ユーロ 緩やかな下降トレンドを継続(週報7月第4週)

緩やかなユーロ安トレンドを継続していると見られます。

ユーロ 緩やかな下降トレンドを継続(週報7月第4週)

ユーロ 緩やかな下降トレンドを継続

〇先週のユーロ、1.1752-1830レンジ、1.17台後半中心の動き
〇月曜はNYダウ大幅安でドル売りユーロ買い、その後ECB理事会を前に上値が重たい展開
〇ECB理事会直後ユーロ売りから急速な買い戻し、その後に改めて売りと荒っぽい上下となる
〇ECB理事会、予想通り緩和政策の長期的継続を示す、政策転換の動きは来年以降となるか
〇緩やかなユーロ安トレンドを継続、3月につけた年初来安値1.1703レベルを視野に入れつつある
〇今週は1.1710レベルをサポートに1.1810レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、月曜にダウがNY市場で大幅安となった際にはドル売りの動きからユーロ買いの動きとなりましたが、それを除くと木曜のECB理事会を前にして長期的な緩和政策コミットの思惑から上値が重たい展開を続けました。

ECB理事会では予想通りにフォワードガイダンスを変更、インフレ目標をこれまでの2%未満からシンメトリックな2%(2%を中心に上下対称な水準)としたことで、一時的な上振れを容認しました。また理事会後のラガルドECB総裁会見において、緊急購入プログラム終了は絶対的に時期尚早とテーパリングは全く考えていないこと、政策金利はインフレ率が持続的に2%に達すると確信できる場合にのみ引き上げと、緩和政策を長期的に継続することを強く示したと言えます。

直後のユーロ売りから急速な買い戻し、その後に改めて売りと荒っぽい上下となりましたが、基本的には同日NY後場以降のユーロの上値の重たい動きから考えて、ECBの金融政策変更は間違いなくFRBよりも後になり、次は今週のFOMCを見ようという動きになってきたと考えられます。しかしFOMCもパウエルFRB議長の議会証言から考えると少なくとも今回のFOMCはまだ経済情勢を見極める段階にあり、動きが出てくるとしても次回9月のFOMC以降となります。

ECBにしてもFRBにしても、一部タカ派のメンバーからは政策転換が遅れるリスクも指摘されていますが、動きが出てくるのは米国が年内第4四半期、ECBは来年以降でまだその時期には到底なっていないというのがECBからのメッセージと見て間違いありません。金曜には欧州主要国の4〜6月期GDP速報値が出ますが、仮に良い数字だとしても一時的な反応に留まると見られます。

なお、ラガルド総裁の会見では現在のデルタ株感染拡大は想定範囲内という見方を示し、経済活動に与える影響はあるものの、第2四半期に回復し、規制が緩和されたことで第3四半期には力強い成長を見込むとしましたが、これは欧州に限らず世界の主要国においてほぼ共通の見通しと言えます。あとは地域によって数か月レベルでの差が出てくる程度の話です。

短期的には大きく影響を与える材料もありませんのでテクニカルに移ります。いつもの日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

先週示した2つの平行下降チャンネルのうち幅の狭い方を残して表示してありますが、現在は、この平行下降チャンネル(ピンク)の中で緩やかなユーロ安トレンドを継続していると見られます。また逆N波動のターゲット61.8%エクスパンション1.1745をターゲットとしましたが、この水準についてはほぼ達成したと言ってよいでしょう。

先週の動きを見ていると引き続き、同ターゲットはサポートとなりやすい水準ですが、下降トレンドが継続していく中で最終的なターゲットとしては3月につけた年初来安値1.1703レベルを視野に入れつつあります。そうは言っても最近は値幅も限られていますので、今週は7月安値をやや更新しつつ、上値も切り下げてくる展開を考え、1.1710レベルをサポートに1.1810レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週はユーロ円の日足チャートです。

今週のコラム

先週のユーロ円は株高の影響も大きく20日安値128.59レベルから反発していますが、大きくは6月の年初来高値以降は高値を切り下げる動きが続いています。先週の高値は6月下旬の高値と7月安値との38.2%戻し130.15(赤のターゲット)の水準で止められていますが、6月中旬からのレジスタンスライン(青)が、この38.2%戻しと半値戻し130.63(赤のターゲット)の間を今週は下げています。

このレジスタンスラインまで上がるとは限りませんが、現行水準から上がるようであればいったん売り場となる可能性が高いように思えます。ユーロドルの緩やかな下げと合わせて考えると、ドル円も横ばいもしくは下げる方向に変化を生じやすくなってくるというところでしょうか。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

7月26日(月)
17:00 ドイツ7月企業景況感

7月27日(火)
 (特になし)

7月28日(水)
15:00 ドイツ8月消費者信頼感
15:00 英国7月住宅価格
15:45 フランス7月消費者信頼感
27:00 FOMC結果発表

7月29日(木)
15:45 フランス6月PPI
16:55 ドイツ7月失業率
18:00 ユーロ圏7月消費者信頼感
21:00 ドイツ7月CPI速報値

7月30日(金)
14:30 フランス4〜6月期GDP速報値
14:30 フランス6月消費支出
15:45 フランス7月CPI速報値
17:00 ドイツ4〜6月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏4〜6月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏7月CPI速報値
18:00 ユーロ圏6月失業率

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

週後半が連休となりましたので、ユーロ週報も今週はイレギュラーな書式です。

7月19日(月)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場ではユーロ円での円買いに引っ張られてのユーロ売りとなりました。欧州株が弱かったこともユーロの上値を抑えましたが、NY市場では米株の下げが大きかったことから一転ドル全面安の動きとなり、1.1825レベルまで反発後に若干押して引けました。

7月20日(火)
ユーロドルはドル買い戻しの動きからユーロの上値が重たい地合いが続いていましたが、NY市場では1.1756レベルまで水準を下げ前日の安値を下回る動きを見せました。引けにかけてはやや買い戻されたものの、木曜のECB理事会を前に積極的な取引は手控えられていました。

7月21日(水)〜7月23日(金)
ユーロドルは、木曜のECB理事会で緩和スタンスが再確認されるとの思惑から水曜欧州市場序盤までユーロ売りが続き1.1752レベルの安値をつけました。その水準を安値にECB理事会まではイベント前の買い戻しが目立ち、1.1800間近の水準でのイベント待ち。
ECB理事会では予想通りフォワードガイダンスを変更し政策点検の内容を踏襲、物価の一時的な上振れを容認し、大規模緩和の継続を約束しました。初動はユーロ売りだったものの直後には週間高値となる1.1830レベルへと上伸、さらに1.1757レベルへと反落と荒っぽい動きとなりました。要因は仕掛けとポジション調整と見られますが、金曜にはもみあいながらも上値の重たい展開となり、緩和継続によるユーロ安という見方に落ち着いた動きとなりました。

ディスクレーマー

アセンダント社が提供する本レポートは一般に公開されている情報に基づいて記述されておりますが、その内容の正確さや完全さを保証するものではありません。また、使用されている為替レートは実際の取引レートを提示しているものでもありません。記述されている意見ならびに予想は分析時点のデータを使ったものであり、予告なしに変更する場合もあります。本レポートはあくまでも参考情報であり、アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、為替やいかなる金融商品の売買を勧めるものではありません。取引を行う際はリスクを熟知した上、完全なる自己責任において行ってください。アセンダント社および二次的に配信を行う会社は、本レポートの利用あるいは取引により生ずるいかなる損害の責任を負うものではありません。なお、許可無く当レポートの全部もしくは一部の転送、複製、転用、検索可能システムへの保存はご遠慮ください。

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る