東京盆休みのなか、ドル上放れるかを注視(週報8月第2週)

先週のドル/円相場は、終わってみればドルが小高い。週の半ばまでは下値を試す展開だったが、週末に掛けてはドル逆行高となり、結局高値で大引けている。

東京盆休みのなか、ドル上放れるかを注視(週報8月第2週)

東京盆休みのなか、ドル上放れるかを注視

〇先週のドル円、週央にかけドル安進行し一時108.72まで下落
〇その後週末発表の米雇用統計が良好で110円台を回復、週間高値の110.36を示現
〇東京勢が「お盆休み」に入ることでの「薄商い=荒れ相場」を警戒する声も
〇今週は7月消費者物価指数や8月ミシガン大消費者信頼感指数などの米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは、109.30-111.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、終わってみればドルが小高い。週の半ばまでは下値を試す展開だったが、週末に掛けてはドル逆行高となり、結局高値で大引けている。

前週末、米CDCがコロナについて、「『デルタ株』の場合にはワクチン接種後もウイルスを感染させる可能性がある」との分析を発表し話題に。また、米国務省はブリンケン長官が2日から始まる東南アジア諸国連合(ASEAN)の関連のオンライン会合に出席すると発表していた。

そうした状況下、ドル/円は109.65-70円で寄り付いたのち、緩やかな右肩下がり。週央にかけてドル安が進行すると、レンジ下限を割り込み一時108.72円まで下落している。しかし、安値示現後は急速に切り返すと「行って来い」に。週末には110円台を回復し、週間高値の110.36円を示現。週末NYでも、そのままドルは高値圏を維持し、110.20-25円で取引を終え越週している。
なお、先週はNZドルやトルコリラ絡みの取引でも目を引く動きが観測されたが、もっとも興味深かったのはユーロ/ドルか。底堅かった1.1850ドルレベルをしっかり割り込むと急落。週末にかけ、さらに100ポイント近く下落し、週間の安値引けとなった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米ファンダメンタルズと金融政策」と「新型コロナ」について。
前者は、米要人発言を見た場合、週間を通してタカ派的なコメントが目に付く。たとえば、ウォラーFRB理事は条件付きながら、「10月までに量的緩和策の縮小に着手する可能性がある」、クラリダFRB副議長も「23年の利上げ開始を支持する」などと述べていたようだ。そうしたなか、当初発表された米経済指標、ISM製造業景況指数やADP雇用統計が予想以上の悪化となり、前述したような要人強気発言の影響を相殺。しかし、週末に発表された米雇用統計はもっとも注視されていた非農業部門雇用者数、失業率などが良好な内容でドル買い安心感を醸していた感を否めない。

対して後者は、米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計で、新型コロナウイルスの累計感染者数が2億人を超えたことが明らかに。ちなみに、1億人に達したのは今年の1月。そののちわずか半年あまりで倍増した計算だ。とくに7月以降の急増が目に付く結果となっている。また、個別に見ても武漢市を省都とする中国湖北省の衛生当局が「1年ぶりに市中でコロナ感染者が確認された」と発表したこと、ロイターが自社の推計として「米国のコロナ新規感染者が10万人超に、6ヵ月ぶり高水準」と報じたことなどが話題になっていた。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、一旦レンジを下放れた感も見られたが、結果は「ダマシ」。むしろ週末に掛けてはドル高が進展する展開だった。そんなドル/円は異なる期間によって幾つかのレンジを形成しており、もっとも短期、小さなものは過去1ヵ月程度続く108.70-110.70円の2円レンジとなる。一方で、前述したように、先週末のNYクローズは110.20-25円。レンジ上限も視界内に捉えられているだけに、今週しっかりと超えられるか否かにまずは注目したい。

前述したような状況下、マーケットでもっとも注視されているものは引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。先週発表された米経済指標は全体としてはまだら模様だったが、週末の雇用統計が良好だったことで、市場筋のあいだでは再び「早期テーパリング」への期待感が高まっているようだ。そうした意味もあり、今週も消費者物価指数など発表される米経済指標への関心は依然として高い。また、東京勢がいわゆる「お盆休み」に入ることでの「薄商い=荒れ相場」を警戒する声も少なくなかった。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円は紆余曲折を経たのち、形成レンジを当初よりやや拡大させた2円幅にし、そのなかでの一進一退。つまり、大きな意味ではいまだ方向性は乏しい状況だ。ただしリスクとしては上向き、レンジ上限超えを視野に入れているだけに、このままドルが続伸するのか否かをまずは注視されている。しっかりとブレークすれば111円台を回復、年初来高値111.66円も意識されかねない。

そうしたなか今週は、7月の消費者物価指数や8月のミシガン大消費者信頼感指数といった米経済指標が発表される予定だ。また米地区連銀総裁による講演なども少なくない。一方、米議会が休会入りするなか、債務上限問題などをめぐる心理戦や水面下の動きにも注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.30-111.50円。ドル高・円安については、前回高値の110.59円そして短期のレンジ上限にあたる110.69円をめぐる攻防にまずは注目。超えれば年初来高値111.66円が視界内に。
対するドル安・円高方向は、先週末にしっかりと上抜けてきた移動平均の21日線が位置する109.90円前後が最初のサポート。下回っても底堅そうで、109円半ば前後などでは一度下げ止まりそうだ。

東京盆休みのなか、ドル上放れるかを注視

ドル円日足

※ポイント要約は編集部

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