ドル上値トライ機運萎む、米経済指標に注目
〇ドル円、109.55レベルで寄り付き小動き、109円台後半から上値も重く16時現在109.45-50で推移
〇ポンドが強含みとなり対ドルで年初来高値を更新、新型コロナウイルスのワクチン接種進展が好感したか
〇ファンダメンタルズ改善観測と早期テーパリング期待によるドル買いが見られたが調整に押される展開に
〇本日発表の米5月製造業PMIや同ISM製造業景況指数、ブレイナードFRB理事の講演などに注意
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジ108.90-109.90
<< 東京市場の動き >>
1日の東京市場はドルが小安い。20ポイント強の値幅ながら、一時109.30-35円へと値を下げ、前日安値をわずかながら下回っている。
ドル/円は109.55円レベルで寄り付いたものの、基本は小動き。前日、英米市場が休場で動きが鈍かった流れを継ぎ、積極的な動意は見送られている。ただ、そうしたなかドルはやや冴えない動きで、109円台後半からは上値も重かった。16時現在109.45-50円で推移し、欧米市場を迎えている。
そうしたなか、ポンドが強含みとなり、対ドルでは年初来高値を更新。新型コロナウイルスのワクチン接種の進展が好感されているとの解説も聞かれていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「週末G7」について。
前者は、ワクチン接種の進展度合いによるものなのか、地域や国によって状況に差異が見受けられる。東南アジアを中心としたアジア地域が苦しむ反面、欧米については、ロイターが「米国はワクチンで需要回復の兆し」と指摘したうえで、「メモリアルデーの3連休、旅行者は前年比60%増」などと景気回復を期待させる内容を報じていた。一方、欧州は欧州委が「ワクチン接種完了なら域内渡航は検査・隔離措置を免除する方針」を提案すると指摘、規制の段階的な解除を目指す考えが示されている。
対して後者は、ロイターが今週4-5日に開かれるG7財務相会議で「法人税の国際的な最低税率の導入を支持する方針を打ち出す見通し」と報じていた。ロイターが入手した共同声明の草案では「政策支援を早急に解除せず、成長を促進するための投資を行い、質の高い雇用を創出しながら、気候変動や格差に対処することを確約する」見込みだ。なお、それとは別に共同通信は「4日に日米財務相が初の対面会談実施」と指摘。続けて「為替政策では相場を市場に委ねる方針を再確認するとみられる」と報じたことで、市場の思惑を呼んでいた。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は、先週末に中期的なレンジを上抜け110.20円まで上値を伸ばすも、そののち失速。昨日に続き本日東京でも109.30円台を示現している。目先高値から1円近い下押しで、以前から何度もレポートしている「(ドルの上値トライは)ダマシ」の可能性もあり得る状況だ。かつて推移していた108.30-109.80円のレンジを、上方向に若干膨らませた108.30-110.20円という新レンジ内での動きが続く可能性も考えられる。
米ファンダメンタルズ改善観測と、FRBによる早期テーパリング期待によるドル買いが散発的に観測されていたが、足もとはそうした動きも一服。むしろ、調整とも言える動きに押される展開だ。しかし、今週は5月のISM製造業指数や同雇用統計など、注目の米経済指標の発表もあり、それらの内容如何では思惑が再燃しかねないだろう。つまり、ドル買いが再び強まる可能性もある。名実ともに6月入りし様々な需給要因がリセットされるなか、3連休明けとなる英米市場筋の動静にも一応要注意。
テクニカルに見た場合、ドル/円先週末に110円台に一時乗せ、110.97円の年初来高値も視界内に捉えられたが、そののち失速。少なくともドルの上値トライは出直しとなったか。ただ、下方向も断続的にサポートが位置しており、底堅そう。とりあえずは109.10-20円に位置する移動平均の21日線をめぐる攻防に注目だ。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料は、5月の製造業PMI確報や同ISM製造業景況指数といった米経済指標がまずは発表される見込みだ。また、ブレイナードFRB理事などによる講演やOPECプラス会合といった注目イベントも実施される予定。昨日とは一転し、材料目白押しで予断は許さない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.90-109.90円。ジワリと110円レベルが遠ざかりつつある感。ただ、抜ければ前回高値110.20円がターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、本日安値を含めた109.30-40円が目先の安値で攻防を注視。その下に位置する21日線をしっかり下回ると、109円割れも視界内に捉えられかねない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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