トルコ中銀は4会合連続で政策金利据え置きだが予想通りで反応は鈍い
〇昨日のトルコリラ円は、12.85から12.74の取引レンジで小動き
〇14日のトルコ中銀金融政策決定会合では政策金利据え置きとなり当面は利下げはなし
〇対ドルでは7/8から安値切り上げ続き、日足は8日から4日連続の陽線でややジリ高の推移
〇14日早朝高値12.85を超えないうちは一段安余地あり、12.74割れからは12.60台後半への下落を想定
〇12.86乗せからは12.90を目指す上昇へ向かうとみる
【概況】
トルコリラ円の7月14日は12.85円から12.74円の取引レンジ。7月13日の取引レンジ内にとどまる小動きだった。
7月14日はトルコ中銀の金融政策決定会合があったが、市場予想通りの政策金利据え置きとなり、当面は利下げはないとして対ドルではトルコリラがやや上昇したものの、ドル円が110円割れへと反落したことに押されたためにトルコリラ円は小動きにとどまった。
7月8日に12.55円まで下げたところからは持ち直し気味となり9日から13日まではドル円の反騰に支えられて3日連続の日足小陽線で戻していたが、4連騰には至らずに4日ぶりに日足は陰線引けとなった。
【対ドルでは6月25日の史上最安値以降のジリ高続く】
ドル/トルコリラの7月14日は8.64リラから8.55リラの取引レンジ。13日の取引レンジと変わらずだったが、安値は7月8日からの切り上げが続いており、日足は8日から4日連続の陽線でややジリ高の推移となっている。
7月13日は米消費者物価上昇率が予想を超える上ブレとなったことで米長期債利回りが上昇して全般ドル高となったことはトルコリラにも売り圧力がかかる状況だったもののトルコリラはさほど影響を受けなかった。
トルコ中銀は政策金利を現状維持としたものの市場予想通りで反応薄く、その後に米生産者物価上昇率が予想を超えたがパウエル米連銀議長が下院議会証言で量的緩和縮小を急がない姿勢を強調したことで前日とは逆に米長期債利回りが大幅低下となって全般ドル安反応となった。対ドルでのトルコリラにはプラスだったものの動きは限定的で若干のドル安反応にとどまった。
6月25日(26日早朝)に8.799リラを付けて史上最安値を更新したところでリラ売りも一服となり、その後はややジリ高での戻りが続いている。
【トルコ中銀は予想通りの現状維持、利上げも利下げもできず】
トルコ中銀は7月14日の金融政策会合で政策金利の週間レポレートを19%で据え置いた。据え置きはカブジュオール現総裁が就任してから4会合連続で市場予想通りだった。
週間レポレートの他、翌日物貸出金利が20.50%、翌日物借入金利が17.50%、後期流動性貸出金利が23.50%でいずれも据え置かれた。中銀は従来通りに「インフレが顕著に低下するまで現状の緊縮を断固維持する」と表明した。
6月1日にエルドアン大統領が利下げに言及したと報じられたことでトルコリラ円は6月2日安値12.44円へ急落して2月16日高値15.26円以降の最安値を更新し、6月11日に13.21円までいったん戻した後は戻り高値を切り下げつつも安値更新を回避して三角持ち合いの様相での推移を続けている。
7月5日に発表された6月のトルコCPI上昇率が前年同月比で17.53%となり5月の16.59%から加速、前月比も1.94%となり5月の0.89%から伸びたため、中銀としてはエルドアン大統領による利下げ要求を意識しつつも利下げに踏み切ればリラ暴落を招きかねず、インフレ抑制のための利上げもできない状況に置かれている。
トルコのインフレ進行はリラ安による通貨インフレ要因とともに世界的な原材料相場の上昇が大きく影響している。パンデミックからの景気回復により欧米でも物価上昇が堅調となり、特に景気回復感が強い米国での物価上昇が米連銀に量的緩和縮小議論を開始させる状況となっているが、13日の米消費者物価及び14日の米生産者物価の上昇率がいずれも予想以上の上ブレとなっていることはトルコにとっても物価上昇が続きやすい世界情勢であることを示しており、トルコ中銀が簡単には利下げできない状況も続きやすいと思われる。
市場は今のところ、当面の利下げはないとしてややリラ高ドル安の動きを見せているものの、トルコの物価上昇がさらに続けば利上げ催促的なリラ売りが再燃しても不思議ではない。ドル/トルコリラとしては目先はややリラの買い戻し優勢でドル安リラ高へもう少し進んでも不思議無いが、トルコリラ円としては円高圧力もかかってくるところで6月2日以降の三角持ち合いから転落することも警戒されるところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月8日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰期に入ったとして14日夜にかけての間への上昇を想定してきたが、14日早朝高値12.85円に対して14日夜高値も同値にとどまって失速気味となっているので、14日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は15日夜にかけての間と想定されるが、ボトム形成期の延長入りの可能性もあるとみて14日早朝高値を超えないうちは一段安警戒とする。新たな強気サイクル入りは14日早朝高値超えからとし、その際は17日早朝から21日朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では7月14日夜の下落で遅行スパンが悪化した。先行スパンからの転落は回避しているものの転落への余裕が乏しい。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は14日夜の反落で50ポイント以下へと低下し、その後も50ポイント以下での推移が続いているので30ポイント割れへの下落余地ありとみるが、50ポイント台を回復・維持へと切り返すところからは上昇再開の可能性ありとみて60ポイント台後半への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.74円を下値支持線、12.85円を上値抵抗線とする。
(2)12.85円を超えないうちは一段安余地ありとし、12.74円割れからは12.60円台後半への下落を想定する。12.67円以下は反騰注意とするが、12.74円以下での推移が続く場合は16日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.82円から12.85円手前にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.86円乗せからは12.90円を目指す上昇へ向かうとみる。12.90円以上はいったん売られやすいとみるが、12.80円以上での推移なら16日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
7月15日
休 場 国家統一の日
19:30 6月 自動車生産台数 前年同月比 (5月 31.2%)
7月16日
17:00 6月 財政収支 (5月 -134億リラ)
20:30 外貨準備高(グロス) 7/9時点 (7/2時点 596.2億ドル)
7月19日
16:00 7月 消費者信頼感指数 (6月 81.7)
※ポイント要約は編集部
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