ECB理事会に注目。ハト派発言だと一段安。(週報6月1第週)

先週のユーロは週前半は全般に緩やかなドル安の動きとなっていたことからユーロドルも買いが先行しましたがその後はじり安の流れとなりました。

ECB理事会に注目。ハト派発言だと一段安。(週報6月1第週)

ECB理事会に注目。ハト派発言だと一段安。

〇先週のユーロ、週前半は緩やかなドル安の動きでユーロドルも買いが先行し高値1.2254をつける
〇週後半はADP全国雇用者数の統計前に安値1.2104をつけた後、前日に下げる前の水準に戻して引ける
〇今週はECB理事会でテーパリング思惑を強める発言が出るか注目
〇今週は1.2080レベルをサポートに1.2210レベルをレジスタンスとする流れ

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは週前半は全般に緩やかなドル安の動きとなっていたことからユーロドルも買いが先行しましたが高値は1.2254レベルと前週高値をトライしきれず、その後は米国雇用統計に向けて米金利が上昇する動きからユーロドルはじり安の流れとなりました。木曜にはADP全国雇用者数の強い結果を受けて金米利高、ユーロ安・ドル高の動きとなり、雇用統計前には1.2104レベルと5月14日以来の安値を見ましたが、雇用統計後のドル売りの動きから前日に下げる前の水準に戻して引けました。

先週はそれほど目立った材料も無かったのですが、週前半に上値をトライしきれなかったことで上値が重くなっていたところに強いADPによるドル買いの動きで、ユーロドルでは短期筋のユーロ売りポジションがやや膨らみ、そこに雇用統計後のドル売りで買い戻しが入ったという流れです。後講釈的にはテーパリング議論につながるような雇用統計では無かったという判断から金利安ドル売りとなりましたが、NFP以外の数字はどちらかというと強めの数字が多く全体としてはそこまでドルを売る材料とは思えませんでした。

おそらくは前日のADPでポジションが傾き、雇用統計はそれとは逆だったことで週末前のポジション調整による動きと考えた方が自然です。それでも思った以上に動いた背景としては前日に大きく動いたことから、誰かが仕掛けた結果思いのほか動き、前日のポジションが切らされたというところでしょうか。逆に更なるドル売り・ユーロ買いの動きが出てくると改めてユーロ売りが出てくるという先週火曜以降の戻り売りの動きを再現しやすいのではないかと考えています。

今週は第2週でECB理事会を除くと大きな材料は無い週となります。市場参加者の注目はワクチン接種が進み景気が回復すればテーパリングを考えるという以前のラガルドECB総裁の発言が現在も有効なのかを見極めたいところだと思います。実際に欧州のワクチン接種は急速度で進み、ドイツでは100人あたり65回にまで達していますし、ほとんどの欧州諸国は50回を超える水準となっています。まだ道半ばではあるものの、着実に目標に近づいていることは確かなので、テーパリング思惑を強めるような発言が理事会後の会見で出てくるかどうかが今週一番の材料となりそうです。

他には目立った材料もありませんのでチャートに移ります。日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

3月末安値からの上昇チャンネルは下抜けました。このテクニカルな動きが先週の週初から木曜までのユーロの上値の重たさにつながったと言えます。5月高値と6月高値とで1.22台半ばの高値圏を構成し、どちらかというと下押しが入りやすいチャートになってきたと言えます。

下値の目途としては5月安値と高値の61.8%押しとなる1.2092があげられますが、先週の安値で近づいたと見るか、あるいは再度試しに行くかは悩ましいところで、おそらくはECB理事会でハト派な発言が出ると再度試しに行くであろうという程度のことしか言えません。短期的に上値は見たと言えますが、下値はECB理事会後でしょう。ただ、米国でもテーパリング思惑がやや後退していますので、ECBも早期テーパリングと取られるようなコメントはしにくいと思われ、どちらかというとテーパリング思惑後退によるユーロ売りの可能性の方が高いように思えます。

このシナリオで行くと再度先週の安値をトライする展開が考えられますので、今週は1.2080レベルをサポートに1.2210レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

今週もユーロ円の日足チャートを見てみましょう。

今週のコラム

ユーロ円は6月1日に134.13レベルと2018年2月以来の高値をつけましたが、金曜に最近のレンジの下限133.60レベルを下抜けたことで急速に利食いが出て、週明け早朝には133円間近の水準に押してきました。

日足レベルでも4月安値からのやや急角度なサポートラインを下抜けたことで、長期的に続いている平行上昇チャンネル(ピンクの太線)の中でスピード調整の段階になってきたと見られます。短期的にターゲットとなりやすい下値は5月24日安値の132.52レベル。同水準を下抜けるほどの勢いは無いと見ていますので、132円台半ばに近づく動きが出てくれば改めて買い場になってきそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

6月7日(月)
15:00 ドイツ4月製造業新規受注

6月8日(火)
08:01 英国5月小売売上高
15:00 ドイツ4月鉱工業生産
15:45 フランス4月貿易収支
18:00 ドイツ6月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏6月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP確報値

6月9日(水)
15:00 ドイツ4月貿易収支

6月10日(木)
08:01 英国5月住宅価格
15:45 フランス4月鉱工業生産
20:45 ECB理事会
21:30 ラガルドECB総裁会見

6月11日(金)
15:00 英国4月鉱工業生産
15:00 英国4月貿易収支
**:** G7サミット(〜13日)

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

5月31日(月)
LDN、NY市場とも休場となることもあって参加者が少ない中、ユーロドルはロンドンフィキシングで実需のユーロ買いが出ました。ユーロは1.2231レベルまで上昇、ドル円と異なり実需で持ち上げられたこともあり、引けまで底堅い地合いのままでした。ユーロ円も連れ高となったものの先週高値はトライしきれずとなりました。

6月1日(火)
ユーロドルはNY市場まで高値圏でもみあいながらも小刻みに上下し方向感の定まらない展開が続きました。NY市場で米金利が下げに転じる流れと歩調を合わせてユーロドルは一時1.2254レベルの高値をつけたものの、1.22台半ばではユーロ売りも見られ引けにかけては上げる前の水準へと押して引けました。

6月2日(水)
ユーロドルは東京市場では動きが見られませんでしたが欧州市場序盤には対ドル、対円とも売りが先行しユーロドルが1.2164レベル、ユーロ円は133.64レベルまで水準を下げました。しかし、単にポジション調整の売りだったと見られ、NY市場前から米金利低下とともにユーロドルは下げる前の水準へと戻して引けました。

6月3日(木)
ユーロドルはドル円同様米金利上昇によるドル買いでNY市場で1.2118レベルまで水準を切り下げ安値圏での引けとなりました。ユーロ円は多少の上下は見られたもののドル上昇のペースがドル円とユーロドルでほぼ同様であったことから今週のレンジ内での動きとなりました。

6月4日(金)
ユーロドルはドル円とともにユーロ円の上値が重たい流れとなっていたことから上値の重たい流れが続き、1.2104レベルの安値での米国雇用統計待ちとなりました。ドル売りの動きとなったことからユーロドルは1.2186レベルまで買われた後やや押しての週末クローズとなりました。ユーロ円は東京前場に最近のサポートとなっていた133.60レベルを下抜けたことから利食いも出て上値が重くなり、雇用統計後に133.14レベルの安値をつけ、やや戻しての引けとなりました。

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