対ドルで最安値更新、対円でも6月2日安値割れへ余裕乏しい
〇トルコリラ円12円台後半、戻り売りにつかまり6/21及び6/2安値に対する余裕乏しい状況
〇対ドルでは、25日安値で8.799をつけて史上最安値を更新
〇エルドアン大統領とトルコ中銀の利下げ指向を意識して売られやすい環境続く
〇対ドルでは2018年8月暴落時に匹敵する下落規模、リラ売り加速懸念される
〇6/21安値12.48割れからは6/2安値12.44試し、底割れなら昨年11/6底12.03試しへ向かう流れ
〇12.80を超える場合は13円手前試し、12.90以上は戻り売りにつかまりやすいとみる
【概況】
トルコリラ円の6月25日は12.78円から12.57円の取引レンジ
6月21日安値で12.48円まで下げたところでは6月2日のエルドアン大統領による利下げ言及報道で付けた安値12.44円割れを回避して22日から23日へといったん戻していたが、勢いは続かずに戻り売りにつかまっており、6月21日及び6月2日安値に対する余裕も乏しくなっている。
6月22日にかけて反発したところでは6月2日と6月21日の両安値でダブル底を付けて戻しに入る可能性もあったが、25日への連続陰線による下落でダブル底形成感は後退しており、底割れ回避で下げ渋っても安値圏での三角持ち合いの様相に留まり、リラ売りのきっかけ材料が出るところでは持ち合い下放れにより昨年11月6日底12.03円割れを目指す流れへ進みやすくなる状況と思われる。
ドル/トルコリラの6月25日は8.79リラから8.63リラの取引レンジ。25日安値では8.799リラをつけて6月22日の8.794リラを超えて史上最安値を更新。(ベンダーによっては既に21日時点で8.80リラ台を付けているがそこでも21日の8.805リラから25日は8.806リラへ最安値を更新している。)
6月21日夜に8.79リラを付けて史上最安値を更新した後は下落一服となり、FOMC後のドル全面高も一服したことでトルコリラも買い戻されていたが、勢いは続かずに24日から25日へと2日連続の日足陰線で下落となり最安値を更新した。為替市場全般としてはFOMCを挟んでのドル全面高から21日以降はドル安へと流れも変わったもののドル安の勢いはまだ鈍く、トルコリラとしてはエルドアン大統領とトルコ中銀の利下げ指向を意識して売られやすい環境が続いているため、よほど勢いのあるドル全面安へ進まないことには史上最安値を更新してゆく状況も変わらないというところだろうか。
【対ドルでは2018年8月暴落時に匹敵する下落規模】
トルコリラ円はまだ昨年11月の史上最安値更新にまでは至っていないが、対ドルではすでに史上最安値を更新している。ドル円が年初からの上昇基調を維持し、3月31日高値から4月23日安値までいったん下げたものの上昇再開で3月31日高値を超えるところまで戻しているために円安によりカサ上げされているためだ。
ドル/トルコリラで見れば、2018年8月の当時の史上最安値に対して2020年5月に安値を更新してダブル底破れとなって2020年11月へと暴落した。2021年2月へいったん戻してからの反落により6月には最安値を更新して二度目のダブル底破れとなっているが、月足で見れば2月から6月までは5か月連続の陰線であり、この間の下落角度は2020年11月への下落時よりも若干厳しい角度となっている。2018年8月には月間で4.90リラから7.21リラまで大暴落した経緯もあるが、現状も最安値を更新してから小調整を入れてもまた最安値を更新する流れが続いているため、いずれかのタイミングでリラ売りが加速しかねないのではないかと懸念される。
【40週サイクルの下落期と中銀金融政策決定会合の時期】
トルコリラ円は概ね40週平均の底打ちサイクルで推移している。短い場合は2017年4月14日安値から同年11月28日安値までの34週目で底打ちしているケースもあるが、その時は2018年1月5日高値まで6週の小反発が入ったところから早々に次の下落期に入って2018年8月底(2017年11月底から38週目)へ暴落している。
今回は昨年11月6日に史上最安値の底を付けて反騰入りし、16週の戻りで今年2月16日にサイクルのピークを付けて下落期に入り、11月底から先週までが34週を経過したところにある。やや短ければ2017年11月底と同様にいったん数週の戻しに入っても不思議ないが、2014年10月16日底から2015年9月24日底までの50週のように長引くならあと16週程度の下げ余地もあることになる。
中勢として当面のポイントになるのは7月5日の6月物価上昇率の発表前後、7月14日のトルコ中銀金融政策決定会合の前後となるだろうが、それらを反騰入りのきっかけにできればいったん40週サイクルの戻しに入り5週から10週前後規模の上昇が想定されると思われる。しかしそれらが一段安要因となれば長引けばあと3か月程度の下落となる可能性も含めて8月12日の金融政策決定会合前後、9月23日の金融政策決定会合前後等へ安値試しを続け、それらで反騰入りのきっかけをつかめるかどうかを試すことになりかねないと思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当面、6月21日安値12.48円を下値支持線、6月23日高値12.89円を上値抵抗線とみておく。
(2)12.75円以下での推移中は一段安警戒とし、21日安値12.48円割れからは6月2日安値12.44円試し、さらに底割れへ進めば昨年11月6日底12.03円試しへ向かう流れとみる。
(3)12.75円から12.80円にかけてのゾーンは売られやすいとみる。12.80円を超える場合は13円手前をもう一度試すとみるが12.90円以上は戻り売りにつかまりやすいとみる。
【当面の主な予定】
6月29日
16:00 6月 経済信頼感指数 (5月 92.6)
6月30日
16:00 5月 貿易収支 (4月 -30.6億ドル)
7月1日
16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 49.3)
20:30 週次外貨準備高 6/25時点 (6/18 560.2億ドル)
7月5日
16:00 6月 消費者物価上昇率 前月比 (5月 0.89%)
16:00 6月 消費者物価上昇率 前年同月比 (5月 16.59%)
16:00 6月 生産者物価上昇率 前月比 (5月 3.92%)
16:00 6月 生産者物価上昇率 前年同月比 (5月 38.33%)
7月8日
20:30 週次 外貨準備高 7/2時点
7月9日
16:00 5月 経常収支 (4月 -17.12億ドル)
7月12日
16:00 5月 失業率 (4月 13.9%)
7月14日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合
※ポイント要約は編集部
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