東京休場ジンクスに逆行、ドル高優勢か
〇本日のドル円、緩やかな右肩上がりで夕方にかけ109.65-70まで一時値を上げる
〇東京ならびに中国市場が休場の中、時間外取引のNYダウ先物が100ドル超の上昇をたどる
〇ロシアは7日に再開する核合意会合を踏まえ「3週間で交渉の成功めざす」との考えを示す
〇サリバン大統領補佐官、気候変動問題について「中国の公約履行は不透明」とコメント
〇フィボナッチポイントにあたる109.65-70を超えれば110円台回復の可能性も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.10-110.00
<< 東京市場の動き >>
週明け3日の東京市場はドルがしっかり。値幅は決して大きくないが、「寄り付き安・大引け高」に近い動きで、見た目以上にドルが強い印象だ。
先週末、ロシアは7日に再開する核合意会合を踏まえたうえで、「3週間で交渉の成功めざす」との考えを示し話題に。また、日本を巻き込む格好のなか、今週実施されるG7をにらんだ米中によるある種神経戦ともいえる小競り合いがいくつか観測されていた。
そうした状況下、ドル/円は寄り付いた109.20-25円を日中安値に緩やかな右肩上がり。早々に先週高値の109.38円を超えただけでなく、夕方にかけては109.65-70円まで一時値を上げている。東京ならびに中国市場が休場となるなか、時間外で取引されているNYダウ先物が100ドル超の上昇をたどったことなどが好感されていたという。16時現在でも、ドルはそのまま高値圏をキープし、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「米中の対立」と「イラン情勢」について。
前者は、米USTRが報告書を発表し、そのなかで「中国は第1段階通商合意の知財保護を果たしていない」と非難。また、サリバン大統領補佐官からは、数少ない米中の妥協ポイントである気候変動問題について、「中国の公約履行は不透明」としたコメントも聞かれていたようだ。そうしたなか、中国が空母「山東」を南シナ海に派遣するなどの動きが観測され、対峙する格好で日米制服組トップが会談を実施。東シナ海の現状変更など、海洋進出への反対で一致したと伝えられている。
対して後者は、前述したようにロシアが核合意会合について、「3週間で交渉の成功めざす」との考えを示し話題に。また、それとは別にイラン国営放送が、同国外務次官の発言として「原油輸出などの制裁は解除されるべきだとの認識で米側と一致」と報道。さらに、イラン匿名筋の情報として、「米国とイランが互いの収監者を交換し、米国が70億ドルを支払うことで合意した」との報道も別途観測され、思惑を呼ぶ。7日に再開する協議の行方にもぜひ注目だ。
<< 欧米市場の見通し >>
「円高に振れやすい」−−というジンクスが囁かれる本日の東京時間にドル/円は逆方向、ドル高・円安が進行していた。目先高値110.97円を起点としたフィボナッチによると、下げ幅の61.8%戻しは109.65円。これは本日東京高値にほぼ合致するレベルで、テクニカルポイントにあたる。まずは同レベルの攻防が注視され、超えれば名実とも110円台回復も否定できない。
アジア時間の東京、中国に続き欧州も本日はロンドンがバンクホリデーで休場となる。やや動きにくそうな雰囲気もあるが、アジア時間同様に「薄商いが故の変動」を懸念する声も少なくないようだ。一方、材料的には引き続き広義の米ファンダメンタルズ要因に注意。本日も、発表される4月ISM製造業景況指数などの米経済指標や、G7外相会合と絡めた要人の発言が波乱要因となりかねないかもしれない。
テクニカルに見た場合、ドル/円は日中休場という薄商いの間隙を突き、109.65-70円まで上値を伸ばしてきた。ドルの戻りのスピードがやや速いことは気掛かりながら、リスクは上方向か。フィボナッチポイントにもあたる前述109.65-70円を超えれば、いよいよ110円台回復も否定できない。
対するドルのサポートは、移動平均の21日線も位置する108.90円前後か。
材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料として、4月の製造業PMI確報や同ISM製造業景況指数といった米経済指標が発表される予定となっている。もっとも注視されるのは今週末の4月雇用統計だが、ISM指数なども市場筋の関心の高い指標だけに、その内容には注意を払いたい。そのほか5日まで実施される対面式の拡大版G7会合などにも一応要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.10-110.00円。本日高値109.65-70円レベルの攻防がまずは注視されている。抜ければ110円が次のターゲットだが、手前では東京実需筋のオファーが厚いとの指摘も。
対するドル安・円高方向は、先週高値の109.38円のほか、109.20円レベルに弱いサポートが散見される。割り込めば109円割れが再び意識されかねない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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