レンジ放れの有無に注目、米金融政策を注視(週報5月第4週)

先週のドル/円相場は、レンジ取引。ややドル安リスクがうかがえたものの、週間を通して値幅は1円にもとどいておらず、基本的にはレンジ内での一進一退だった。

レンジ放れの有無に注目、米金融政策を注視(週報5月第4週)

レンジ放れの有無に注目、米金融政策を注視

〇先週のドル円、週間安値108.58後は週末にかけて109円挟みのレンジ取引
〇米経済指標はまちまち、良好一辺倒ではなく強気派の足かせに
〇今週も暗号資産の動静には注意、米株やドル円などの為替市場の波乱要因に
〇今週は5月消費者信頼感指数や1-3月期GDP改定値などの米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは、108.00-110.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、レンジ取引。ややドル安リスクがうかがえたものの、週間を通して値幅は1円にもとどいておらず、基本的にはレンジ内での一進一退だった。

前週末には、新華社が「中国の無人探査機、火星への着陸に成功した」と報じ話題に。また別に米国ではバイデン米大統領が前任者トランプ氏の導入した「移民ビザ制限」を撤回する旨を発表し、一部で思惑を呼んでいたようだ。
そうした状況下、ドル/円は109.30円で寄り付いたのちドル買い先行。週間高値である109円半ばを示現するも、上値は重く上げ渋った。その後、ドルは一転してじり安。下値をうかがうも攻め切れず、週間安値は108.58円まで。結局、1円も動くことはなく、週末にかけては109円挟みのレンジ取引をたどるなか、週末NYは108.95円前後で取引を終え、越週している。
また、全体的に動きの鈍かったドル/円だが、円は対ドル以外で冴えない。実際、ユーロ/円やカナダ/円、スイス/円などは年初来高値を一時的に更新する局面も観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「大荒れの暗号資産」について。
前者は、19日に発表された4月27-28日分の米FOMC議事録要旨が、予想よりもタカ派的な内容となったと話題に。「当局は経済活動が急激に回復したと判断」などといった文言に加え、一部の政策担当者が金融政策の変更を検討し始める用意を示していたことが明らかになっている。ただ、その一方、肝心のファンダメンタルズを示す米経済指標は全体を通しまだら模様で、良好一辺倒ではなくなりつつあることが、強気派の足かせに。たとえば、4月の住宅着工件数や5月のフィラデルフィア連銀業況指数は、市場予想を大きく下回る数字だった。今週も引き続き米経済指標には要注意。

対して後者は、米電気自動車大手テスラのマスクCEOによる発言などや、中国当局の「マイニング(採掘)」や取引への規制をめぐり、思惑が交錯すると暗号資産(仮想通貨)が大混乱となった。代表格であるビットコインは、前週末14日段階の5万ドル台から一気に暴落。19日には30200ドル台と、最大で2万ドルを超える下げを記録している。その後も、急激な戻りと再下落という、非常に激しいジェットコースター相場をたどり、米株やドル/円などの為替市場でも波乱要因に。今週も、荒っぽい値動きは続く可能性があり、その動静には注意を払いたい。

<< 今週の見通し >>

先で取り上げたように、先週のドル/円相場は週間を通し1円以下の相場変動。ほぼ方向性の乏しい状態だが、期間をいま少し広げ、先月末からの3週間程度と考えても、108.34-109.78円という1.5円ほどのレンジ相場だ。今週は、そんなレンジを如何にして放れていくのか、まずはタイミングと方向性が注視されている。米テーパリング期待が高まっていることを勘案すると、上方向に放れるリスクが若干高い気もするが、逆に期待が萎むようだと一転して下値リスクが高まることになりかねない。

前述したような状況下、今週も引き続き広義の米ファンダメンタルズが注視されている。まだら模様の傾向がうかがえる米経済指標はもちろん、クオールズFRB副議長の議会証言など通貨当局者の発言機会も多いだけに、その内容にも要注意。発言内容などによっては、相場が一時的にせよ荒れる可能性も否定できない。また、週末に開催されるオンライン方式のG7財務相・中銀総裁会議など、重要な国際会議も数多く予定されており、それらを警戒する向きも少なくないようだ。

テクニカルに見た場合、先週は1円未満の変動にとどまったドル/円は、過去3週間程度と考えてもわずか1.5円レンジにとどまっている。そのなかでは、なかなかの変動をたどっているものの、往来相場に過ぎず、方向性そのものは乏しい。ちなみに、レンジを上放れればドル/円は110円台を回復。110.97円の年初来高値も視界内に捉えられる反面、下放れれば4月安値の107.48円がターゲットに。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、5月の消費者信頼感指数や1-3月期GDP改定値といった米経済指標が発表される見込み。またFRB副議長をはじめとする米通貨当局者による発言や、米財務省による2年債など短期債を中心とした入札にも要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.00-110.00円。ドル高・円安については、ごく短期的には109.30-40円が抵抗で、抜けると109.78円、110円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、同じく短期的には108.60円前後がサポートか。しっかり割り込めば108.34円や108円前後などが意識されそうだ。

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ドル円日足

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