『一時上昇するも週末にかけて再び反落。続落リスクに要警戒』
〇トルコ円週初は米テーパリング観測からの金融市場不安定化に12.49まで下落
〇その後株価上昇やトルコ指標改善、トルコ中銀の複数国とのスワップ協議報道に12.91まで反発
〇週末にかけてはトルコ中銀の根強い利下げ観測、短期筋の見切り売りに12.62まで値を崩して越週
〇トルコ円テクニカルには転換線に上昇を阻まれ週前半の上昇分を消し、テクニカルの地合いは弱い
〇ファンダメンタルズもエルドアン大統領の利下げ圧力強く、トルコからの資本流出懸念払しょく出来ず
〇トルコリラ円下落がメインシナリオ、来週の予想レンジ(TRYJPY):12.30ー12.90
今週のレビュー(6/21−6/25)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初12.61円で寄り付いた後、@米早期テーパリング観測の高まりや、A上記@を背景とした金融市場の不安定化リスクが重石となり、週明け早々に週間安値12.49円まで下落しました。しかし、6/2に記録した直近安値12.45円(昨年11/9以来、約7ヵ月ぶり安値圏)をバックに下げ渋ると、B世界的な株高を背景としたリスクセンチメントの改善や、Cトルコ国内における新型コロナ感染者数の減少報道(エルドアン大統領は7月から感染抑制を目的とした規制を一段と緩和すると表明→トルコの主要産業である観光業の回復期待)、Dトルコ6月消費者信頼感指数(結果81.7、前回77.3)の良好な結果、Eトルコ中銀が複数の国と通貨スワップ枠に係る協議を活発化させているとの一部報道(外貨準備不足懸念の後退)が支援材料となり、週央にかけて、約1週間ぶり高値となる12.91円まで上昇しました。もっとも、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、Fトルコ中銀による根強い利下げ観測や、G上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売りが重石となり、結局12.62円前後まで値を崩しての越週となっております。
来週の見通し(6/28−7/2)
トルコリラの対円相場は、週央にかけて約1週間ぶり高値12.91まで上値を伸ばすも、一目均衡表転換線に続伸を阻まれると、週末にかけて再び反落に転じました(今週の上げ幅がほぼ帳消しとなる展開)。この間、一目均衡表基準線やボリンジャーミッドバンドを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や、200日線と90日線のデッドクロス、弱気のパーフェクトオーダーも成立するなど、テクニカル的に見て、「地合いは弱い」と判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による利下げ観測(エルドアン大統領の圧力に屈する形で7/14、8/12、9/23のいずれかの会合で政策金利が引き下げられるとの思惑)や、A国内から国外への資本流出圧力(中銀の独立性に対する不信感)、B米早期テーパリング観測を背景とした金融市場の不安定化リスク(米長期金利上昇→過剰流動性相場逆流→リスクアセット売却→新興国通貨下落の波及経路)、Cトルコと世界各国の金融政策格差(多くの国がテーパリングや利上げに動く中、トルコは利下げを織り込む展開)など、トルコリラ円相場の下落を意識させる材料が多く確認できます。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は、6/29のトルコ6月経済信頼感指数や、6/30のトルコ5月貿易収支、7/1のトルコ6月イスタンブール製造業PMI、週次外貨準備残高などに注目が集まります。トルコ経済の先行き不透明感が高まる場面や、世界同時テーパリング観測を通じて金融市場が不安定化する場面などでは、トルコリラが6/2に記録した年初来安値12.45円を試すシナリオも想定されることから、来週も引き続き、ダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.30ー12.90
トルコ円日足
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