『一時3ヵ月ぶり安値圏へ続落。南アCPIと南ア中銀会合に注目』
〇今週の南ア円、週央にかけ3ヶ月ぶり安値7.47まで急落
〇国内感染拡大とズマ前大統領支持者による暴動、シティグループの南アエクスポージャー引き下げが背景
〇その後南ア指標の好調、パウエル議会証言後のドル下落等で7.63に持ち直し越週
〇南ア円テクニカルには転換線、基準線、21日線、90日線を下抜け地合い弱い
〇ファンダメンタルズも南ア円下落を意識させる材料多い
〇南ア円相場の下落をメインシナリオとして予想、来週の予想レンジ(ZARJPY):7.40ー7.80
今週のレビュー(7/12−7/16)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.75円で寄り付いた後、@南アフリカ国内における新型コロナウイルスの感染拡大(ラマポーザ大統領は外出制限を更に2週間延長すると発表)や、A上記@を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感、Bズマ前大統領の警察当局収監に抗議することを目的としたズマ氏支持者らによる暴力行為の拡大(暴徒化)、C米シティグループによる南ア長期債と南アランドのエクスポージャーを引き下げたとの一部報道(南ア債のオーバーウェートの圧縮と、南アランドのアンダーウェートの構築)が重石となり、週央にかけて、約3ヵ月ぶり安値となる7.47円まで急落しました。
しかし、4/13に記録した直近安値7.45円をバックに下げ渋ると、D南ア5月小売売上高が市場予想を上回ったことに伴う安堵感や、EパウエルFRB議長が半期に一度の議会証言でハト派的なスタンスを滲ませたこと(米早期テーパリング観測後退→過剰流動性相場逆流リスク後退→投資家心理改善)、F南ア政府による軍隊派遣を通じた暴動の終息期待が支援材料となり、結局7.63円前後まで持ち直しての越週となっております(但し、週足ベースで3週連続の陰線引け)。
来週の見通し(7/19−7/23)
南アランド円相場は、6/7に記録した直近高値8.17円(約2年4ヵ月ぶり高値)をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、一時7.45円(約3ヶ月ぶり安値)まで下落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪さを印象付けるチャート形状となっております。ファンダメンタルズ的に見ても、@南アフリカ国内における新型コロナウイルスの感染拡大や、A上記@を背景とした南ア経済の先行き不透明感、B南ア国内の政情不安(軍隊派遣を通じて暴動はひとまず終息するも再開の恐れあり)、C世界同時テーパリングを背景とした過剰流動性相場の逆流リスク(南アフリカの主要産品である貴金属市場の下押し懸念)、D南アフリカ国内に広がるインフレリスク(実質金利低下)など、南アランド円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
こうした中、来週は7/21に発表される南ア6月消費者物価指数(CPI)と、7/22の南ア中銀の政策金利発表に注目が集まります。CPIが市場予想を上回る結果となった場合は、利上げ観測の浮上を通じて一時的に南アランド買いで反応する可能性があるものの、足元のように景気先行き不安が広がっている中での利上げは南ア経済の逆風にも繋がることから、一巡後は反落に転じる可能性が高いと予想されます(CPIが強くても弱くても、結果として南アランド売りに繋がる可能性が高い)。同様に、南ア中銀が声明文や記者会見で利上げの可能性を滲ませた場合も、経済への逆風を想起する形で、南ア株下落→南アランド売りの流れが活発化すると予想されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.40ー7.80
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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