ドル続落要注意だが、米株価の動き次第
〇ドル円、日米株価の動きなど注視しつつ積極的な売買は見送られ終日値動きは25ポイント程度に
〇昨日の動きからドル続落の懸念もあったが持ち直し、予断は許さないが情勢見極めへ
〇NZドルが対円で半年ぶりの安値圏に、対ドルでは一時年初来安値を更新
〇本日発表の米6月住宅着工件数や同建設許可件数などに注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ109.20-110.20
<< 東京市場の動き >>
20日の東京市場はレンジ取引。ドルは戻り歩調という動きを見せたものの、その上値は重かった。
ドル/円は109.45円前後で寄り付いたものの、基本的には小動き。実際、終日を通した値動きは25ポイント程度にとどまっている。ゴトー日ということでの需給要因や、引き続き日米株価の動きなどを注視しつつも、積極的な売買は見送られていた。16時現在では109.50-55円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、そうしたなか気を吐いた変動をたどっていた通貨がNZドル。対円では半年ぶりの安値圏に達したほか、対ドルでは一時年初来安値を更新していた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「中国情勢」について。
前者は、フランス政府がコロナ感染について「第4波に入った」と表明。また、豪州もメルボルンを州都とするビクトリア州が「まだ封じ込められていない感染経路がある」としたうえで、ロックダウンの延長を発表していた。ともに厳しい措置の導入が続く。その一方、英国ではジョンソン首相が「フリーダム・デイ(自由の日)」と位置付け、イングランドのコロナ規制を全面解除したが、国内では感染者数が再び急増している。パンデミック脱却に向けた道のりはいまだ不透明だ。
対して後者は、ノルウェー政府が、3月に発生した議会へのサイバー攻撃は「中国が発信源」と発表するなか、米国も日欧などとともに、今年明らかになった米マイクロソフトへの大規模な攻撃が、中国のために活動しているハッカーの仕業だと指摘した。さらに、後者と絡め米司法省は世界的なサイバー攻撃に関与したとして中国人4人を起訴したと発表している。舞台をサイバー空間に移した米中などの争いはさらに激しさを増しているようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日欧米時間、予想以上の米株安進行などもあり、為替市場でドル/円も連れ安推移となった。形成していたレンジ下限の109円半ばを一時割り込んでいる。昨日の動きからすれば、ドルの続落が懸念されても不思議はないが、本日東京では逆に持ち直しの動きが目に付く展開。予断は許さないものの、昨年来の相場は「ダマシ」が少なくないだけに、もう少し情勢を見極めたいところだ。
市場の関心は引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。そうした意味では本日も発表される米経済指標などに注目だが、先でも取り上げたような新型コロナの感染拡大が懸念されており、その影響は米国にも。経済活動の停滞を示唆するような伸び悩みの米指標も少しずつ具現化されており、パウエルFRB議長などの慎重姿勢と合わさると、ドル/円の上昇を抑制している感もある。なお、週末に向けた東京がロングウィークエンドを迎えるなか、荒っぽい変動をたどるといった警戒感も一部で取り沙汰されていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円はレンジの下限にあたるだけでなく、移動平均の90日線も位置する109円半ばを一時割り込む展開。ただ、本日東京では90日線に絡む水準までプルバックしており、「しっかり割り込んだ」というにはやや微妙かもしれない。リスクという意味ではドル安方向にバイアスはかかりそうだが、110円を回復するような展開となればその限りではなく、相場観は再びニュートラルに。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、6月の住宅着工件数や同建設許可件数が発表されるものの、新規要因にやや乏しい印象だ。ただ相場も夏休みムード、夏枯れの様相がジワリと強まるなか、逆に「薄商い=乱高下」を警戒する声も聞かれた。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.20-110.20円。心理的な意味も含め110円前後が最初の抵抗に。抜ければ、21日線も位置する110円半ばを目指す展開も。
対するドル安・円高方向は、昨日安値109.06円はかなり強いサポートか。ちなみに同レベルは、4月安値107.48円を起点とした上げ幅の61.8%戻しにもほぼ合致するテクニカルポインだ。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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