『リラ売り地合いが継続中。来週はインフレ指標とトルコ中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、米土関係悪化に週明け早々年初来安値更新、12.70の5ヶ月ぶり安値つける
〇売り一巡後は下げ渋り13.37まで反発、13.19での越週
〇トルコ円のテクニカルさらなる下落意識させるチャート形状
〇ファンダメンタルズもトルコ中銀利下げ観測、感染拡大とトルコ経済先行き不透明感等売り材料多い
〇来週はトルコのCPI、PPI、中銀政策決定会合等に注目
〇トルコリラには下落圧力が加わり易い展開が続くか
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):12.70ー13.40
今週のレビュー(4/26−4/30)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、@米ートルコ関係の悪化懸念(バイデン米大統領がオスマン帝国時代のアルメニア人殺害を「ジェノサイド」と認定)を背景に、週明け早々に週間安値12.70円(年初来安値を更新し、昨年11/10以来、約5ヶ月半ぶり安値圏)まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Aトルコ中銀による為替介入観測や、B短期筋のショートカバー、Cエルドアン大統領による「6月の米トルコ首脳会談で意見の相違を話し合う」「両国関係の新しいドアを開く」といった前向きな発言(米ートルコ関係悪化懸念の後退)、
Dトルコ中銀・四半期インフレレポートに於けるインフレ予測の上方修正(2021年末:9.4%→12.2%、2022年末:7.0%→7.5%)、E上記Dを背景とした利下げ観測の後退が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値13.37円まで上昇しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、Fカブジュオール・トルコ中銀総裁による「インフレ率は4月をピークに下方トレンドに入る」との発言(インフレレポートはインフレ率の上昇を予測するも、カブジュオール総裁はインフレ率の低下を予測→両者の食い違いが市場の混乱を招く形でリラ売りに波及)が重石となり、結局13.19円前後まで値を崩しての越週となっております。
来週の見通し(5/3−5/7)
トルコリラの対円相場は、2/16に記録した約半年ぶり高値15.28円をトップに反落に転じると、今週初にかけて、約5ヶ月半ぶり安値となる12.70円まで下落しました。この間、一目均衡表基準線や200日移動平均線を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、更なる下落を意識させるチャート形状となっております(上値余地は乏しい)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@トルコ中銀による利下げ観測(※エルドアン大統領は利上げ支持派のアーバル総裁を3/20に解任し、利上げ懐疑派のカブジュオール総裁が後任に就任)や、A上記@を背景とした資本流出圧力(政府・中銀への信頼性低下)、B新型コロナウイルスの感染拡大懸念(エルドアン大統領は、4/29ー5/17まで全国的なロックダウンを実施すると発表)、Cトルコ経済の先行き不透明感、D対米関係の悪化懸念(バイデン米大統領によるジェノサイド認定)、E米早期テーパリング観測(過剰流動性相場の逆流リスク)など、トルコリラ売りを想起させる材料が増えつつあります。
こうした中、来週は5/3に予定されているトルコ4月消費者物価指数、トルコ4月生産者物価指数、5/6のトルコ中銀金融政策決定会合に注目が集まります。インフレ低下が確認されれば、追加利下げ観測高進でリラ売り加速、インフレ上昇が確認されれば、実質金利低下でリラ売り加速が見込まれるなど、いずれのパターンに於いてもトルコリラには下落圧力が加わり易い展開が続くと考えております。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):12.70ー13.40
トルコ円日足
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