唆していた。今後は北朝鮮によるミサイル発射などの武力挑発にも要注意だ。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円は大局的に見た場合、依然としてレンジ内だが、3日に記録した安値108.72円が意識され始めている。ちなみに、同安値を起点とした短期上昇に対するフィボナッチ61.8%109円半ばはすでに下回っており、次のターゲットは76.4%戻しの109.20円か。そのレベルを下回ると109円割れトライ、108.72円が名実ともに視界内に。
為替のみならず金融市場全般で、米ファンダメンタルズならびに金利動向への関心が高いという状況に変化なし。ただ、短期的には先で取り上げた「アフガン情勢」と「北朝鮮情勢」という2つの地政学リスクに加え、「新型コロナ(デルタ株)の感染拡大」が加わり、市場は全体的にリスク回避志向を強めているようだ。来週のジャクソンホール会合を視野に捉えつつも、短期的には調整的な円買いが続く可能性もありそうだ。

テクニカルに見た場合、円は全面高の様相で、ドル/円もやや円高方向にバイアスのかかった動きとなっている。このままの勢いで109円割れ、さらにレンジ下限である108.72円を目指す展開をたどるのかに注目だ。
その反面、目先ドルの抵抗となりそうなのは109円後半に位置する2本の移動平均線。21日線などが上値を拒み、110円台乗せを阻止する可能性もある。

材料的に見た場合、中長期的には、本日発表された経済指標の悪化も気掛かりな「中国情勢」や、ワクチンの3回目追加接種も取り沙汰されている「デルタ株の中心とした新型コロナウイルス変異種」、24日からのパラリンピック開催も含めた「日本の政局」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、8月のNY連銀製造業景況指数が発表される見通しだ。それを除くと決まり物の材料はやや乏しいものの、今月は6日の雇用統計をはじめ、米経済指標のサプライズが多く、市場の波乱要因となることもある。依然として「夏枯れ」の様相もうかがえるだけに、数字如何では荒い値動きも。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.80-109.80円。移動平均の90日線が位置する109.65円前後が最初の抵抗。超えれば同21日線も近い110円前後がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先で指摘したフィボナッチポイントの109.20円をめぐる攻防にまずは注目。下回ると109円割れ、前回安値108.72円も視界内に入ってくる。

依然レンジ内だがリスクは下方向にバイアス

ドル円日足

※ポイント要約は編集部

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