ドル円 FRB議長発言など注視、ドル安リスク意識も(週報7月第2週)

先週のドル/円相場は、一転してドル弱含み。6月21日以来となる110円割れを示現する局面も観測されていた。

ドル円 FRB議長発言など注視、ドル安リスク意識も(週報7月第2週)

FRB議長発言など注視、ドル安リスク意識も

〇先週のドル円、8日に110円を割り込みドル安進展、その後110円台を回復し越週
〇ドルは対円以外では堅調推移、対豪ドルやNZドルは一時年初来安値(ドル高値)を更新
〇原油の減産態勢協議折り合わず、不安定な原油市況が週間を通し為替市場においても話題に
〇豪シドニーのロックダウンが16日まで延長、日本では東京などに4度目の「緊急事態宣言」発令
〇今週はパウエルFRB議長による議会証言、米通貨当局者の講演などが実施される見込み
〇今週のドル/円予想レンジは、109.10-111.30

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、一転してドル弱含み。6月21日以来となる110円割れを示現する局面も観測されていた。

前週末、中国外相が北京における世界平和フォーラムで、「現在の中国はもはや100年前と同じ国ではない」などと発言したとして話題に。また、日本で実施された東京都議選は自公が過半数に届かない惨敗を喫し、遅くとも今秋に実施される衆院選が懸念されていた。
そうした状況下、ドル/円は111円前後で寄り付いたのち、111.19円を示現したがこれが週間高値に。以降、週末に向けては右肩下がりで、8日には110円を割り込み109.53円までドル安が進展している。ただ、翌9日は調整の動きなども観測されると、小幅な戻しも。週末NYは辛うじて110円台を回復し越週した。
なお、先週は為替市場全体を見ると円高とともにドル高。ドルは対円以外に見た場合、堅調推移をたどっており、実際、豪ドル/ドルやNZドル/ドルは一時年初来安値(ドル高値)を更新する局面も観測されている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「原油市況」と「新型コロナ」について。
前者は、前週末に石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」は、8月以降の減産態勢を協議したが折り合わず。UAEが8月以降の減産規模縮小は支持したものの、協調減産延長については難色を示し決定先送りを提案したことが原因とされている。そののち、週明け5日に改めて会合を開くことになっていたが、直前になり協議が延期された。争点となっている減産の延長をめぐり、一部の参加国で折り合いがつかなかったためで、不安定さを醸す原油市況が週間を通し為替市場においても話題に。

対して後者は、ドイツ外相から「8月中に全国民へのワクチン供給、そののちコロナ規制解除も」といった発言が聞かれるなど、欧州はコロナとの共生に舵を切った感もあるが、感染者そのものは劇的な減少を示しているわけではなく、むしろ緩やかに増加気味。そのため、注意を喚起する発言や報道なども相次いでいた。また、当初9日までとされていた豪シドニーのロックダウンが16日まで延長されたほか、日本では東京などに4度目の「緊急事態宣言」が発令されるなど、ワクチン接種が世界的に進んでいることは間違いないが、まだまだ予断は許さない。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は今月2日に昨年3月の高値111.71円にほぼ面合わせした格好の111.66円を示現後、冴えない動き。事実、1週間程度で2円を超える下げ幅を記録している。ドルの上値トライも一服した感を否めないどころか、一転してのドル安進行リスクを懸念する声もチラホラ聞かれてきた。個人的にはドルの下値リスクはさほど高くなく、基本的にはレンジ相場、たとえば109-111円といったなかで次の材料ならびに方向性を探るものと予想するが、ドルの下値模索にも注意。

前述したような状況下、マーケットでもっとも注視されているものは引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向だろう。ただ、確かに米経済は着実に回復しているものの、先で指摘した新型コロナの世界的な感染拡大が再び取り沙汰されていることもあってか、回復速度はかなり緩慢だ。したがって、米国の早期テーパリング期待がかつてほど強気一辺倒ではなくなっており、ドル高・円安方向への動きを阻害している感も否めないようだ。強気見通しが復活するか否か、今週は発表される米経済指標やパウエルFRB議長の議会証言などをしっかりと注視したい。

テクニカルに見た場合、ドル/円は111.66円まで上昇後、109円半ばへと軟落したが、そのレベルは4月安値107.48円を起点とした上げ幅の半値戻しにほぼ合致する。つまり、フィボナッチサポートでは取り敢えず下げ止まった格好だ。ただ、割り込めば同61.8%戻しの109.10円レベルがターゲットとなる。
対するドルの抵抗は、週初の段階で移動平均の21日線が位置する110円半ばか。超えると111円前後などが意識されそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、6月の消費者物価指数や7月のNY連銀製造業景況指数、同ミシガン大消費者信頼感指数といった米経済指標が発表される予定だ。またパウエルFRB議長による半期に一度の議会証言をはじめ、米通貨当局者の講演など発言機会も連日のように実施される見込み。波乱要因にもなりかねない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、109.10-111.30円。ドル高・円安については、まずは21日線をめぐる攻防に注目。抜けると111円前後、そして年初来高値111.66円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、前述したフィボナッチサポートにもあたる先週安値の109円半ばがまずはサポート。下回ると109.10円や108円半ばなどが下値メドとなる。

FRB議長発言など注視、ドル安リスク意識も

ドル円日足

※ポイント要約は編集部

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