ドル円 21日線など下回り、ドルの続落リスク高まる(週報5月第2週)

先週のドル円は、ドル弱含み。週明けに109.69円まで上昇し、直近の戻り高値を更新したものの続かず。むしろ、週末にかけては米雇用統計の悪化もあり、ドル売りが優勢に。

ドル円 21日線など下回り、ドルの続落リスク高まる(週報5月第2週)

21日線など下回り、ドルの続落リスク高まる

〇先週のドル円、週明け109.69まで上昇後週末にかけ米雇用統計の悪化などからドル売り優勢に
〇円は対ドル以外のクロスでは冴えず、カナダ/円やランド/円は年初来高値を更新
〇ドル円の週足は「週初高・週末安」でドルの弱さがうかがえる、続落に要注意
〇短期的なドルの下支えに寄与してきた21日線を下回り、リスクは基本下向き
〇今週は4月消費者物価指数、5月ミシガン大消費者信頼感指数速報値などの米経済指標に注目
〇今週のドル/円予想レンジは、107.50-109.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドル弱含み。週明けに109.69円まで上昇し、直近の戻り高値を更新したものの続かず。むしろ、週末にかけては米雇用統計の悪化もあり、ドル売りが優勢に。

前週末、ロシアは7日に再開する核合意会合を踏まえたうえで、「3週間で交渉の成功めざす」との考えを示し話題に。また、日本を巻き込む格好のなか、実施されるG7をにらんだ米中によるある種神経戦ともいえる小競り合いがいくつか観測されていた。

そうした状況下、ドル/円は109.25円レベルで寄り付いたのち、当初はドル買い優勢。週間高値である109.69円まで一時値を上げた。しかし、110円には届かず反落に転じると、徐々に下値を切り下げる展開。それでも109円前後では底固く下げ渋ったが、市場で注視されていた週末の4月米雇用統計が予想を大きく下回ったことが失望されると、ストップロスを巻き込み、一気にドル安が進展した。108.34円まで下落し、週末NYも108円半ばとドルの安値圏で取引を終え、越週している。
なお、円は前述したように対ドルでは強含みとなったが、それ以外、いわゆるクロスでは冴えない。実際、豪ドル/円やNZ/円は年初来高値に面合わせ、カナダ/円やランド/円は年初来高値を更新する局面が観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「G7外相会談」と「新型コロナ」について。
前者は、5日まで3日間の日程で対面式のG7外相会談が実施された。そのなかで、「北朝鮮の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化の目標を堅持することで一致」したと発表されたほか、終了後の共同声明で「中国、ロシア、新型コロナウイルスのパンデミックが現在の最大の脅威」などと指摘されている。また、異例ともいえる「台湾のWHO参加支持」の言及がなされたことも目を引いていた。ただ、そうしたことに中国が猛反発。「重大な内政干渉」などといった強い非難が発せられている。

対して後者は、ニュースとして大きく2つあり、ひとつはインドを中心に日本やカナダで感染拡大が目に付くようになってきた中、EUは、コロナ感染が落ち着きつつあるとの見方から、「繁忙期」の夏を前に域外からの渡航規制緩和を提案。また、米国もNYなど3州知事が「コロナ人数制限の大半を19日に解除する」旨を発表するなど、国によってかなりの格差がうかがえるようになってきたこと。とくに日本は、今夏東京オリンピック・パラリンピックを開催する予定であり、その動静が注視されている。一方、バイデン米大統領が「新型コロナワクチン特許の一時放棄を支持する」と表明したことが物議を醸す。欧州委員会のフォンデアライエン委員長やフランス、イタリアは賛意を示すも、逆にドイツはメルケル首相が反対のスタンスを表明するなど、意見が集約されずに見解の一致はみていない。

<< 今週の見通し >>

「日報」でも連日指摘していたように、先週のドル/円は5日すべてで「東京高・欧米安」の展開。あくまでも結果論だが、ジンクスにある「東京休場時は円高に振れやすい」が的中したと言えるのかもしれない。ともかく、ドル/円の週足は「週初高・週末安」で、ドルの基調の弱さがうかがえる。まずはドルの続落に要注意か。4月安値である107.48円レベルを視界にとらえた動きを見込む向きも少なくないようだ。

前述したような状況下、今週もまずはこれまでの継続案件である広義の米ファンダメンタルズを注視。先でも取り上げたように、先週末発表された米雇用統計が失望を誘う内容だったことで、今週発表される米経済指標が改めて脚光を浴びている感も否めない。市場に再燃したある種の弱気ムードを払しょくするような好数字、強気の指標が続くか否かに注目だ。また、それとは別に、新型コロナをめぐる各国の動きにも引き続き要注意。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円高値である109.69円は、3月末に記録したドル高値110.97円を起点とした61.8%戻しにほぼ合致するテクニカルポイント。そのレベルで上値を抑制されると、週末には108.34円まで押し戻された格好だ。
移動平均では短期的なドルの下支えとして寄与してきた21日線を下回ってきており、リスクは基本下向きか。それに対して上方向は109円前半から半ばが重そうで、強い抵抗として寄与する可能性もある。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、4月の消費者物価指数や5月のミシガン大消費者信頼感指数速報値といった米経済指標が発表される見込みであり、また米財務省による10年債などの入札や、米地区連銀総裁による講演など発言機会も多く、その内容にも注意を払いたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、107.50-109.50円。ドル高・円安については、先週末に米雇用統計発表前後で推移していた109.20円レベルが最初の抵抗で、超えれば109.69円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、先週安値108.34円をめぐる攻防にまずは注目。割り込めば、108円割れ、そして4月安値の107.48円などが意識されそうだ。

21日線など下回り、ドルの続落リスク高まる

ドル円日足

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