ユーロは底堅い地合いを継続
〇先週のユーロ、イエレン財務長官の金利上昇容認からドル買いが出て週間安値1.1987レベルをつける
〇米雇用統計が予想より悪かった為ドル売りの動きとなり1.2171レベルの週間高値をつけ週末を終わる
〇今週は重要な経済指標もなく、長期ドル高トレンドにおけるドル売り調整がどこまで続くか探る週に
〇ドル売りが継続する中でユーロ買いの材料が出てくる時には1.22台前半〜半ばに注目
〇下値は当面1.20台半ばがサポートとなる可能性
〇今週は1.2050レベルをサポートに1.2200レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、前週木曜高値1.2150レベルから高値を切り下げる流れが水曜まで続きました。週初はドル円同様に前週からのドル高の影響を受けてスタートしましたが、月曜欧州市場にデギンドスECB副総裁がワクチン接種進展による景気回復とテーパリングに言及したことで、いったん買い戻しも見られました。しかし火曜水曜は月曜の買い戻しにおいて日計りの買い戻しが一巡したことで改めて売りが出たこと、さらにイエレン財務長官の金利上昇容認からドル買いが対ユーロで出たことから水曜には週間安値となる1.1987レベルをつけました。
ただ、1.20の大台割れではユーロ買いのオーダーが入っていたことや、強いドイツの経済指標や金曜の雇用統計を前にした売り手の買い戻しも入り、1.20台後半まで買い戻されての指標待ち。そして米国雇用統計は予想よりもかなり悪い数字となったことでドル売りの動きからユーロドルは1.2171レベルと前週高値を上回って強い地合いでの週末クローズとなりました。
前週はFRBがテーパリングは時期尚早とし、週明けにはECB副総裁によるテーパリングの可能性に言及、イエレン財務長官は管轄外とはいえ前FRB議長だったこともあり金利上昇容認発言も影響したりと、ユーロドルは米国と欧州の金融政策に上下する一週間だったと言えます。結局米国雇用統計が決め手となって2月26日以来の高値をつけることとなりました。
今週は第2週でこれといって重要な経済指標はありませんし、週末に確定したスコットランド総選挙の結果(独立派躍進)も週明けのポンド市場にほとんど影響は出ていないため、今週も細かく上下しながらも長期ドル高トレンドにおけるドル売りの調整がどの程度まで、いつまで続くのかを探る一週間となってきそうです。
早速ですがチャートを見てみましょう。日足チャートをご覧ください。
ドル円と同様ですが、年始から3月末までのドル高(ユーロ安)の動きに対して4月は大きな調整の1か月となりました。5月に入ってからはユーロ売りが先行していたものの米国雇用統計後に4月高値を上抜けたことで次のターゲットを探る展開となっています。短期的には3月安値からの上昇N波動(ピンク)の50%エクスパンション1.2208を、最終的なターゲットは2月高値の1.2242レベルを見ておけばよいでしょう。
一気に後者の水準まで行くとは思えないものの、ドル売りの流れが継続する中でユーロ買いの材料(指標、発言等)が出てくる時には、1.22台前半から半ばを気にしておくとよさそうです。いっぽうで下値に関しては先週安値まで押す動きは考えにくく雇用統計までの水準である1.20台半ばが当面はサポートとなってくるでしょう。
今週は1.2050レベルをサポートに1.2200レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円の日足チャートを見てみましょう。
前回見た通りですが、先週後半のユーロドルの上昇でユーロ円も上昇し、今朝の動きで4月高値をわずかに上回る動きを見せています。
2018年高値と2020年安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しが132.55(赤の水平線)となっていて、同水準を今週中には一度トライする流れが視野に入ってきました。次の動きを考える前に、まずはもう少し上昇をトライしピンクのラインで示した上昇チャンネル上限に近づいてからの反落という展開の可能性が高そうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
5月10日(月)
(特になし)
5月11日(火)
08:01 英国4月小売売上高
15:00 ドイツ4月PPI
18:00 ドイツ5月ZEW景況感
18:00 ユーロ圏5月ZEW景況感
23:30 英中銀総裁講演
5月12日(水)
15:00 英国1〜3月期GDP速報値
15:00 英国3月貿易収支、鉱工業生産
15:00 ドイツ4月CPI
18:00 ユーロ圏3月鉱工業生産
18:00 英中銀総裁講演
5月13日(木)
08:01 英国4月住宅価格
5月14日(金)
(特になし)
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
5月3日(月)
ユーロドルは、欧州市場でデギンドスECB副総裁がワクチン接種の進展による経済回復が進めば緩和政策を段階的に解除可能と発言したことをきっかけにユーロ買いに動きました。NY市場ではドル売りの動きからユーロドルはユーロ買いの動きとはなっていたものの、ユーロ円の売りも入ったことから上昇は鈍く、高値は1.2076レベルに留まりました。
5月4・5日(火・水)
4・5日のユーロドルは一転売りが目立ち、高値安値とも切り下げる展開が続きました。週初のユーロ買いの動きもそれほど強くはなかったこともあって、前週末からのユーロ安の流れが継続する中で、イエレン財務長官の米金利上昇容認発言によるドル買いが対ユーロでは効いていた流れと見られました。
5月6日(木)
ユーロドルは東京市場ではほとんど動きが出ず、欧州市場序盤にドル売りの流れの中で強いドイツの経済指標も手伝ってユーロドルに買いが目立ちました。NY市場までユーロ買いの動きは続きましたが、NY市場に入ってからは再びもみあいとなり横方向の動きのままで1日を終わりました。
5月7日(金)
ユーロドルは雇用統計まで底堅いものの小動きに留まっていましたが、悪い雇用統計に反応したりとドル売り・ユーロ買いが強まってユーロドルは1.2146レベルへと上昇。その後ドル円とともにいったん調整は入ったもののユーロ円の買いもあり、引けにかけては1.2171レベルまで上昇し、高値圏での引けとなりました。
ディスクレーマー
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