ドル高によるユーロドルの下押しが継続
〇先週のユーロ、1.2150レベルの週間高値つけるも週末に向け1.20の大台に近づいての引け
〇ユーロドルは1.21台で当面の高値を見て下方向に切り返してきた動きと見る
〇今週のECB関係者の講演、現在の緩和の手を緩めるような発言が出ることはないと見る
〇米国と欧州との対比という視点で見れば、ドル高ユーロ安に動きやすい
〇今週は1.1950レベルをサポートに1.2080レベルをレジスタンスとする流れ
今週の週間見通しと予想レンジ
先週のユーロは、週前半は全般的なドル買いの動きの中でユーロは上値の重たい展開を辿りましたが、FOMCにおいてテーパリング議論を時期尚早としたことから金利低下、ドル安となり翌東京市場で1.2150レベルと週間高値をつけました。しかし、1.21台前半ではユーロ売りも出て上がりきらず、週末に向けては短期筋のユーロ買いの投げも入って1.20の大台に近づいての引けとなりました。
ユーロドルは3月の下げを4月に入って全て戻したものの1.21台ではユーロの買いも引いてきたという感じでしたが、ドル円では長期的なドル買い方向へと回帰してきたことも併せて考えるとユーロドルは1.21台で当面の高値を見て下方向に切り返してきた動きと見てよさそうです。
今週は欧州主要国の経済指標はあるものの改定値が多く、新たな材料となりそうな経済指標は見当たりません。いっぽうでECB関係者の講演は多く、FRBがテーパリングにすぐには動かないことを明確にしたため、ECBも現在の緩和の手を緩めるような発言が出ることはないでしょう。そうなると、なかなか積極的には動きにくいということになりますが、シンプルに米国と欧州との対比という視点で見れば、ドル高ユーロ安に動きやすいと考えるほうが自然に思えます。
日々の動きを見ながら今週はユーロの下値の目途を探る週になりそうですから、テクニカルに押しの目途を考えてみましょう。日足チャートをご覧ください。
今回は2月高値からの動きで考えます。2月高値から3月安値までの下げに対して78.6%(61.8%の平方根)戻しが1.2127と先週高値にかなり近いターゲットとなっています。また3月安値と先週高値との38.2%押しは1.1979、半値押しが1.1926となっていてこれらの水準の間への下押しの可能性が高そうです。
上値はいったん高値を見たことから1.20台後半での戻り売りが出てくるでしょうから、今週は1.1950レベルをサポートに1.2080レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートを見てみましょう。
ユーロ円は依然として昨年10月安値からのサポートラインが効いていて、先々週にサポートラインで反発、先週は3月高値を終値ベースで明確に上抜けてきたことから、3月高値の130.66レベル水準をサポートとしやすい流れになってきたことがわかります。
週足ベースで考えると2018年高値と2020年安値の78.6%(61.8%の平方根)戻しが132.55となっていて、かなり近づいてきていることから上値もそろそろターゲットに近いということになります。短期的には高値圏でもみあいの後、調整が入りやすくなるものの上記サポート水準は下抜けずという展開が予想されます。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。
5月3日(月)
**:** 東京、中国、LDN市場休場
15:00 ドイツ3月小売売上高
16:50 フランス4月製造業PMI
16:55 ドイツ4月製造業PMI
17:00 ユーロ圏4月製造業PMI
5月4日(火)
**:** 東京、中国市場休場
17:00 フランス中銀総裁講演
17:30 英国4月製造業PMI
5月5日(水)
**:** 東京、中国市場休場
16:50 フランス4月サービス業PMI
16:55 ドイツ4月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月PPI
23:00 レーンECB理事講演
**:** 英中銀MPC(〜6日)
5月6日(木)
15:00 ドイツ3月製造業新規受注
17:30 英国4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月小売売上高
20:00 英中銀MPC結果発表
22:15 シュナーベルECB理事講演
**:** スコットランド選挙
5月7日(金)
15:00 ドイツ3月貿易収支、鉱工業生産
15:45 フランス3月貿易収支、鉱工業生産
17:30 英国4月建設業PMI
19:00 ラガルドECB総裁講演
21:30 米国4月雇用統計
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
4月26日(月)
ユーロドルは東京昼過ぎに1.2117レベルの高値をつけたものの、1.21台では利食い売りも目立ったこと、またザラ場ベースでのチャートがヘッド&ショルダーパターンとなったこともあって欧州市場昼以降は売りが強まりました。NY前場に1.2061レベルの安値をつけましたが、引けにかけては買い戻しも出て、ドルは全般に方向感がはっきりしない週初となりました。
4月27日(火)
東京市場のドル円は多少の下押しを挟みながらも実需買いに支えられて底堅い値動きを続けました。海外市場に移ってからも高値安値ともに切り上げる展開となり、NY市場昼前には米金利が上昇する動きとともにドル買いとなり、108.77レベルまで上昇後、高値圏での引けとなりました。
ユーロドルは東京市場ではドル円同様にややドル買いの動きとなったことからユーロ売りが先行しましたが下げきれずに欧州市場入り。海外市場に移ってからは買い戻しが入り、ドル円とともにユーロ円でも買いが入ったことから底堅い地合いとなりました。しかし、買いにも勢いが無いまま方向感が定まらないままの1日となりました。
4月28日(水)
FOMCを前にして積極的な取引は手控えられていたものの全般にドルが底堅い動きとなったことからユーロドルの上値は重たい流れでNY市場に入りました。NY市場に入りイベント前のポジション調整からユーロドルは若干買い戻されての発表待ち。FOMCでは現在の金融政策を維持しテーパリングを議論する時期ではないとしたことから、直後はドル買いで反応しました。しかし米金利が低下しドル売りの流れに転じユーロドルは1.2125レベルの高値引けとなりました。
4月29日(木)
東京市場が休場となった29日は朝方こそFOMC後のドル売りの流れを継続し、ユーロドルは1.2150レベルの高値をつけましたがそこまで。米金利が上昇し金曜の水準を上抜けるとドル買い戻しとなり。またNY市場前場には強い米国GDPも手伝って、1.2102レベルへと水準を下げ、引けにかけては米金利低下とともに欧州市場の水準へと戻して引けました。
4月30日(金)
ユーロドルは東京市場では動かなかったものの、欧州市場序盤にはユーロに対ドル、対円で売りが入り前日安園を下回ると短期筋のストップも出てじり安の展開となりました。NY市場ではドル買いの動きからユーロドルは続落し1.2016レベルまで水準を下げて週間安値水準で引けました。
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