ユーロ今週も緩やかな下降トレンドを継続
〇先週のユーロ、週央1.1772まで下落の後、パウエル議長証言後のドル売りで戻すも、週後半は動意薄
〇今週のECB理事会、インフレ目標修正が内容に反映されると見るが、織込み済みで材料とはなりにくそう
〇今週は金曜のPMI速報値に注目、予想よりも強い=ユーロ買い、弱い=ユーロ売りという反応に
〇テクニカルには今週もこれまでのユーロ安トレンドを継続しやすい流れに
〇今週は1.1750レベルをサポートに1.1860レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、週初から水曜東京市場まではドル高の流れの中でユーロも水準を下げ、週間安値の1.1772レベルをつけました。NY市場に入りパウエルFRB議長の議会証言原稿が公表されると、今後複数回のFOMCでテーパリング議論を続けること、テーパリング開始前には知らせるという、ハト派が強調されたスタンスに米金利低下とドル安の動きから買い戻しが入りましたが、週初の高値は超えられず。その後は調整のユーロ売りが出たものの水曜安値トライも無くと、週後半は上値が重いながらも動意薄の流れが続きました。
今週はECB理事会と金曜のPMI速報値が注目されますが、ECB理事会では先々週に開かれた金融政策の点検においてインフレ目標が2%未満から2%へと修正されたことを受け、フォワードガイダンスにもこの修正が反映されると見られています。これまでは2%に近い2%未満でしたが、今後は2%前後で2%と一時的な上振れも容認される方向です。ただ、既に金融政策点検前後の動きで消化済みと考えられますし、米国よりも早くテーパリングが始まることも無いでしょうから、大きな材料とはなりにくそうです。
そして金曜のPMI速報値は7月分、直近の速報値となりますので、こちらのほうが重要でしょう。フランス、ドイツ、ユーロ圏ともにサービス業は前回からやや改善、製造業は前回から若干の悪化という予想が出ています。この予想に対して3地域ともに同方向で予想からずれるようであれば、素直に予想よりも強い=ユーロ買い、予想よりも弱い=ユーロ売りという反応になりやすいと思いますが、その場合でも先週のレンジを抜けるような動きにつながらなければ、あまり大きな動きとはなりにくいように思います。
いっぽうでテクニカルにはこれまでのユーロ安トレンドを継続していることが明確です。いつもの日足チャートをご覧ください。
先週示した平行下降チャンネル(青)の中で、やや狭い値幅での平行下降チャンネル(ピンク)を形成中で、着実に高値も安値も切り下げる展開となっています。先々週示した逆N波動のターゲット61.8%エクスパンション1.1745をターゲットに今週も下降トレンドを継続しやすい流れにあると考えられます。
下値はちょうどチャンネルの下側とターゲットが一致する水準ですが、上側は現状1.1855レベルを下降中とやや近い印象です。上ヒゲでのトライ程度はあるかもしれません。このピンクの下降チャンネルの値幅をベースに今週は1.1750レベルをサポートに1.1860レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
今週はポンドドルの日足チャートです。
ポンドドルもユーロドル同様に上値が重たい展開が続いています。短期的には6月下旬の戻り高値と7月高値を結んだレジスタンスラインとそれに平行な線で構成される下降チャンネルの中での動きと見ることが出来ます。
そしてこの下降チャンネルを横切っている水平線(赤)は4月安値ですが、短期的なターゲットとしては同水準を視野に入れていると言えそうです、同水準を抜けるか抜けないかで次の方向性を考えることとなるでしょう。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
7月19日(月)
08:01 英国7月住宅価格
18:00 ユーロ圏5月建設支出
7月20日(火)
15:00 ドイツ6月PPI
16:30 フランス中銀総裁講演
7月21日(水)
(特になし)
7月22日(木)
15:45 フランス7月企業景況感
20:45 ECB理事会
21:30 ラガルドECB総裁会見
23:00 ユーロ圏7月消費者信頼感
7月23日(金)
08:01 英国7月消費者信頼感
15:00 英国6月小売売上高
16:15 フランス7月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ7月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏7月製造業・サービス業PMI速報値
17:30 英国7月製造業・サービス業PMI速報値
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
7月12日(月)
ユーロドルは朝方から上値の重たい展開となっていましたが、ダウ先の下げが欧州株にも波及したことや、欧州市場序盤にデギンドスECB副総裁がテーパリングに慎重な姿勢を示したことから一時1.1836レベルの安値をつけました。NY市場ではダウ上昇による欧州株上昇からユーロドルも買い戻されましたが上値は重く1.18台半ばでの引けとなりました。
7月13日(火)
ユーロドルは1.18台後半で上値の重たい展開が続いていましたが、東京後場にユーロ円の下げもあって売りが先行しました。欧州市場ではテクニカルにザラ場ベースでのヘッド&ショルダーパターンの完成が意識される中、NY朝方に発表された米国CPIが予想よりも強かったことからユーロドルでのドル買い・ユーロ売りが強まりました。ヘッド&ショルダーパターンが完成しテクニカルにも売りが強まったことで、先週安値を下抜け1.1772レベルまで下落し安値引けとなりました。
7月14日(水)
ユーロドルはNY市場まで前日の米国CPI後のポジション調整からじり高の展開が続きましたが、パウエルFRB議長の市場参加者の想定以上にハト派な原稿公表でユーロは一段高、1.1839レベルまで上昇し高値引けとなりました。
7月15日(木)
ユーロドルは欧州市場前場まではドル円とドルの動きで歩調を揃え、欧州市場まではユーロ買い。その後売り直しが出る中でユーロポンドの売りもユーロの押しを強め朝方の安値を下抜けました。ドル円がNY後場に下げる動きとなり、弱い日経先物の影響もあってユーロ円にも売りが入り、ユーロドルは安値圏で上値の重たいままの引けとなりました。
7月16日(金)
ユーロドルはまったく方向感の無い動きが終日続きました。1.1805レベルをもみあいの中心にレンジも30pipに留まりました。ユーロ円はユーロドルが動かなかったことからドル円とともに上昇後の下げとなりましたが、週初からの下げの流れが再開した動きとなっていました。
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