先週は今年の週間ドル最小変動、米FOMC注目(週報6月第2週)

先週のドル/円相場は、レンジ取引。1週間を通した値動きはわずか66ポイントにとどまったが、これは今年の「週間最小変動幅」だった。

先週は今年の週間ドル最小変動、米FOMC注目(週報6月第2週)

先週は今年の週間ドル最小変動、米FOMC注目

〇先週のドル円、新規材料乏しく109.18-84の変動にとどまり今年の週間最小値幅となる
〇主要通貨全般で動きが鈍るもランドは対円で年初来高値更新、トルコリラも対円で13円台を回復
〇G7首脳会議で台湾や香港をめぐる中国の対応について討論、終了後の声明で中国への懸念が表明される
〇今週は米FOMCやFRB議長の会見要注意、米6月NY連銀製造業景況指数や5月鉱工業生産も注視
〇今週のドル/円予想レンジ108.50-110.80

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、レンジ取引。1週間を通した値動きはわずか66ポイントにとどまったが、これは今年の「週間最小変動幅」だった。

前週末は、開催されていたG7財務相会合で「各国共通の最低法人税率について少なくとも15%とする方針で合意」となった。また、毎日新聞が「日米首脳、中旬に行われるG7サミットで再会談する方向で調整に入った」などと報じたことも思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は109円半ばで寄り付いたものの、週間を通して動意に乏しい。寄り付きレベルを中心に上下30ポイント程度、具体的には109.18-84円の変動にとどまった。新規材料が全般的に乏しかったうえ、翌14日週には注目の米FOMCを控えていることもあり、積極的な売買は見送られたようだ。週末NYは109.65-70円で取引を終え、越週している。

なお、ドル/円以外の主要通貨も全般的に動きは鈍かったが、そうしたなか興味深い値動きをたどっていたのがランドとトルコリラ。ランドは対円で週初に年初来高値を一時更新したほか、リラも週間を通し対円では一貫した右肩上がり。5月20日以来の13円台を回復する局面も観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「中国情勢」と「いくつかの国際情勢」について。
前者は、中国外務省が、日本に対し台湾へのワクチン提供に反発。「政治的なパフォーマンスに執着しないよう望む」などとし、不快感を示していた。また、米国に対しても、ブリンケン国務長官が、天安門事件に絡めて声明を発表したことを批判。これまでの「内政干渉であり、断固反対する」との主張を繰り返している。さらに、中韓外相が電話協議を行うなど、いわゆる対中包囲網切り崩しの動きが観測されただけでなく、週末に掛けては「反外国制裁法」が成立、米国のみならず日本や欧州などに対しても、今後対抗措置を講じることが容易になった。

対して後者は、前述したように開催されていたG7財務相会合、「各国共通の最低法人税率15%方針で合意」となったが、そののち英紙FTが「英財務相、G7法人税率案でロンドン金融街の適用除外を要求」と報じるなど、決して一枚岩ではなかったとの齟齬も露呈していた。一方、週末11日から実施されたG7首脳会議は、「パンデミックからの復興」などについて議論されたほか、台湾や香港をめぐる問題などを含めた覇権主義的な行動を強める中国への対応について討論が行われたようだ。なお、終了後に発表された声明では、「人権・香港・台湾」などについて中国への懸念が表明されている。

<< 今週の見通し >>

先で指摘したように、先週のドル/円はわずか66銭しか動かず、週間を通した値動きは「今年の週間最小変動幅」。また、期間をもう少し広げても、109.20-110.30円といった1.1円レンジは気が付いたら2週間以上経過していた。いずれにしても明確な方向性は乏しいと言わざるを得ない。今週は前者にあたる狭いレンジ、そして後者の1.1円レンジについても、しっかりと抜けていく方向性などがまずは注視されそうだ。
前述したような状況下、今週も引き続き広義の米ファンダメンタルズと金融政策に注目。そうした意味で発表される米経済指標などにも要注意だが、今週最大の要因といえば後者に絡む米FOMCの結果公表とFRB議長による記者会見か。また、FOMCについては四半期に一度のFOMCメンバーの経済見通し公表が行われることもあり、そちらを警戒する声も少なくないようだ。どちらにせよ、波乱要因となりかねないだろう。また、FOMC以外では、スイスで行われる米露首脳会談を注視している向きも多かった。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円は一度も110円台に乗せることはなく、週間を通して109円台での一進一退。まずは、足もとの109円台を上下どちらに放れるのかを注視したい。
ちなみに、上放れた場合には年初来高値の110.97円がターゲット。それに対して底割れたとすれば108.33円や107.48円が視界内に捉えられそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、6月のNY連銀製造業景況指数や5月の鉱工業生産といった注目の米経済指標の発表されるほか、今週最大の材料といっても間違いない「FOMC」の開催が見込まれている。また、NATO首脳会議や米露首脳会談など注目度の高い国際会議も相次ぎ、こちらも内容如何では相場の波乱要因となりかねない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.50-110.80円。ドル高・円安については、先週一度も超えられなかった110円レベルが最初の抵抗で、抜けると前回高値110.32円が具体的な上値メドとして意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値109.18円の攻防にまずは注目。しっかり割り込むと109円割れの公算が高まり、少し遠いが108.33円などもターゲットになりかねない。

先週は今年の週間ドル最小変動、米FOMC注目

ドル円日足

※ポイント要約は編集部

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