トルコリラ円見通し ドル円の連騰と同調して3連騰、14日夜の中銀金融政策会合で流れ変わるか試す(21/7/14)

トルコリラ円の7月13日は12.85円から12.74円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し ドル円の連騰と同調して3連騰、14日夜の中銀金融政策会合で流れ変わるか試す(21/7/14)

ドル円の連騰と同調して3連騰、14日夜の中銀金融政策会合で流れ変わるか試す

〇トルコリラ円、13日は12.85から12.74のレンジ、9日から13日まで3日連続の陽線に
〇対ドルではドル高圧力が高まる中逆行し、8.55リラまで戻り高値を切り上げる
〇トルコ5月小売売上高は前月比6.1%減と4月に続いてマイナスに、感染拡大の影響が残ったか
〇本日のトルコ中銀金融政策決定会合は現状維持の予想、予想通りなら市場の反応も限定的に
〇利下げ姿勢の声明や発言が見られた場合、リラ売り再開の可能性も
〇12.75以上で推移中は上向き、12.86超えから12.90前後への上昇を想定、12.90以上は反落注意
〇12.75割れから下げに入るとみて12.70前後への下落を想定、12.70以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の7月13日は12.85円から12.74円の取引レンジ。
ドル円が7月2日午前高値11.65円を起点として7月8日深夜安値109.52円まで大幅下落した過程でトルコリラ円も売られて7月8日安値12.55円まで下落したが、その後はドル円の持ち直しと対ドルでのトルコリラ高が重なったことで7月9日から13日までは日足で3日連続の陽線で上昇してきている。
13日夜は米CPI上昇率の上ブレにより米長期債利回りが総じて上昇したが、7月2日から8日にかけてのドル円の下落は米長期債利回り低下を見ての動きであり、9日からの反騰は米長期債利回り再上昇が背景となっている。

【対ドルでは6月25日の史上最安値以降の安値を更新でジリ高続く】

ドル/トルコリラの7月13日は8.65リラから8.55リラの取引レンジ。
6月25日(26日早朝)に8.799リラを付けて史上最安値を更新したところで下落一服となり、その後は安値を切り上げつつも8.60リラ台序盤では戻り売りにつかまる展開が続いてきた。
7月13日は米6月CPI上昇率が予想を超える上ブレとなったことで為替市場全般は米長期債利回り上昇とドル高反応となり、ユーロドルが5月25日高値以降の最安値を更新する一段安となり、ポンドドルも1.39ドル近辺から1.38ドル近辺へ反落、豪ドル米ドルも2月24日以降の最安値である7月9日安値に迫る下落となり、南アランドが暴動の影響もあって6月4日以降の安値を更新するなどドル高圧力が高まる情勢だったが、トルコリラは全般的なドル高の流れとは逆行して8.60リラの壁を超えて8.55リラまで戻り高値を切り上げた。

夕刻に発表されたトルコの5月小売売上高は予想を下回ったものの鉱工業生産の堅調ぶりが示されたこと、14日のトルコ中銀金融政策では政策金利を据え置いて当面の利下げはないとの見方が強まっていることで、史上最安値まで独歩安だったところからの反動によるリラ買い戻しの動きが優勢となっている印象だ。

【5月のトルコ鉱工業生産は堅調、小売は第三波の影響で低調】

【5月のトルコ鉱工業生産は堅調、小売は第三波の影響で低調】

7月13日夕に発表されたトルコの5月小売売上高は前月比6.1%減となり4月の5.8%減に続いてマイナスとなった。市場予想はプラス圏への回復だったが、トルコにおける感染拡大の第三波の影響が残った印象だ。トルコの感染拡大第三波は4月16日に新規感染者数が63000人を超えたところをピークとして現在は5000人前後へと収束しているが、1万人を切ったのは5月後半であり、外出禁止措置等による規制強化の影響が残っていた。6月以降は感染増加が落ち着いているため小売も回復してくるのではないかと思われる。

5月の鉱工業生産は前月比1.3%増となり市場予想が0.4%減とみていたよりも回復した。前年同期比は40.7%増となり4月の66.3%に続いて大幅増となったが、これはパンデミック第一波が直撃していた時期との比較のため大きな回復を示しているが、前月比としては4月に第三波の影響でマイナスに転じたところから着実に回復している印象となった。トルコは最大の外貨獲得源である観光業が大きく落ち込んだままだが、感染抑制と経済活動の両立については他国と比較しても上手く立ち回っている印象だ。

7月14日はトルコ中銀の金融政策決定会合がある。6月の消費者物価上昇率が前年比で17.53%となり5月の16.59%から伸びが加速し、生産者物価の前年比も42.89%へと5月の38.33%から大幅に伸びたことで、「インフレ率を下回るような利下げはしない」としているトルコ中銀も利下げを見送って現状維持とするだろうと予想されている。予想通りなら市場の反応も限定的なものにとどまり、今のところは利下げ無しによるリラ買いが若干優勢だが、先行きの利下げ姿勢をちらつかせるような声明や中銀総裁発言等がみられる場合はリラ売り再開のきっかけにもなりかねないところとして注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月8日夕安値で直近のサイクルボトムを付けて反騰期に入った。14日未明へ高値を切り上げてからも12.80円を挟んで確りしているのでまだ14日夜にかけての上昇余地ありとみるが、3連騰後での中銀金融政策発表という重要イベント通過になるので買い戻し一巡による下落再開の可能性にも注意し、12.75円割れを弱気転換注意、12.70円割れからは弱気サイクル入りとして14日夜から15日夜にかけての間への下落を想定する。ただし、中銀金融政策決定会合を挟んでいったん急落したところから反騰入りして8日以降の高値を更新する場合は新たな強気サイクル入りとして19日から21日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では7月8日夕安値からの反騰を継続して遅行スパンが好転、9日夜には先行スパンからも上抜けてきたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。新たな高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。その際に先行スパンは下値支持線となりやすいとみるが、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。
60分足の相対力指数は12日深夜高値から14日未明高値への一段高に際して指数のピークがほぼ横ばいとなる弱気逆行がみられるので弱気転換注意とし、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント前後への低下へ向かう流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.75円を下値支持線、12.86円を上値抵抗線とする。
(2)12.75円以上での推移中は上向きとし、12.86円超えからは12.90円前後への上昇を想定する。12.90円以上は反落注意とするが上昇が勢い付く場合は12.95円前後へ上値目途を引き上げ、12.80円以上での推移なら15日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.75円割れからはいったん下げに入るとみて12.70円前後への下落を想定する。12.70円以下は反騰注意とするが、12.75円以下での推移なら15日も安値試しへ向かいやすいとみる。また下げ足が速まる場合は12.65円前後へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

7月14日
 20:00 トルコ中銀 週間レポレート (現行 19.0%、予想 19.0%)
7月15日
 休 場 国家統一の日
 19:30 6月 自動車生産台数 前年同月比 (5月 31.2%)
7月16日
 17:00 6月 財政収支 (5月 -134億リラ)
 20:30 外貨準備高(グロス) 7/9時点 (7/2時点 596.2億ドル)
7月19日
 16:00 7月 消費者信頼感指数 (6月 81.7)


※ポイント要約は編集部

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