ドル高リスク高いが、ジンクスは気掛かり(週報5月第1週)

先週のドル/円相場はドル買い優勢。週足も前週までの3週連続で陰線引けから一転、実体部だけで1.5円ほどと、なかなかの長さの陽線引けだった。

ドル高リスク高いが、ジンクスは気掛かり(週報5月第1週)

ドル高リスク高いが、ジンクスは気掛かり

〇先週のドル円、週末にかけ109.38まで1円を大きく超える急反発
〇多くのクロスでも円安が進行、ユーロやカナダ、スイスなどは年初来高値を更新
〇FOMC、金融緩和策について「縮小を検討する段階ではない」と慎重姿勢を継続
〇5月相場入り、アジア時間は薄商いで投機筋などの仕掛け的な動きに注意
〇今週は4月ISM製造業景況指数や雇用統計など重要な米経済指標が連日発表
〇今週のドル/円予想レンジは、108.20-110.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドル買い優勢。週足も前週までの3週連続で陰線引けから一転、実体部だけで1.5円ほどと、なかなかの長さの陽線引けだった。

前週末、新型コロナの感染拡大を受け、「東京などに緊急事態宣言」が発令されたほか、タス通信が「米露首脳会談、6月実施で調整中」などと報じ、物議を醸していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は107.95円レベルで寄り付いたのち、小緩むと週間安値の107.64円を示現。しかし、前週安値107.48円を割り込めずに流れが反転するとドルは逆行高をたどり、週末にかけて109.38円まで1円を大きく超える急反発をたどっていた。週末NYは、そこからやや小緩んだ109.30円前後で取引を終え、越週している。
なお、先週はドル/円以外、多くのクロスでも円安が進行。実際、ユーロ/円やカナダ/円、スイス/円などは年初来高値を更新する局面も観測されていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナ」と「日米金融政策」について。
前者は、新型コロナの感染状況が国や地域によってマチマチとなっていることが話題に。たとえば、フランスはカステックス首相が「新型コロナの第3波は過ぎ去った」と述べるような状況である反面、同じ欧州でもドイツは4月24日から「夜間外出禁止措置」という非常に強い措置の導入が決定されている。また北米も同様。米当局がワクチン接種した人という条件付きながら「マスク無しで一部の屋外会食など可能に」という認識を示した反面、カナダは新型コロナ変異株による感染拡大が深刻化する東部オンタリオ州に、軍の医療支援チームを投入することを発表している。なお、アジアは先で指摘した「東京など4都府県に緊急事態宣言」が発令された日本もさることながら、インドの感染拡大が深刻な状況に。

対して後者は、4月27日、日銀は金融政策決定会合の結果として「政策金利の維持」と発表したほか、「物価見通しは下方修正」、「景気は基調としては持ち直している」などと指摘していた。内容的には、ほぼ予想通り。一方、FRBはFOMCで、景気の現状認識を上方修正したものの、金融緩和策については「縮小を検討する段階ではない」といった慎重姿勢を継続していた。また、そののちの記者会見でパウエル議長から「目標が達成されるまで、ゼロ金利が適切」、「インフレ率が持続的に上昇する公算は小さい」などとする発言が聞かれていたようだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円は3月31日の110.97円を目先高値に調整局面入りしていた感がうかがえたが、それもおよそ3週間、3.5円ほどの下押しで終了したようだ。前述したように、先週は再びドル買い・円売りが優勢で、最大では1.5円を超えるドルの反発を記録している。基本的にはドルの下値リスクはそれほど高くなく、むしろドル高方向にバイアスがかかりそう。ただ若干気になるのは、「東京休場時は円高に振れやすい」というマーケットジンクスだ。ドル/円の上値をあまり追い掛けては買いたくないとの指摘も聞かれていた。

前述したような状況下、今週は大きく2つの要因に注目。ひとつは名実ともに5月相場入りすることや、日本のゴールデンウイーク、中国労働節などを受けた各種の需給要因になる。とくにアジア時間は薄商いとなることが予想されるだけに、投機筋などの仕掛け的な動きにも注意を払いたい。また、もうひとつは、引き続き広義の米ファンダメンタルズで、今週も週末の4月雇用統計を中心に重要な米経済指標などが発表されるだけに、それらの内容を警戒する声も少なくないようだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円はややドルの戻り歩調が優勢。3月末に記録した前回高値110.97円を起点とした下げ幅の38.2%戻しに続き、半値押しの109.22円レベルでは一旦上げ止まったものの、週末にかけてしっかりと上抜けてきた。フィボナッチの観点で見た場合には、次のターゲットは61.8%戻しに当たる109.65円となり、それを超えると110円レベルがターゲットに。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「バイデン米大統領による政権運営」−−などが注視されている。
そうしたなか今週は、4月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標が連日発表される見込みであり、また開催されるG7外相会合などの国際会議にも一応要注意。後者については、あわせて開催される予定の日米外相会談など、二国間協議も場合によって波乱要因となりかねないかもしれない。

そんな今週のドル/円予想レンジは、108.20-110.50円。ドル高・円安については、先週高値の109.38円やフィボナッチターゲットの109.65円などをめぐる攻防がまずは注目され、超えれば110円台回復も。
対するドル安・円高方向は、先週末にかけて再び上回ってきた移動平均の21日線(週初段階108.90円前後に位置)が維持できるか否かを注視したい。また、ジワリと右肩上りの展開をたどる一目均衡表の先行帯の雲をめぐる攻防にも同様に注目だ。

ドル高リスク高いが、ジンクスは気掛かり

ドル円日足

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