トルコリラ円見通し 12円台後半中心の持ち合い続く(21/7/27)

トルコリラ円の7月26日は12.93円から12.76円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 12円台後半中心の持ち合い続く(21/7/27)

12円台後半中心の持ち合い続く

〇トルコ円昨日は12.76-93レンジ、経済指標発表前に調整的に売られるも、結果概ね良好で買い戻される
〇トルコリラ、安値更新が続いたが、物価上昇が終息しない限り中銀も利下げ不可能とみてリラ売り鎮静化
〇トルコ7月製造業景況感は114.8と6月から上昇し市場予想を上回り、2012年4月以来の高水準に
〇12.80以上で推移中は上向き、12.91超えから12.96試し、12.95以上は反落注意
〇12.80割れから12.76試し、12.76手前では買戻しも入りやすいが割り込む場合、12.67を目指すとみる

【概況】

トルコリラ円の7月26日は12.93円から12.76円の取引レンジ。
7月16日に12.97円を付けて6月21日安値12.48円以降の戻り高値を切り上げたが、19日に12.67円まで反落した後は16日から19日までの高安レンジ内にとどまる動きが5日間続いている。
7月26日は夕刻にかけていったん下げたが、16時発表のトルコ経済指標は概ね良好で予想の範囲だったため、発表前にややポジション調整的に売られたものの発表内容が確りしていたことで買い戻されている。ドル円が26日夕刻にかけて下落したことと対ドルで同時刻帯で一時的にドル高リラ安の動きも見られたことが重なったようだ。
27日午前序盤は12.80円台後半での推移となっている。

【ドルトルコリラは7月16日以降の横ばいを続ける】

ドル/トルコリラの7月26日は8.62リラから8.51リラの取引レンジ。
6月25日に8.799リラまで史上最安値を更新したところから反騰に転じて7月9日から16日まで6日連続の日足陽線で上昇したが、7月16日夕高値8.46リラまで戻した後は8.55リラを挟んでほぼ横ばいの推移が続いている。26日夕刻にかけて一時的に下落したものの早々に買い戻されて元の水準へ持ち直している。
3月22日にアーバル前中銀総裁解任報道から急落し、トルコ金融政策への不信感から史上最安値を更新する流れが続いてきたが、トルコの物価上昇率がピークアウトしない状況の中で当面は利下げできないとみてリラ売りも収まっている。ただし本格的なリラ高へと進む材料には欠ける状況で様子見の動きといった印象だ。

【トルコ経済指標は良好】

【トルコ経済指標は良好】

7月26日夕刻に発表されたトルコの7月製造業景況感は114.8となり6月の113.0から上昇、市場予想の111.5を上回った。同指数は昨年4月にパンデミック発生により66.8まで低下してからは持ち直し傾向を続けている。今年4月に111.0まで上昇してから5月は110.3までいったん小幅に低下したが6月、7月と盛り返しており、7月の114.8は2012年4月の115.4以来で最高水準となっている。

7月のトルコ設備稼働率は76.7%となり6月の76.6%から若干上昇した。前月から横ばい無いしは若干低下との市場予想を上回った。昨年2月に76.0%だったところから昨年4月に61.6%まで急低下したが、その後は徐々に持ち直しており、7月の76.7%は昨年4月以降で最高水準となっている。
トルコでは感染拡大の第三波の発生も収束傾向にあり、感染拡大の波を超えながら製造業を中心に着実な回復を続けている。経常収支が恒常的に赤字で観光収入が穴埋めする構造の下で観光収入が激減した状況から大きくは改善できていないこととエルドアン大統領による理不尽な利下げ要求等による金融政策への市場不信があるものの、土台の経済は確りしている。

7月26日夜に発表された週次の外貨準備高(グロス)は7月16日時点で628.8億ドルとなり前週の625.8億ドルから増加、2020年4月の640.8億ドル以来の高水準となった。5月までは500億ドルを割り込んだ水準だったが、6月に500億ドルをこえてからは増加傾向を継続している。スワップ協定による増加と金融機関に対する外貨預金の準備高引き上げ等によるリラ売り規制等を反映した動きと思われる。ネットでも241.4億ドルとなり2021年4月の99.3億ドルからの改善傾向が続いて2020年9月以来の高水準となっている。現金ベースではまだ不足感があるものの、見掛けのリラ防衛力としては改善傾向を示している

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月16日夕高値へ一段高したところから反落したが19日深夜安値12.67円でサイクルボトムを付けて反騰入りしてきた。高値形成期は21日午後から23日夕にかけての間と想定されたが、23日深夜へ高値を切り上げてから26日夕刻へいったん下げ、その後に大きく戻しているので23日深夜高値を直近のサイクルトップ、26日夕安値を同サイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしていると思われる。新たなトップ形成期は28日夜から30日深夜にかけての間と想定するが、ダブルトップ型で終わる可能性もあると注意し、26日夕安値12.76円割れからは弱気サイクル入りとして29日夕から8月2日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夕刻へ反落したところで遅行スパンが悪化した。その後の反発では好転できずにいるがややジリ高基調で推移すれば好転しやすい位置にあり、12.90円超えへ進めば先行スパンも突破してくるので、遅行スパン好転からは高値試し優先とする。ただし26日夕安値割れからは一段安へ進むとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は26日夕刻の下落時に20ポイント台へ低下したがその後は50ポイント台をいったん回復する反発となった。40ポイント以上での推移中は上昇余地ありとし、60ポイント超えからは70ポイントを目指す上昇を想定するが、40ポイント割れへ低下する場合は一段安警戒とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7月26日夕安値12.76円を下値支持線、12.91円を上値抵抗線とする。
(2)12.80円以上での推移中は上向きとし、12.91円超えからは23日深夜高値12.96円試しとみる。12.95円以上は反落注意とするが、12.85円以上での推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.80円割れからは12.76円試しとみる。12.76円手前では買い戻しも入りやすいとみるが、12.76円を割り込む場合は23日深夜からの下落が二段目に入るので7月19日深夜安値12.67円を目指す下落期入りと考える。12.80円以下での推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月28日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
7月29日
 16:00 7月 経済信頼感指数 (6月 97.8)
 20:30 外貨準備高 7/16時点 (7/9時点 625.8億ドル)
7月30日
 16:00 6月 貿易収支 (5月 -41.3億ドル)
 17:00 6月 観光客数 前年同月比 (5月 3038.38%)
 20:30 外貨準備高 7/23時点
8月02日
 16:00 7月 イスタンブール製造業PMI (6月 51.3)
8月03日
 16:00 7月 消費者物価上昇率 前月比 (6月 1.94%)
 16:00 7月 消費者物価上昇率 前年同月比 (6月 17.53%)
 16:00 7月 生産者物価上昇率 前月比 (6月 4.01%)
 16:00 7月 生産者物価上昇率 前年同月比 (6月 42.89%)


※ポイント要約は編集部

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