FOMCショック一巡でクロス円全般大幅上昇、ドル円も17日午前高値に迫る
〇ドル円、22日深夜に110.79まで上昇し米FOMC声明発表後の高値110.81に迫る
〇NYダウは前日比68.61ドル高と上昇、18日533.37ドル安、21日586.89ドル高で解消した後の小幅続伸
〇ナスダック総合指数は21日に続き111.79ポイント高と上昇し終値ベースの史上最高値を更新
〇米長期債利回りは1.47%とFOMC直後の急騰する前の水準に押し返されやや落ち着きを取り戻す
〇パウエル議長はインフレ率の上振れは予想以上としつつも一時的なものとの従来の見方を踏襲
〇110.50以上で推移か割り込んでも回復するなら上昇余地あり、110.81超えから111円台序盤を目指す
〇110.25割れから下げに入るとみて110.00前後、下げ足速まる場合109.70へ迫る下落を想定
【概況】
ドル円は6月22日深夜に110.79円まで上昇して17日午前の米FOMC声明発表後の急伸で付けた高値110.81円に迫った。6月17日未明のFOMCがメンバーによる利上げ開始予想時期を1年前倒ししたことやパウエル米連銀議長が会見で量的緩和縮小の議論を開始するとしたことで予想よりもタカ派的と市場は受け止めてドル全面高となりドル円は16日夜安値109.79円から1円強の急伸となった。しかしその一方でNYダウが18日まで5日続落、ドル全面高によるユーロやポンド、豪ドル等の大幅下落によりクロス円全般が大幅安となったことでの円買い戻しによりドル円においても円高が勝る形となって17日夜に110.15円へ急落、18日夜に110.48円までいったん戻してから21日昼には109.70円まで下げてFOMCからの急騰前の水準をわずかに割り込んだ。
しかしNYダウが18日の下落分を解消する500ドル以上の上昇となったことでFOMCショックが和らいでユーロやポンド等が反騰、クロス円全般の上昇と株高によるリスク選好的な円売りの流れでドル円は持ち直しに入った。
22日もNYダウが連騰、ナスダックは取引時間中及び終値ベースでの史上最高値を更新してリスク選好感が増し、米長期債利回りも落ち着いた動きとなったことでドルストレートでのドル安とクロス円全般の上昇が継続してドル円も株高好感での買い優勢で17日午前高値に迫るところとなった。
【株高ドル安再開は続くか?】
6月22日のNYダウは前日比68.61ドル高と上昇、18日の533.37ドル安を21日に586.89ドル高で解消した後として小幅ながらの続伸となった。ナスダック総合指数は6月21日の111.10ポイント高に続けて22日も同111.79ポイント高と上昇して取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新した。FOMCによる金融緩和の縮小や正常化と利上げサイクル入りへの準備着手という流れは株式市場にはマイナスであり、特に金利に敏感なハイテク株中心のナスダックには圧迫要因となるが、量的緩和が縮小開始するのは年後半、利上げ時期も来年までまだ余裕があり、市場を急激に冷やして株暴落を招くようなプロセスにはならないだろうと市場も落ち着きを取り戻したのかもしれない。
米長期債利回り動向もやや落ち着きを取り戻している。22日の米10年債利回りは前日比0.02%低下の1.47%、30年債利回りは0.02%低下の2.09%でいずれもFOMC直後にいったん急騰する前の水準に押し返されている状況。利上げ時期に敏感となる2年債利回りも22日は0.03%低下の0.23%で、FOMC前の1.5%台から0.28%台へ急伸した後は高水準を維持しているものの落ち着きを見せている。
米連銀のパウエル議長は6月22日に米議会下院の新型コロナウイルス危機に関する委員会で証言に立ち、「今年の秋には力強い雇用回復がみられるだろう」と景気回復への楽観的見通しを示し、インフレ率の上ブレについては「予想以上」としたものの「一時的なもの」との従来の見方を繰り返した。17日未明のFOMCで示した利上げ時期の前倒し予想や量的緩和縮小の検討開始等への言及はなかった。
次回FOMCは7月15-16日。8月には恒例のジャクソンホール会合での議長講演がある。市場は7月のFOMCで前回会合よりもやや踏み込んだ姿勢を示し、8月のジャクソンホール公演では年後半への具体的な姿勢をより鮮明にするのではないかとみている。
為替市場はドル全面高一服だが、ユーロ等はほぼ丸1週間の大幅下落から2連騰の切り返しではあるがまだ勢いは鈍い。騰勢回復でFOMCショックを全て解消できるのか、戻り一巡で下げ再開に向かうのかは今週の残りの展開次第となっている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月17日午前高値をピークとしていったん下落期に入ったが、21日昼安値で底を付けて反騰入りしたとして22日朝時点では高値形成期を22日午前から24日午前にかけての間と想定して17日午前高値試しへ向かう流れとした。
22日深夜高値で17日午前高値に迫ったもののわずかに届かずにいるので、ダブルトップ型を形成していったん調整に入る可能性もあるところだが、高値更新に成功すれば上昇に勢い付く可能性もあるところだ。
110.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちはサイクルトップ形成への上昇余地ありとするが、110.50円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、110.25円割れからはいったん下落期に入るとみて24日午前から28日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では22日の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん調整安に入るとみて安値試しとする。その際は先行スパンが下値支持帯となりやすいとみる。
60分足の相対力指数は22日夜に70ポイントへ到達後は失速気味となっている。相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行は見られていないので50ポイント前後を支持線としてまだ上昇余地ありとみるが、弱気逆行発生の場合及び50ポイント割れから続落に入る場合は下げ再開を疑う。
【当面の主な予定】
6/23(水)
英中銀金融政策委員会(MPC)1日目
14:00 (日) 4月 景気先行指数CI・改定値 (速報 103.0)
14:00 (日) 4月 景気一致指数CI・改定値 (速報 95.5)
16:30 (独) 6月 製造業PMI速報値 (5月 64.4、予想 63.0)
16:30 (独) 6月 サービス業PMI、速報値 (5月 52.8、予想 55.5)
17:00 (欧) 6月 製造業PMI速報値 (5月 63.1、予想 62.1)
17:00 (欧) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 55.2、予想 57.8)
17:30 (英) 6月 製造業PMI速報値 (5月 65.6、予想 64.0)
17:30 (英) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 62.9、予想 63.0)
21:30 (米) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -1885億ドル、予想 -2068億ドル)
22:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
22:45 (米) 6月 製造業PMI速報値 (5月 62.1、予想 61.5)
22:45 (米) 6月 サービス業PMI速報値 (5月 70.4、予想 70.0)
23:00 (米) 5月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (4月 86.3万件、予想 87.0万件)
23:00 (米) 5月 新築住宅販売件数 前月比 (4月 -5.9%、予想 0.4%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
24:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省5年債入札、2年物変動利付債入札
29:30 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、講演
6/24(木)
EU首脳会議、OPEC総会
08:50 (日) 5月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (4月 1.0%)
17:00 (独) 6月 IFO企業景況感指数 (5月 99.2、予想 100.2)
20:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
20:00 (英) 英中銀、資産買取プログラム規模 (現行 8950億ポンド、予想 8950億ポンド)
20:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
21:30 (米) 5月 耐久財受注 前月比 (4月 -1.3%、予想 2.1%)
21:30 (米) 5月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (4月 1.0%、予想 0.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 41.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 351.8万人)
21:30 (米) 1-3月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 6.4%、予想 6.4%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費確定定値 前期比年率 (改定値 11.3%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 2.5%)
22:30 (米) アトランタ連銀総裁、フィラデルフィア連銀総裁、アトランタ連銀総裁の講演
24:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、オンライン討論会参加
24:30 (欧) シュナーベルECB理事、講演
26:00 (米) 財務省7年債入札
26:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 4.00%)
29:30 (米) 米連銀 ストレステスト結果発表
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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