『物価上昇で持ち直すも、来週は一巡後の反落リスクに要警戒』
〇南ア円、週初世界的リスク回避ムードと南アのコロナ感染拡大に7.62まで下落
〇その後リスク選好の回復、南ア指標の好調と利上げ観測に7.88まで上昇高値圏で越週
〇南ア円一目均衡表「雲」上限にサポートされ底堅い印象だが上方にレジスタンス控え続伸は容易でないか
〇ファンダメンタルズも米テーパリング観測からの商品市況不安、経済原則とインフレ懸念等不安材料増加
〇南ア円下落がメインシナリオ、来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー8.00
今週のレビュー(6/21−6/25)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.66円で寄り付いた後、@米早期テーパリング観測を背景とした世界的なリスク回避ムードの高まり(先週の米FOMCを受けて米早期テーパリング観測・米早期利上げ観測が再燃→過剰流動性相場逆流への警戒感→商品市況下落→南アランド下落)や、A南アフリカにおける新型コロナウイルスの感染再拡大(ラマポーザ大統領は「新型コロナ第3波はこれまでよりもかなり悪質となる可能性あり」と発言)が重石となり、週明け早々に、週間安値7.62円(5/6以来、約1ヶ月半ぶり安値圏)まで下落しました。しかし、一目均衡表雲上限をバックに下げ渋ると、B株式市場や商品市況の持ち直しを背景としたリスク選好ムードの高まりや、C南ア4月景気先行指数(結果125.8、予想121.3)の良好な結果、D南ア5月消費者物価指数(結果5.2%、前回4.4%、※2018年11月以来)および、E南ア5月生産者物価指数(結果7.4%、前回6.7%)の伸び率加速、F上記DEを背景とした南ア中銀による利上げ観測が支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.88円まで上昇しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、結局7.83前後での越週となっております。
来週の見通し(6/28−7/2)
南アランド円相場は、今週初(6/21)に記録した約1ヶ月半ぶり安値7.62円をボトムに反発に転じると、週末にかけて約1週間ぶり高値となる7.88円まで急伸しました。この間、一目均衡表雲上限にサポートされた他、一目均衡表転換線も上抜けするなど、テクニカル的に見て、下値の堅さを印象付けるチャート形状となっております。とは言え、上方には一目均衡表基準線や、ボリンジャーミッドバンドが控えている為、余程強い南アランド買い材料が出てこない限り、ここからの続伸は容易ではないと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@米早期テーパリング観測に端を発した過剰流動性相場逆流への警戒感(米長期金利上昇→南アフリカの主要産品である貴金属等の商品市況下落→南アランド下落の波及経路)や、A新型コロナウイルス第三波拡大への警戒感(南ア政府は第三波を公式に宣言し、ロックダウンレベルの引き上げ実施済み)、B上記Aを背景とした南ア経済の減速懸念、C南アフリカにおける利上げ観測(今週発表されたインフレ指標が軒並み強い結果となったことから、7/22に予定されている南ア金融政策決定会合での利上げ観測が浮上。経済情勢が芳しくない中での利上げは南ア経済を下押す危険性を伴うことから、当初は利上げ観測→南アランド買いで反応したとしても、一巡後は景気鈍化懸念→南アランド売りに回帰する恐れ)など、南アランド円相場の下落を意識させる材料が増えつつあります。
こうした中、来週は6/28に予定されている南ア第2四半期BER消費者信頼感指数や、6/30の南ア5月貿易収支に注目が集まります。市場予想を下回る冴えない結果となった場合や、米長期金利上昇をトリガーに商品市況が崩れる場合、南アフリカにおける新型コロナウイルス感染者数が深刻化する場合などには、南アランドが今週の上げ幅を全て吐き出し、再び6/21安値7.62円を試すシナリオも想定されることから、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー8.00
注:ポイント要約は編集部
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