米長期債利回り大幅低下への反応鈍く、10日夜の米CPI、ECB理事会待ち
〇昨日のドル円、米長期債利回り低下局面で109.21まで下げたものの買い戻され109.65へ上昇
〇10日夜の米消費者物価上昇率の発表を控え米国債が買い戻され10年債利回りが大幅に低下
〇NYダウは前日比152.68ドル安で3日続落、ナスダック総合指数は同13.16ポイント安と下落
〇10日夜のECB理事会、金融政策スタンスの変更へ向けた動きなど理事会声明及び議長会見に注目
〇109.75前後は戻り売りも出やすいが米経済指標等で勢い付くなら110円台序盤へ一段高の可能性も
〇6/7深夜安値109.17割れからは108.75前後への下落を想定
【概況】
ドル円は6月9日夜の米長期債利回り低下局面で109.21円まで下げたものの7日夜安値109.17円割れには至らず、その後に米長期債利回りが上昇したところで買い戻されて109.65円へ上昇、8日夜の戻り高値109.55円及び7日午前高値109.63円をわずかに上回った。
9日夜は卸売売上高の発表以外では主要な米経済指標の発表がなく手掛かり難だったが、10日夜の米消費者物価上昇率の発表を控える中で米国債が買い戻されて米10年債利回りが大幅に低下したものの、10日夜の米消費者物価上昇率の内容次第では利回りの急騰も急落もあり得るところとして市場の反応はやや鈍く、長期債利回り大幅低下局面でユーロやポンドが買われたものの、利回り低下がストップしてやや戻すとユーロやポンドは9日夜の上昇分を解消する反落となった。ドル円も利回り低下局面での下落よりも利回り低下がストップした後の反騰のほうが大きかった。
NYダウは前日比152.68ドル安で3日続落、ナスダック総合指数は同13.16ポイント安と下落した。
【米10年債利回りは一時1.50%割れ、5月7日以来の低水準に】
米10年債利回りは6月4日の米雇用統計での就業者数がさえなかったことで1.63%から1.55%へ低下し、6月8日には1.51%へ続落した。6月9日には一時1.47%台へ低下して5月7日の4月米雇用統計発表後に一時的に急落して付けた1.46%以来の低水準となった。
米10年債利回りは前日比0.05%低下の1.49%、30年債利回りは0.05%低下の2.17%で終了。米財務省はこの日に実施した10年債入札では応札倍率が2.58倍となり旺盛な債券買い需要が示された。バイデン米政権による巨額のインフラ投資計画について野党共和党との協議が決裂したとの報道があり、財政支出額が当初案を下回るようなら国債増発による債券売り圧力も弱まると市場が受け止めたことも利回り低下要因とされた。
10日夜には米5月消費者物価指数の発表を控える。市場の事前予想では全体の前年比が4.7%上昇で4月の4.2%から伸びが加速、コア指数の前年比も3.4%上昇で4月の3.0%から伸びが加速するとみられている。また週間失業保険申請件数の発表もあるが市場予想は37.0万件で、前週の38.5万件からさらに減少すると見込まれる。前週は昨年3月のコロナショック以降で始めて40万件を割り込んだことがADPの就業者数が予想を大幅に上回ったことと相乗効果となって米長期債利回りの上昇とドル高要因になっている。これらの内容次第では米長期債利回りの急騰も一段安もあり得るところだ。
10日夜にはECB理事会もある。9日にはECB理事会メンバーが6月18-20日にフランクフルトでオフサイトミーティングを開いて戦略見直しに関する主要な問題を議論するとの報道があった。今回の理事会ではややハト派的な内容のままと市場は見ているが、主要国のコロナ対策での大量国債発行が一段落した状況で年後半へ向けての金融政策スタンスの変更へ向けた動きも出やすいところであり、理事会声明及び議長会見が注目される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月4日朝高値を直近のサイクルトップとして下落したが、6月1日午前安値から4日半となる6月7日深夜安値でボトムを付けて戻しに入ったとし、底割れ回避のうちは9日の日中から11日午前にかけての間への上昇余地ありとした。9日夜の下落では底割れを回避して戻り高値を切り上げているのでまだ上昇余地ありとみる。7日夜と9日夜の両安値をダブルボトムとして上昇期が延びる可能性もあるが、7日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして10日夜から14日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では9日夜安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いてきた。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4日夜の急落から7日夜への一段安に際して指数のボトムから切り上がる強気逆行を見せたが、9日夜の反落で7日夜安値と同値近くへ下げたところでも指数のボトムは切り上がって50ポイント台を回復している。このため、50ポイント台を維持するか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、40ポイント割れからは下げ再開を疑い、7日深夜安値割れからは20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月7日深夜安値109.17円を下値支持線、109.75円を上値抵抗線とする。
(2)109.40円以上での推移中は上昇余地ありとみる。109.75円前後は戻り売りも出やすいとみるが、米経済指標等で勢い付く場合は110円台序盤への一段高へ進む可能性もあるとみる。また109.40円以上での推移なら11日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)109.17円割れからは108.75円前後への下落を想定する。108.75円以下は反騰注意とみるが、下げ足が早まる場合は5月25日安値108.55円を試す流れへ進む可能性もあるとみる。また109.17円を割り込んだ後も109.25円以下での推移なら11日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
6/10(木)
20:45 (欧) 欧州中銀(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
21:30 (欧) ラガルドECB総裁、定例記者会見
21:30 (米) 5月 消費者物価指数 前月比 (4月 0.8%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 4.2%、予想 4.7%)
21:30 (米) 5月 消費者物価コア指数 前月比 (4月 0.9%、予想 0.4%)
21:30 (米) 5月 消費者物価コア指数 前年同月比 (4月 3.0%、予想 3.4%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 38.5万件、予想 37.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 「前週 377.1万人、予想 360.2万人)
26:00 (米) 財務省30年債入札
27:00 (米) 5月 月次財政収支 (4月 -2256億ドル)
6/11(金)
G7首脳会議(6月13日まで、英コーンウォール)
08:50 (日) 4-6月期 大企業全産業業況判断指数BSI (1-3月 -4.5)
08:50 (日) 4-6月期 大企業製造業業況判断指数BSI (1-3月 1.6)
15:00 (英) 4月 月次GDP 前月比 (3月 2.1%、予想 2.4%)
15:00 (英) 4月 鉱工業生産指数 前月比 (3月 1.8%、予想 1.3%)
15:00 (英) 4月 鉱工業生産指数 前年同月比 (3月 3.6%、予想 30.7%)
15:00 (英) 4月 製造業生産指数 前月比 (3月 2.1%、予想 1.5%)
15:00 (英) 4月 貿易収支・物品 (3月 -117.10億ポンド、予想 -118.00億ポンド)
15:00 (英) 4月 貿易収支・全体 (3月 -19.66億ポンド、予想 -22.50億ポンド)
15:00 (独) 5月 卸売物価指数WPI 前月比 (4月 1.1%)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (5月 82.9、予想 84.0)
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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