基本は小動き継続、2つの米雇用指標に注意
〇本日のドル円は緩やかな右肩上がり、夕方には109.80-85まで値を上げる
〇本日は米ADP雇用統計と新規失業保険申請件数、5月ISM非製造業景気指数に注目
〇ダラス連銀のカプラン総裁など米地区連銀総裁による発言にも注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.40-110.20
<< 東京市場の動き >>
3日の東京市場はドルが小高い。しかし、ここ1週間ほど推移しているレンジからは脱却できず、そのなかでの値動きが依然として続いている。
ドル/円は寄り付いた109.50-55円を日中安値に、緩やかな右肩上がり。日米株価の動きなどをにらみつつ、「寄り付き安・大引け高」の様相で、夕方には109.80-85円まで値を上げている。16時現在でもドルはそのまま高値圏で推移、欧米市場を迎えていた。
そうしたなか、ランドは本日東京時間に小幅続伸。対円では8.12円レベルまで上昇し、前日塗り替えた年初来高値を再び更新している。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「G7財務相会談と首脳会談」について。
前者は、16日にスイスで実施される米露首脳会談を前に、米露双方による激しい舌戦が繰り広げられている。昨日は、米国のサキ報道官が「会談ではロシアが関与した公算の大きい『身代金ウイルス問題』を協議する」と発言していた。また、関係する事案としてブルームバーグは「米食肉大手JBSへのサイバー攻撃、露ハッカー集団レビル(ソディノキビ)が関与している」などと報じ、物議を醸していたようだ。なお、別途S&Pがベラルーシ情勢について、「西側諸国の厳しい制裁でロシア依存度が一段と高まる」との見解を示したことも話題に。
対して後者は、今週末に実施されるG7財務相会談で主要議題のひとつになるとみられる「法人税の国際的な最低税率」について、カナダ財務相が「もうすぐ合意に手が届く」との見通しを明らかにするなど、実現する公算が高まっているもよう。一方、日経新聞はそれとは別に来週のG7首脳会談について、「中国について集中的に討議する会合を設けることがわかった」と指摘。いわゆる対中包囲網の確認、日米欧の結束が改めて示されることになりそうだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、ここ1週間ほど推移している新レンジ109.30-110.20円内での値動きで、いまだ脱却できず。油断は禁物だが、明日に注目の米雇用統計発表を控えていることを考えると、本日の欧米時間も基本的には上記レンジ内で次の方向性を探る展開が続く可能性を否定できない。市場では動きの鈍そうなドル/円よりも、トルコリラなどを含めた広義の欧州通貨の動きを警戒する声が少なくないようだ。
前述したように、明日の米雇用統計がもっとも注目を集めているのは間違いないが、本日もADP雇用統計と新規失業保険申請件数という2つの米雇用データが発表される予定となっている。ともに露払い的なものとして警戒する向きも多く、数字如何では波乱要因になりかねない。ちなみに、事前予想値は前者がプラス65万人、後者は38.8万人−−程度が見込まれていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円はかつて推移していたレンジを上放れたものの、今度はレベルを切り上げたところで新レンジを形成している。明日に米雇用統計が発表されることからすれば、足もとのレンジ取引が長期化する公算は低いとみているものの、ごく短期、たとえば本日の欧米市場については基本109.30-110.20円にとどまる公算が大きいのかもしれない。ただ、レンジ取引継続といった見方が有力視されているだけに、不意を衝く格好で動き始めれば、なかなか大きな変動をたどる可能性もある。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」−−などが注視されている。
一方、本日の注目材料は、先で取り上げた2つの米雇用指標のほか、5月のISM非製造業景気指数が発表される予定で、後者の数字も要注意だ。また、本日もダラス連銀のカプラン総裁など米地区連銀総裁による発言機会は多いようで、こちらについても注意しておきたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.40-110.20円。昨日高値109.88円、そして110円前後がひとつの壁になりそう。超えても、前回高値110.20円では取り敢えず上げ止まる展開か。
対するドル安・円高方向は、本日東京でも割り込めなかった109円半ばが最初のサポートで、下回ると109.33円や移動平均の21日線などを目指しそうだ。
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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