トルコリラ円見通し 2日連続陽線で26日からの反騰を継続するも材料に欠ける(21/4/28)

4月27日夜にはドル円が108.50円を超える上昇となり、3月31日以降の下降トレンドから脱却してきた。

トルコリラ円見通し 2日連続陽線で26日からの反騰を継続するも材料に欠ける(21/4/28)

2日連続陽線で26日からの反騰を継続するも材料に欠ける

〇トルコリラ円、26日夜にかけ売られすぎの反動で13円台回復、27日深夜高値で13.25まで続伸
〇対ドルは26日に8.48まで大幅続落27日高値で8.15まで戻し、28日午前序盤は8.19-23の範囲で推移
〇米FOMC前調整と無関係にトルコリラは対円及び対ドルで戻した印象
〇消費者物価上昇率が政策金利の19%に迫るなら利下げ催促のリラ売りで史上最安値を割り込む可能性も
〇13円以上で推移なら上昇余地あり、13.25超えから13.30前後を目指すとみて13.30以上は反落注意
〇13.00割れから下げ再開、12.80台への下落を想定し12.85以下は反発注意

【概況】

トルコリラ円は4月26日夕刻安値で12.67円まで一段安となり3月22日暴落以降の安値を更新したが、26日夜にかけては売られ過ぎの反動で13円台回復へ急反発となり、27日も深夜高値で13.25円まで続伸した。26日夕刻発表のトルコ製造業景況感や設備稼働率等が予想を上回ったことはプラスだったが、急反騰の材料としては迫力に欠けるものであり、材料的な反騰というよりも直前に6日間連続の日足陰線で大幅下落したことに対するリバウンドという印象だ。
4月27日夜にはドル円が108.50円を超える上昇となり、3月31日以降の下降トレンドから脱却してきた。29日未明のFOMC声明発表前の買い戻しの動きだが、27日のトルコリラ円の上昇に寄与したようだ。

ドル/トルコリラは4月27日高値で8.15リラまで戻した。4月26日夕刻には8.48リラまで大幅続落して3月22日からの暴落で付けた3月30日安値8.45リラを超えて昨年11月6日に付けた史上最安値8.57リラ以来の安値となったが、その後は急落し過ぎへの警戒感から買い戻しが急がれ、買いの連鎖反応で27日早朝には8.24リラまで戻し、さらに27日深夜に8.15リラへ続伸したという印象だが、深夜以降は再び軟調な推移となり28日午前序盤は8.19リラから8.23リラの範囲での推移となっている。
4月27日は米FOMCを控えて米10年債利回りが上昇したことでユーロやポンド、豪ドルなどが下落、新興国通貨でもメキシコペソや南アランドなどが対ドルで下落したが、トルコリラはそれらの動きとは無関係に対円及び対ドルで戻した印象だ。

トルコ10年債利回りの4月27日終値は17.81%、26日に17.97%へ上昇したところからはやや下げた。3月30日のリラ暴落時に18.60%へ上昇したところから4月15日に17.15%まで低下した後はジリ高基調で推移している。
イスタンブール100株価指数の4月27日は前日比1.31%と上昇、22日からは3日続伸。3月23日へ暴落的に下げたところから4月6日へ戻したものの戻り一巡で4月21日終値では3月23日の暴落時終値を割り込んだが、その後は下げ一服で持ち直している。

【5月3日の物価上昇率、5月6日の中銀金融政策決定会合前の下げ一服】

トルコリラ円の4月26日と27日の日足陽線は勢いのあるV字反騰であり安値から0.58円の上昇幅だが、勢いとしては3月30日安値13.01円から4月2日高値13.84円まで0.83円の上昇幅で反騰した時に近い動きと思われる。急落一服ではあるが、リラ反騰継続への力強い材料は見当たらず、戻り一巡後には再び安値試しへ向かい始めるのではないかと警戒されるところだ。

昨年6月3日の戻り高値16.25円から11月6日の史上最安値12.03円までの下落規模は5か月で下げ幅4.22円であった。その前は2019年12月2日高値19.11円から2020年5月7日安値14.64円まで5か月で下げ幅4.20円であった。同じ規模での下落がさらに続くとは限らないが、仮に今回の下落規模がそれらと同様とすれば、2月16日高値15.26円を起点として5か月間の下げなら7月半ばへ、4円強の下げ幅なら11円前後試しへと向かう可能性も考えておく必要がある。

5月3日に4月のトルコ消費者物価及び生産者物価の上昇率発表があり、5月6日には新総裁下での二度目の金融政策決定会合がある。物価上昇が収まらないうちは利下げしないとカブジュオール新総裁は市場に約束しているが、エルドアン大統領による利下げ圧力に抗しきれるのかどうかは定かではない。前回会合では「必要に応じて追加利上げの用意がある」とのアーバル前総裁下での文言は削除されており、消費者物価上昇率が政策金利の19%に迫るようだと利下げ催促的なリラ売り攻勢により昨年11月6日安値を割り込んでゆく展開も考えられる。消費者物価上昇率の前年比は3月時点で16.19%、4月の上昇率に対する市場予想は17.63%。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月26日午後への一段安とその後の反騰を踏まえて26日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期は22日夜高値を基準として27日から29日夜にかけての間と想定した。28日早朝へ高値を切り上げているので引き続きトップ形成中とみるが、すでに反落注意期に来ているとみて13.10円以下での推移が続く場合は下向きとし、13.00円割れからは弱気サイクル入りとみて29日午後から5月3日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日深夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。その際は先行スパン下限が下値支持線となりやすいとみるが、先行スパン転落からは下げ足が早まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は27日深夜への上昇で80ポイントに到達してから50ポイント台へ低下している。50ポイント以上での推移中は65ポイント超えから上昇再開とするが、その場合は相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がると弱気逆行となり下落再開へ進みやすくなると注意する。50ポイント割れからは弱気転換とみて30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、13.00円を下値支持線、13.25円を上値抵抗線とする。
(2)13円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.25円超えからは13.30円前後を目指すとみる。13.30円以上は反落注意とするが、13.10円以上での推移なら29日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.00円割れからは下げ再開とみて12.80円台への下落を想定する。12.85円以下は反発注意とするが13円以下での推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月29日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 98.9、予想 97.0)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 4/23時点 (4/16時点 496.9億ドル)
4月30日
 16:00 3月 貿易収支 (2月 -33億ドル、予想 -24億ドル)
 16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 39.1億ドル、予想 37.6億ドル)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 -68.96%、予想 -72%)  
5月3日
 16:00 4月 消費者物価 前月比 (3月 1.08%、予想 2.1%)
 16:00 4月 消費者物価 前年同月比 (3月 16.19%、予想 17.63%)
 16:00 4月 生産者物価 前月比 (3月 4.13%、予想 3.6%)
 16:00 4月 生産者物価 前年同月比 (3月 31.2%、予想 34.21%)
 16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 52.6
5月6日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.0%、予想 19.0%)


注:ポイント要約は編集部

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