ドルはレンジ下限で推移、下値の攻防注視
〇ドル円、110.60前後で寄り付いたが動意は乏しく110.45-65のレンジ取引で方向性うかがえず
〇日経平均株価が終値ベースで235円と下落、為替市場への影響は限定的
〇ドル円はこのあとの欧米時間に続落、レンジ放れとなるかに注目、下回れば110円前後がターゲットに
〇本日発表の米6月消費者信頼感指数などに注意、内容によっては波乱の展開の可能性も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ110.30-111.00
<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場は横這い推移。110円半ば挟み、20ポイントにもとどかないレンジ取引に終始している。
ドル/円は110.60円前後で寄り付いたものの、全般的に動意は乏しい。実際、110.45-65円といった20ポイントをわずかに欠くレンジ取引で、方向性はほぼうかがえなかった。日経平均株価は終値ベースで235円安と大きく下落したものの、為替市場への影響は限定的。16時現在、ドル/円は寄り付きと同じ110.60円前後で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「ロシア情勢」について。
前者は、26日夕方からシドニー全域でロックダウンが実施された豪州情勢などもあり、新型コロナの感染拡大への懸念が再び取り沙汰されはじめた。たとえば、欧州でもスペインとポルトガルが、英国からの入国者にコロナワクチン接種完了の証明提出を求めるなど、新たな制限措置導入を明らかにしている。一方、日本では20日にワクチン接種を受けていた自民党の額賀元財務相のコロナ感染が発覚。東京オリンピック開幕まであと1ヵ月となるなか、不安は募るばかりだ。
対して後者は、タス通信が「ロシア、新型ICBMの発射実験に成功」と報じ一時物議を醸す。また、ロシア通信は、米国やウクライナなどによる黒海上での軍事訓練を「ロシア海軍が監視すると表明」と指摘したほか、ロシアのラブロフ外相が有力紙コメルサントに論文を発表、「米欧は中露に自らの方針を強制」などと強く批判していたという。そうしたなか、中露首脳はオンライン会談に臨み、20年前に締結された「友好条約」の延長が発表されている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、次の動意に向けた中段保ち合いの様相。事実、先週22日のNY時間以降、早1週間程度は110.50-111.10円といったレンジ取引をたどっている。ただ足もと、本日東京などは下限である110円半ばを一時下回る局面も観測されており、このあとの欧米時間に続落、レンジ放れとなるのかに注目だ。しっかり下回れば、移動平均の21日線などが位置する110円前後がターゲットに。
市場の関心は引き続き米ファンダメンタルズならびに金利動向。そうした意味では、本日も発表される米経済指標や要人発言は一応要注意だ。また、それとは別に前記したように新型コロナの感染拡大への懸念が広まりつつあるうえ、名実ともに6月末を迎えていることで、材料ではなく駆け込み的な需給要因なども波乱要因として取り沙汰されていた。思わぬ価格変動についても、リスク要因としてしっかり意識しておきたい。
テクニカルに見た場合、ドル/円は110円台後半を中心とした60-70ポイントのレンジ取引をたどるも、足もとではその下限割れを意識した展開となっている。果たして続落し、下限をしっかりと割り込むことになるのだろうか。ちなみに、底割れした場合の下値メドは110円前後、そして21日安値の109.72円などが意識されそうだ。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「ロシア情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」、「東京五輪・パラリンピックをめぐる動き」−−などが注視されている。
一方、本日は米経済指標として、4月のS&Pケースシラー住宅価格指数、6月の消費者信頼感指数などが発表されるほか、リッチモンド連銀総裁の討論会参加などが予定されているようだ。なお、市場では週末の米雇用統計発表へ関心が移行、足もとは警戒感が薄いだけに逆に内容次第では波乱の展開の可能性もあるだろう。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは110.30-111.00円。昨日のドル高値にもほぼ合致する111円レベルが最初の抵抗。ただ上抜けても、年初来高値111.11円がドルの上値をレジストしそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値に当たる110.45円レベルをめぐる攻防を注視。ザラ場の動きももちろんだが、NYクローズで110円半ばを割り込めるか否かも注視されている。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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