ドル円 短期的安値も見たものの上値は重い(週報7月第2週)

先週のドル円は月曜東京朝方の111.19レベルを高値にドル売りが先行する週前半となりました。

ドル円 短期的安値も見たものの上値は重い(週報7月第2週)

短期的安値も見たものの上値は重い

〇先週のドル円、木曜に110.40レベルを下回り全般として上値が重たい印象の一週間
〇木曜の下落で上昇チャネル下抜け、安値は4月安値と7月高値との半値押し109.56とほぼ一致、達成感も
〇前週安値110.40レベルは今週平行チャンネル下限と交差、テクニカルに上値を抑えられる可能性高い
〇今週は材料的にはパウエル議長の議会証言など今後のテーパリングに関しての思惑が出やすい週
〇議長発言タカ派寄りなら米国株調整、その動きを見てリスクオフの円買いの可能性も
〇今週は109.60レベルをサポート、110.40レベルをレジスタンスに110円の大台を挟んだ値動き

今週の週間見通し

先週のドル円は月曜東京朝方の111.19レベルを高値にドル売りが先行する週前半となりましたが、前週金曜東京市場で111.66レベルの週間高値をつけたものの、米国雇用統計後の反発で上抜け出来なかったことから前週に積みあがったドル買いポジションの調整という面が強かった様子でした。

水曜安値が前週安値圏110.40レベルで下げ止まったことからいったん値頃感の買い戻しも出ましたが、木曜に同水準を下回ったことからストップオーダーを巻き込みながら株安とともにリスクオフの円高となり、この木曜の下げが当面の動きを考える上で重要な下げであったと言えます。金曜には週末前の買い戻しも出ましたが、ストップオーダーが出た水準には届かず、全般として上値が重たい印象の一週間となりました。

先週の円相場は特段材料があったわけではなく、前週までのポジション調整が出ている中でストップオーダーとリスクオフの円高の動きが目立った程度ですが、前週高値からの下げ幅は1円65銭となったことで、短期的には上下とも見た後で次の方向性を探る段階にあるものの、テクニカルには110.40レベルでは売りが出やすい一週間となります。

材料的にはパウエルFRB議長の議会証言、ベージュブックを中心に今週は主要国のCPI発表が続きますので、今後のテーパリングに関しての思惑が出やすい週と言えます。しかし、パウエルFRB議長は少なくとも7月FOMCまでこれまでのテーパリングは考えてもいないというスタンスを続けるでしょうから、もし議長の発言にタカ派寄りの内容が含まれていた時には金利市場が反応しそうですが、その場合史上最高値を更新し達成感も出始めている米国株に調整が入り、その動きを見てのリスクオフの円買いという可能性の方が今週は高いように思えます。逆のこれまで同様のハト派発言が出てもそれほど影響は無いと見ています。

上記の前提でチャートも見てみましょう。いつもの日足チャートもご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

木曜の下げで前週安値圏の110.40レベル(水色)を下抜け、更にストップオーダーを巻き込みながら4月安値からの平行上昇チャンネルを下抜けた動きとなっています。そして、木曜の安値は平行チャンネルの起点となっている4月安値と7月高値との半値押し109.56(赤のターゲット)とほぼ一致を見せ反発しました。

今週後半には下抜けた水色の線と平行チャンネルの下限が一致することから、この110.40レベルはテクニカルに上値を抑えられる可能性が高いと見てよいでしょう。いっぽうで半値押しを達成したことから短期的な安値も見た可能性が強く、今週は先週安値と110.40レベルの間で横方向のもみあいとなりつつも若干上値が重たい展開を予想しています。

今週は109.60レベルをサポートに110.40レベルをレジスタンスと110円の大台を挟んだ値動きとします。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2021年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

7月12日(月)
16:00 トルコ5月失業率
18:00 デギンドスECB副総裁講演
25:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
**:** ユーロ圏財務相会合

7月13日(火)
08:01 英国6月小売売上高
10:30 豪州6月企業景況感
**:** 中国6月貿易収支
15:00 ドイツ6月CPI
15:45 フランス6月CPI
16:00 トルコ5月鉱工業生産
21:30 米国6月CPI
**:** EU財務相会合

7月14日(水)
09:30 豪州7月消費者信頼感
11:00 NZ中銀政策金利発表
15:00 英国6月CPI
18:00 ユーロ圏5月鉱工業生産
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:00 南ア5月小売売上高
21:30 米国6月PPI
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:30 週間原油在庫統計
25:00 パウエルFRB議長議会証言(下院)
27:00 ベージュブック

7月15日(木)
**:** トルコ市場休場
**:** 日銀会合(〜16日)
10:30 豪州6月失業率
11:00 中国4〜6月期GDP
11:00 中国6月鉱工業生産、小売売上高
15:00 英国6月失業率
21:30 米国7月NY連銀製造業景況指数
21:30 米国新規失業保険申請件数
22:15 米国6月鉱工業生産、設備稼働率
22:30 パウエルFRB議長議会証言(上院)
24:00 シカゴ連銀総裁講演
**:** 米独首脳会談

7月16日(金)
07:45 NZ4〜6月期CPI
**:** 日銀会合結果発表
15:30 黒田日銀総裁会見
18:00 ユーロ圏6月CPI
18:00 ユーロ圏5月貿易収支
21:30 米国6月小売売上高
22:00 NY連銀総裁講演
23:00 米国7月ミシガン大消費者信頼感速報値
23:00 米国5月企業在庫

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月5日(月)
週明けのドル円は早朝こそ若干買い戻しが見られたものの111.15超えでは売りがしつこく欧州市場序盤には金曜安値圏へと下押しが入りました。その後110.80レベルまで水準を下げたもののNY市場が休場となることもあり、その後は110.90前後の狭い値幅でもみあいのまま引けました。

7月6日(火)
ドル円は前週末からの上値が重たい流れを継続し終日じり安の展開となりました。ほぼ東京朝方が高値、NY終値が安値となり110.52レベルへと下押ししましたが、値幅自体は狭く46銭幅に留まりました。

7月7日(水)
ドル円は東京朝方に日経平均の下げとともに110.40レベルまで下値を広げましたが、すぐに株価とともに買い戻され、欧州市場では戻り高値110.80レベルをつけました。しかし方向感は出ずに、狭い値幅の中で横方向のもみあいのまま一日を終えました。

7月8日(木)
ドル円は東京の非常事態宣言を嫌気した株安と円高の動きが先行しましたが、本格的なリスクオフの動きとなったのは東京株式市場が引けてからでした。ダウ先が大きく下げ始めると日経先物も追随、ドル円は前日安値を下回りストップオーダーも巻き込みながら110円の大台割れとなりました。海外市場でもNY前場までは株安の動きが続き、ドル円は109.53レベルの安値をつけ、やや戻しての引けとなりました。

7月9日(金)
ドル円は前日の下げに対して週末前の買い戻しが終日続きました。朝方弱かった日経平均株価が前日高値を上回る動きとともにドル円も上昇を続け、NY昼前には110.26レベルまで買い戻され、そのまま高値圏での引けとなりました。

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