ザラ場で21日線回復、ドル安傾向はダマシか(5/10夕)

週明け10日の東京市場は、ドルが小高い。早朝こそやや冴えなかったが、堅調な日米株価などもあり、その後ドルは堅調に推移した。

ザラ場で21日線回復、ドル安傾向はダマシか(5/10夕)

ザラ場で21日線回復、ドル安傾向はダマシか

〇本日のドル円、終盤にかけ買いが強まり一時109円前後で日中高値更新
〇ホワイトハウスのコロナウイルス対策調整官「新型コロナ流行は米国で収束に近付いている」
〇米利上げ観測の後退が米株市場に好感され、為替市場にとって今度はドル高要因に
〇移動平均21日線を回復、ドルの下値試し機運の高まりは「ダマシ」の可能性も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.50-109.40

<< 東京市場の動き >>

週明け10日の東京市場は、ドルが小高い。早朝こそやや冴えなかったが、堅調な日米株価などもあり、その後ドルは堅調に推移した。

先週末は、全米最大とされるパイプラインがサイバー攻撃を受け、操業停止となり話題をさらっていた。なお、一部報道によると、攻撃を仕掛けた犯罪集団は大量のデータを盗んだことも別途わかったという。
そうした状況下、ドル/円は108.55-60円で寄り付いたのち、しばらくは冴えない。108.45-60円といったレンジ取引をたどるも、上抜けると、そのまま108.90-95円へと値を上げている。その後はドル強保ち合いのなか、終盤にかけ再び買いが強まると一時109円前後と、わずかながら日中高値を更新した。16時現在では、そのままドルの日中高値圏で推移し、欧米市場を迎えている。

一方、材料的に注視されていたものは、「新型コロナ」と「中国情勢」について。
前者は、欧米諸国においては感染拡大もピークを越えたとの見方が広がり、やや楽観論が優勢に。たとえばスペインは、昨年10月下旬に全土に再宣言した非常事態を約半年ぶりに解除したほか、米国もホワイトハウスの新型コロナウイルス対策調整官であるザイエンツ氏から「新型コロナ流行は米国で収束に近付いている」とのコメントが聞かれていたようだ。ただ、インドや日本などの状況は依然として厳しく、後者に関しては立憲民主党の枝野代表から東京オリンピックについて、「世界の変異株の展示会みたいな状況になり、結果として開きたくても開けないことになるのではないか」と開催困難との見方も取り沙汰されている。

対して後者は、米国務長官からオンライン会合で、中国の人権や領有権問題などを批判する発言が聞かれるなか、中国によるロケット残骸をめぐり米中による罵り合いのような状況も観測されていた。ただ後者は、地表に落ちることも当初は懸念されていたが、最悪の状況は回避され、インド洋に落下したという。そうしたなか、朝日新聞は「中国が新疆ウイグル自治区の人権状況をめぐり、欧米の国連代表部が企画した大規模なオンラインイベントについて、各国に参加を見合わせるよう求めていることがわかった」などと報じ、物議を醸していた。

<< 欧米市場の見通し >>

先週末金曜日は発表された4月の米雇用統計が予想を大きく下回ったこともあり、結果「欧米安」。それを受け、ドル/円はなんと5日連続で「東京高・欧米安」の展開となった。翻り、前述したように本日の東京時間はというと、「東京高」で推移している。ドルブル派にとっても、若干気掛かりな事象と言えそうだ。週も変わったことで、先週までの「経験則」は一旦リセットされると考えているが、果たして如何に!?
材料的には、前述したように先週末は発表された米雇用統計が弱く、それがFRBの早期テーパリング実施期待を後退させ、ドル売りに寄与していた。しかし、本日東京をみると、米利上げ観測の後退が米株市場に好感されている感を否めず、為替市場にとって今度はドル高要因となっていたようだ。いずれにしても、引き続き発表される米経済指標や要人発言に要注意で、それを踏まえた米株や金利の動きに一喜一憂する展開か。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週末のNYベースで下回った移動平均の21日線を、本日の東京タイム、ザラ場ベースながらアッサリと回復してきた。まだ予断は許さないが、ドルの下値機運の高まりが「ダマシ」だった可能性も指摘され始めている。動静をしっかりと見極めたい。ちなみに、ドルはこのまま続伸し、先週末の米雇用統計発表前レベルである109.20-30円へと戻せば、「ダマシ」の公算が極めて大きいと言えそうだ。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料としては、目立った米経済指標の発表が予定されていないほか、イベント関係もシカゴ連銀総裁によるオンライン講演程度と、やや材料に乏しい。ただ、そうしたなか「バイデン米大統領が米東部時間10日午後に演説を行う」との指摘もあり、そちらについては要注意だ。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは108.50-109.40円。前述したように米雇用統計発表前に推移していた109.20-30円をめぐる攻防に注目。しっかり回復すれば、ドルはさらなる戻りも期待できそうだ。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の108.45-50円が最初のサポートで、割り込むと先週安値の108.34円がターゲットになる。

ザラ場で21日線回復、ドル安傾向はダマシか

ドル円日足


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