トルコリラ円見通し 対ドルでの上昇続くが円高に押されて上値重い(21/7/16)

15日夜にかけての上昇で7月8日安値12.55円以降の戻り高値をわずかに切り上げたが上昇一服で深夜から反落した。

トルコリラ円見通し 対ドルでの上昇続くが円高に押されて上値重い(21/7/16)

トルコリラ円見通し 対ドルでの上昇続くが円高に押されて上値重い

〇昨日のトルコリラ円、ドル円が反発した夜に高値を切り上げたが、深夜からドル円の失速とともに反落
〇対ドル、7/15夜8.52へ上昇、6/25以降の高値更新、7/16午前序盤はやや下げ8.58前後で下支えられる
〇下げ一服で買い戻し優勢の状況だがリラ安要因は解消せず、今後の物価動向や利下げ圧力に要注意
〇12.86を超えないうちは一段安余地ありとし、12.75割れからは12.60台後半への下落を想定する
〇12.86乗せからは、12.90を目指す上昇へ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円の7月15日は12.86円から12.76円の取引レンジ。15日夜にかけての上昇で7月8日安値12.55円以降の戻り高値をわずかに切り上げたが上昇一服で深夜から反落した。
7月15日夕刻にかけてはドル円の下落が続く一方で対ドルでのトルコリラの上昇が続いて強弱交錯となり12.78円を挟んだ揉み合いとなっていたが、ドル円が15日夜へいったん反発したところでトルコリラ円も戻り高値を切り上げたものの勢いは続かず、深夜からドル円が再び失速するとともに反落している。
日足は7月9日から13日まで3日連続陽線での上昇だったが勢いに欠け、15日に13日の高値をわずかに超えたものの失速しているため、6月2日安値と6月11日高値を起点とした「下値支持線がやや切り上がり上値抵抗線が切り下がるレンジ縮小型の三角持ち合い」の範囲での推移となっている。

【米長期債利回り低下で対ドルでは6月25日の史上最安値以降のジリ高を継続】

ドル/トルコリラの7月15日は8.59リラから8.52リラの取引レンジ。
6月25日(26日早朝)に8.799リラまで下落して史上最安値を更新したところでリラ売り一巡となってリラ買い戻しの動きに入り、7月8日までは8.60ドル台序盤を上値抵抗として下落一服後の持ち合いだったところ、7月13日に8.60リラを超えて8.50リラ台に入ってからは上昇感が強まって15日夜には8.52リラへ上昇して6月25日以降の高値を更新した。16日午前序盤はやや下げているものの8.58リラ前後では下支えられている。

7月15日夜は米長期債利回りが総じて低下した。10年債利回りは7月8日に1.25%へ低下して3月31日の1.77%以降の最低水準となったところから7月13日の米消費者物価上昇率の上ブレにより1.42%へ上昇したが、14日のパウエル米連銀議長の下院証言から低下に転じており、15日も前日比0.05%低下の1.30%となっている。このためドル円は15日夜の小反発が続かずに失速して7月2日からの下落基調を継続、7月8日夜安値割れへの余裕が乏しくなってトルコリラ円への圧迫要因となっている。
一方でユーロドルは15日夕刻へ戻してから深夜に反落、ポンドも同様に夜へ戻してから反落、豪ドル円が続落基調となるなどドルストレートではドル高のぶり返し感も出ているが、ドル/トルコリラは他通貨動向による影響よりも史上最安値更新後のリラ買い戻しの動きと利下げは当面ないとしてのリラ買いを優先する形で徐々に戻り高値を切り上げる展開を続けている。

【エルドアン大統領の利下げ要求とインフレ進行による利下げ不能のジレンマ】

7月15日はトルコの国民統一の日で祝日だった。
2016年7月15日にクーデター未遂事件が発生したがエルドアン大統領は政権を維持してクーデター派及び反大統領派を粛正した。しかし、元来は国民の支持率も高かったものの景気悪化とリラ暴落等、シリア等周辺諸国への軍事介入等が繰り返される強権的なエルドアン政治に対する国民の信頼は大幅に低下しており、今年6月の世論調査では支持が不支持を下回る状況となっている。

大統領としては地政学的リスクを高めるような対外緊張政策による国民意識の統一を図るとともに景気拡大により国民の支持を回復したいところだが、足元のインフレ進行とリラ安が大きな足かせとなっている。6月1日には利下げへの言及が報じられてリラが対ドル及び対円で急落し、7月5日発表の6月物価上昇率も予想を超える上ブレとなったが、6月17日及び7月14日のトルコ中銀金融政策決定会合では大統領による利下げ要求とインフレ抑制の板挟みで政策金利を現状維持として週間レポレートを19%で据え置いた。今のところは6月の消費者物価前年比17.53%を政策金利が上回っているが、さらに物価上昇が続いて利上げをしなければ事実上のマイナス金利状態に陥ることにもなりリラ暴落の再燃となりかねない。
当面は利下げができない状況が続くとみてドル/トルコリラは利下げ不安による暴落的な下げが一服して買い戻しが優勢の状況にあるがリラ安要因が解消したわけではなく、今後の物価動向や大統領による利下げ圧力によってはいつリラ売りが再燃しても不思議ないところにあると認識しておきたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月8日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰期に入ったとして14日夜にかけての間への上昇を想定してきたが、14日早朝高値12.85円に対して14日夜高値も同値にとどまって失速したために15日午前時点では14日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして15日夜にかけての間への下落を想定した。
15日夜の反騰で14日早朝高値をいったん超えてから反落しているため、14日早朝と15日夜の両高値をダブルトップとして新たな弱気サイクル入りしたと考える。ボトム形成期は20日午後から22日夕にかけての間とし、強気転換は15日夜高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では、14日早朝高値の後は12.80円を挟んだ高値圏の持ち合いで騰落しているので、15日夜高値を超えるところからは一段高入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、12.80円を下回る水準での推移中は一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は15日夜高値からの反落で50ポイント以下へ低下しているので50ポイント以下での推移が続くうちは一段安警戒とし、50ポイント台を回復して維持し始める場合は一段高へ向かう可能性もあるとみて60ポイント台後半を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.75円を下値支持線、12.86円を上値抵抗線とする。
(2)12.86円を超えないうちは一段安余地ありとし、12.75円割れからは12.60円台後半への下落を想定する。12.67円以下は反騰注意とするが、12.74円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.82円から12.85円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.86円乗せからは12.90円を目指す上昇へ向かうとみる。12.90円以上はいったん売られやすいとみるが、12.80円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

7月16日
 17:00 6月 財政収支 (5月 -134億リラ)
 20:30 外貨準備高(グロス) 7/9時点 (7/2時点 596.2億ドル)
7月19日
 16:00 7月 消費者信頼感指数 (6月 81.7)



※ポイント要約は編集部

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