ランド円レポート月曜版
〇先週のランド、ズマ前大統領収監に対する暴動発生で週前半は対ドル、対円ともに売られる
〇対円では4月以来、対ドルでは3月以来のランド安となったが週末に向けて前週安値圏に戻す
〇コロナ感染拡大下での暴動で今後もランドの上値を抑える悪材料の方が多いという状況
〇今週は21日にCPI、強い数字なら一時的に利上げ期待が高まりランド買いにつながる可能性も
〇22日に南ア中銀の金融政策決定会合、今年5月の会合では次回利上げの可能性も示す
〇今週は7.40レベルをサポートに先週金曜の戻り高値7.65レベルをレジスタンスとする流れ
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、「過去3週間のレンジの下限と半値を基準に、上値は半値を若干上回る程度、下値も下限を若干切り下げる程度の値幅を考え、7.55レベルをサポートに7.75レベルをレジスタンスとする流れ」を見ていました。実際のレンジは、安値が7.45レベル、高値が7.71レベルとなり、予想に比べて思った以上にランド安が進んだ一週間となりました。
先週のランドは、新型コロナ感染者数が高止まりしている中で、ズマ前大統領の収監に反対して暴動が発生、ラマポーザ大統領は治安回復に向けて軍を出動させる事態にまで状況が悪化。この事態を受けて週前半はランドが対ドル、対円ともに売られることとなりました。対円では4月以来、対ドルでは3月以来のランド安となりましたが、週末に向けてはまずパウエルFRB議長の議会証言原稿がハト派的で新興国通貨にとってはやや好材料となったこと、また国内の情勢がやや落ち着いたことによる週末前のポジション調整が重なって前週安値圏に戻しての引けとなりました。
ここに来てズマ大統領収監に対して暴動が起きるというのは意外な感じもしますが、依然として前大統領を支持する派閥も与党内には残っているでしょうし、先進国に比べると政治的な扇動による部分も考えられ、今後も不安材料となる可能性があります。またコロナ感染拡大下での暴動や略奪など、感染拡大につながったリスクもありそうで、今後もランドの上値を抑える悪材料の方が多いという状況です。
そして今週は21日にCPI(予想4.8%)、22日に南ア中銀の金融政策決定会合(予想は現状維持)があります。ただ、今年5月の会合では次の動きは引き上げだと利上げの可能性も示していることから、CPIが強い数字となると一時的に利上げ期待が高まりランド買いにつながる可能性もありそうです。ただ、新興国はどこも同じような問題を抱えていて景気が悪化している中でのインフレとなると、長期的にはランド安材料とみなされるでしょう。
特に現状はコロナショック後のコスト・プッシュ・インフレ(生産コストの上昇によるインフレ)が起きやすい状況が続いていることが、新興国にはより強い悪材料としてのしかかってきていると言えます。おそらくはコンセンサス通りに現状維持になるとは思いますが、利上げをしてくる場合は、このようにより苦しい状況という判断をされる可能性に注意したいところです。
テクニカルにはどうでしょうか。まずランド円の日足チャートをご覧ください。
このチャートは先週も出しましたが、長期サポートラインを明確に下抜け、現在は6月下旬以降に引いたレジスタンスラインとそれに平行に引いたラインとで構成される下降チャンネルの中での推移であることがわかります。
中期的な下降トレンドにあるという前提で、いつもの4時間足チャート(上からランド円、ドルランド、ドル円)もご覧ください。
下降チャンネルは日足チャートに引いたものと同じです。今週も中銀会合でサプライズが無い前提で、この下降チャンネルの中での下げを継続すると見てよいでしょう。今週はチャンネル下限に重なる7.40レベルをサポートに先週金曜の戻り高値7.65レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
※ポイント要約は編集部
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