来週は犠牲祭明けのリラ売り再開およびボラティリティ拡大に要注意
〇トルコ円週初リスク回避の動きに12.69まで下落するも売り一巡後は下げ渋り週末12.98まで反発
〇トルコ犠牲祭の大型連休(7/20-25)で方向感に欠ける値動き
〇テクニカルにはトルコ円持ち直し基調なるも「雲」、90日線に頭抑えられ上値余地は限られる
〇ファンダメンタルズもキプロスをめぐるEUとトルコの関係悪化等懸念材料増える
〇トルコ円反落がメインシナリオ、連休明けの売り圧力によるダウンサイドリスクに要注意
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.60ー13.10
今週のレビュー(7/19−7/23)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.89円で寄り付いた後、@新型コロナウイルスの感染再拡大懸念や、A上記@を背景とした世界経済の先行き不透明感、B株式市場や原油先物価格の急落を受けたリスク回避ムードの高まり、Cトルコ7月消費者信頼感指数(結果79.5、前回81.7)の冴えない結果が重石となり、週明け早々に、週間安値12.69円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Dトルコ国内の大型連休入り(7/20ー7/23は犠牲祭)を前にしたポジション調整や、E欧米株及び原油先物価格の持ち直しを背景としたリスク選好の動きが支援材料となり、週末にかけて、週間高値12.98円まで反発しました。もっとも、心理的節目13.00円手前で伸び悩むと、FEU・トルコ関係の悪化懸念(キプロスを巡ってエルドアン大統領が「北キプロス・トルコ共和国」の分離独立を支持)や、G米・トルコ関係の悪化懸念(ロシア製地対空ミサイル「S400」を巡り、ヌーランド米国務次官は「米国は対トルコ制裁を維持することにコミットしている」と発言)、H犠牲祭明けのリラ売り再開の思惑などが重石となり、結局12.92円前後まで押し戻されての越週となっております。
来週の見通し(7/26−7/30)
トルコリラの対円相場は、トルコ国内における大型連休入り(7/20ー7/23は犠牲祭)の影響もあって、方向感に欠ける値動きとなりました。チャート的には、6/2に記録した約7ヵ月ぶり安値12.45円をボトムに持ち直す動きが続いていますが、上方から一目均衡表雲上限や、90日移動平均線が垂れ下がってくることを踏まえると、余程強いリラ買い材料が出てこない限り、上値余地は限られると予想されます(90日移動平均線と一目均衡表雲上限が重なる13.02円前後では戻り売りが強まる可能性あり)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による根強い利下げ観測(市場では引き続き年内50bpの利下げが織り込まれている状態)や、A国内から国外への資本流出圧力(中銀の独立性に対する不信感)、Bトルコ経済の先行き不透明感(景況感が冴えない中での悪いインフレ圧力)、Cキプロスを巡るEU・トルコ関係の悪化懸念、DS400を巡る米・トルコ関係の悪化懸念など、トルコリラの下落を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ勢が大型連休から戻ってくる他(犠牲祭前は外貨売り・リラ買いが強まり易く、犠牲祭後は一転して外貨買い・リラ売りが強まる傾向にあり)、7/26のトルコ7月設備稼働率、7/30のトルコ6月貿易収支に注目が集まります。経済指標が市場予想を下回る結果となった場合は、犠牲祭明けのリラ売り圧力も相俟って、トルコリラに大きな下押し圧力を加える恐れもあり、来週は特にダウンサイドリスクに注意が必要でしょう(高値圏から反落する展開を想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.60ー13.10
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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