トルコリラ円見通し 6月2日安値割れ回避での下げ渋り続く(21/6/30)

トルコリラ円の6月29日は12.79円から12.61円の取引レンジ。

トルコリラ円見通し 6月2日安値割れ回避での下げ渋り続く(21/6/30)

6月2日安値割れ回避での下げ渋り続く

〇トルコリラ円、25〜29日にかけ12.50以上を維持しつつも反騰入りのきっかけを見出せず様子見の様相
〇トルコ6月経済信頼感指数は97.8と前月から改善し市場予想を上回る
〇新型コロナウイルス感染者は4月後半から急速に低下、29日時点で約6000人増まで落ち着き抑制に成功
〇12.70以下で推移中は下向き、12.57割れから12.48試しへ、12.50以下は反発注意
〇12.70手前は戻り売りにつかまりやすい、12.70超えから12.80試し、12.80前後は反落注意

【概況】

トルコリラ円の6月29日は12.79円から12.61円の取引レンジ。
6月21日安値で12.48円まで下げて6月2日安値12.44円へ迫ったものの底割れを回避し、6月23日に12.89円まで戻したところからは伸びずに再び失速気味の推移だが、6月25日から29日にかけては12.50円以上を維持して下げ渋りつつも反騰入りのきっかけも見られずに様子見の様相で推移している。
6月2日にエルドアン大統領による利下げ言及報道から12.44円へ急落してから米土首脳会談期待で6月11日高値13.21円へ戻したものの首脳会談の成果なく戻り売りとなり、6月2日安値割れを回避しつつ戻り高値が切り下がる形で三角持ち合いの様相となっている。

ドル/トルコリラの6月29日は8.74リラから8.63リラの取引レンジ。
6月25日に8.799リラへ下落して6月22日安値8.794リラを割り込み史上最安値を更新、その後は下げ一服となっているが29日朝に8.63リラまで戻したところからはややジリ安の推移であり、6月23日に8.57リラからは戻り高値を切り下げる形で最安値近辺にとどまっている。
為替市場全般は6月17日未明の米FOMCを挟んでドル全面高となり、6月21日からは揺れ返しのドル安となったものの、ポンドドルが23日夜高値で戻り一巡となって下落に転じ、ユーロドルや豪ドル米ドル等が25日夜まで戻り高値を切り上げたものの週明けからは下落に転じており、今週末の米6月雇用統計を意識しつつ総じてドル高感が再燃している状況にあるため、トルコリラも全般のドル高感に圧迫された状況にある。

【トルコ経済は確り、問われるのはインフレと金融政策姿勢】

【トルコ経済は確り、問われるのはインフレと金融政策姿勢】

6月29日に発表されたトルコの6月経済信頼感指数は97.8となり5月の92.6から改善して市場予想の94.0を上回った。昨年のパンデミック第一波においては4月に52.4まで急低下したが、今年3月には98.9へ上昇してパンデミック前の水準を回復し、トルコの感染拡大第三波の影響で4月から5月にかけてやや低下したものの第三波も落ち着いたことで復調している。

トルコの新型コロナウイルス感染者数は3月から4月にかけての第三波においてピーク時には1日の感染者数が6万人を超えたが、4月後半から急速に低下し、5月後半には1万人を切り、6月29日時点では5846人増まで落ち着いている。まだ高い水準にはあるものの再増加の気配は見られずに抑制に成功している。
適時のロックダウン導入や夜間外出禁止等による抑制に加えてワクチンの普及も進んできている。第二波や第三波においても医療崩壊を招く状況には陥らずに体力のあるところを見せた。

トルコの観光業はまだ大幅に落ち込んだ状況にとどまっているものの製造業を中心に昨年春のパンデミックショックからは回復しており、高い成長率も実現してきている。後はエルドアン大統領による利下げ要求等の金融政策上の市場の不信任を払拭できればよいのだが、そこはかなり難しいのだろうと思われる。
当面は7月2日の米6月雇用統計による為替市場全般の動きに左右されつつ、7月5日のトルコ物価上昇率発表から7月14日の次回トルコ中銀金融政策発表へ至るプロセスでリラ売り攻勢を避けることができるのかどうかが焦点になってくる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月23日夕高値をピークとした下落は6月26日早朝安値で目先の底を付けて戻しに入ったが、29日早朝高値で戻りも一巡となって新たな下落期に入っている印象だ。安値形成期は7月1日早朝から5日朝にかけての間と想定されるのでまだ下落余地ありとするが、12.70円超えからは強気転換注意とし、12.80円超えからは新たな強気サイクル入りとして7月2日早朝から6日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では29日夜の下落で遅行スパンが悪化、30日早朝への続落で先行スパンからも転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、12.70円を超えないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、12.70円を超えるところからは両スパン揃っての好転へ進むために上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は30日早朝に30ポイント台序盤へ低下してからやや戻しているものの50ポイントに届かない程度にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみる。ただし相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられるところからは反騰注意とし、50ポイント超えから続伸に入る場合は上昇再開とみて60ポイント台後半を目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.57円を下値支持線、12.80円を上値抵抗線とする。
(2)12.70円以下での推移中は下向きとし、12.57円割れからは6月21日安値12.48円試しへ向かうとみる。12.50円以下は反発注意とするが、12.65円以下での推移なら1日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.70円手前は戻り入りにつかまりやすいとみるが、12.70円超えからは12.80円試しとしする。12.80円前後は反落注意とするが、12.70円を超えた後も12.67円以上での推移なら1日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

6月30日
 16:00 5月 貿易収支 (4月 -30.6億ドル)
7月1日
 16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 49.3)
 20:30 週次外貨準備高 6/25時点 (6/18 560.2億ドル)
7月5日
 16:00 6月 消費者物価上昇率 前月比 (5月 0.89%)
 16:00 6月 消費者物価上昇率 前年同月比 (5月 16.59%)
 16:00 6月 生産者物価上昇率 前月比 (5月 3.92%)
 16:00 6月 生産者物価上昇率 前年同月比 (5月 38.33%)
7月8日
 20:30 週次 外貨準備高 7/2時点
7月9日
 16:00 5月 経常収支 (4月 -17.12億ドル)
7月12日 
 16:00 5月 失業率 (4月 13.9%)
7月14日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合


※ポイント要約は編集部

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