3日続落、6月11日高値以降の安値を更新
〇トルコリラ円、21日昼にかけドル円急落時に12.48まで下げ6/11以降の安値を更新
〇対ドルでは21日夜に8.79リラをつけ史上最安値を更新、14日から21日まで6日連続の陰線に
〇エルドアン大統領の金融政策に対する独裁的な介入の繰り返しによる先行き不透明感で下落基調続く
〇トルコが金融政策の市場の信認を回復する行動をしなければトルコリラ円も史上最安値を更新する可能性
〇12.60以下で推移中は下向き、12.48割れから12.30台後半への下落を想定
〇12.60から12.65手前は戻り売りにつかまりやすい、12.65超えから12.70前後へ上値目途を引上げる
【概況】
トルコリラ円の6月21日は12.61円から12.48円の取引レンジ。
21日昼にかけてドル円が急落した際に安値で12.48円まで下げて6月11日高値13.21円以降の安値を更新した。6月14日から15日へ続落後は16日に下げ渋ったものの17日から3日連続の日足陰線で続落している。
6月2日のエルドアン大統領による利下げ言及報道から12.44リラへ急落して2月16日高値15.26円以降の安値を更新した後は狼狽的な売り一巡で持ち直し、6月14日の米土首脳会談へ向けた期待感で上昇してきたが、6月11日と6月14日に長い上ヒゲを付けて毛抜き天井型を示現したところから失速している。
取引時間中の安値は6月2日安値割れには至っていないものの、終値ベースでは6月18日終値12.58円で6月4日終値12.61円を割り込んで2月17日終値以降の最安値を更新し、週明けの21日終値も12.57円で安値更新となった。
ドル/トルコリラの6月21日は8.79リラから8.70リラの取引レンジ。6月2日のエルドアン大統領による利下げ言及報道で8.77リラへ急落して史上最安値を更新してから6月11日に8.25リラまで戻し、その後は米土首脳会談は成果が見られずに失望売りとなって6月14日から21日まで6日連続の日足陰線で下落、21日夜には8.79リラを付けて史上最安値を更新した。
6月21日は17日未明の米FOMC後に発生したドル全面高が一服し、大幅下落していた南アランドが昼過ぎの安値から反騰、メキシコペソも18日深夜安値からの持ち直しを続け、メジャー通貨も総じて上昇したが、対ドルでのトルコリラはほぼ1本調子の下落を続けている。
【6月2日安値への余裕乏しい、対円でも最安値を伺い始めるところ】
ドル/トルコリラは2月16日高値を起点とした下落基調が続いている。最大の問題はエルドアン大統領が高金利を嫌い中銀の金融政策に独裁的な介入を繰り返し行っていることでの先行き不透明感であり、米国ではワクチン普及と共に景気回復が進んで量的緩和の縮小や利上げ時期の前倒し論が浮上している中にあって、物価上昇率が高水準にもかかわらず利下げの機会を伺う姿勢を繰り返し強調してきたことによる不信感にある。
ドル円が4月23日安値を起点としてジグザグな展開ながらも上昇基調を維持しているためトルコリラ円はドル/トルコリラがすでに史上最安値を6月2日のエルドアン大統領利下げ言及報道時に続き6月21日も更新しているのに対して、円安によるかさ上げ効果で最安値更新にはまだ至っていない。
しかしトルコリラ円も6月11日と6月14日の両日に長い上ヒゲを付けて毛抜き天井型で戻りを一巡させたこと、3月30日安値から4月2日へ戻したところからの下落や4月29日への反発も戻り幅が1円に満たない程度で一巡して一段安を繰り返していることを踏まえれば、トルコ自身が金融政策において市場の信認を回復するような行動に出ない限りは早晩、6月2日安値を割り込んで昨年11月6日の史上最安値12.03円を更新する流れへ進んでも不思議ないところと思われる。6月2日安値を割り込む場合はテクニカルな売りの連鎖にも注意がいると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、6月11日夕高値と14日夕高値がダブルトップとなって下落期に入ったが、17日午前時点では17日早朝へ一段安したために15日夜安値を直近のサイクルボトムとして底割れから新たな弱気サイクルに入っているとして18日夜から22日夜にかけての間への下落を想定してきた。
21日昼過ぎ安値からいったん下げ渋りに入っているため、21日午後安値を直近のサイクルボトムと仮定する。底割れ回避のうちは22日の日中から23日夜にかけての間への上昇余地ありとするが、12.60円以下での推移中は下向きとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして24日の日中から28日の日中にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では17日早朝への一段安で遅行スパンが悪化し、先行スパンからの転落も続いている。21日午後からの下げ渋りで遅行スパンは好転しやすい位置にあるが、先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化からは下げ再開とする。
60分足の相対力指数は18日夕安値からの一段安に際しては指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられたが、その後は下げ渋り程度で50ポイント以下にとどまっているので、一段安警戒が優先される姿と思われる。40ポイント以下での推移に入れば30ポイント割れを目指す流れとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.48円を下値支持線、12.60円を上値抵抗線とする。
(2)12.60円以下での推移中は下向きとし、12.48円割れからは12.30円台後半への下落を想定する。12.35円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は12.30円前後へ下値目途を引き下げる。また12.60円以下での推移なら23日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)12.60円から12.65円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、12.65円超えからは12.70円前後へ上値目途を引き上げる、ただし12.65円以上は反落警戒圏とし、その後に12.55円を割り込むところからは下げ再開とみる。
【当面の主な予定】
6月22日
16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 77.3)
6月24日
16:00 6月 製造業景況感 (5月 110.3)
16:00 6月 設備稼働率 (5月 75.3%)
20:00 トルコ中銀MPC議事録要旨
20:30 週次外貨準備高 (6/18時点)
6月25日
17:00 5月 観光客数 前年比 (4月 3162%)
6月29日
16:00 6月 経済信頼感指数 (5月 92.6)
6月30日
16:00 5月 貿易収支 (4月 -30.6億ドル)
7月1日
16:00 6月 イスタンブール製造業PMI (5月 49.3)
20:30 週次外貨準備高 (6/25時点)
※ポイント要約は編集部
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