ドル円見通し 米長期債利回り上昇とFOMC前の買い戻しで3月31日以降の下降トレンドから脱却(21/4/28)

27日の日中へ続伸した段階で4月6日夜高値と9日夜及び13日午後の戻り高値を結んだ下降トレンドの抵抗線を突破した。

ドル円見通し 米長期債利回り上昇とFOMC前の買い戻しで3月31日以降の下降トレンドから脱却(21/4/28)

米長期債利回り上昇とFOMC前の買い戻しで3月31日以降の下降トレンドから脱却

〇ドル円、27日深夜に米長期債利回り上昇により108.50を超え、28日早朝に108.77まで切り上げる
〇米4月消費者信頼感指数は121.7で前月から大幅上昇、発表後に米長期債利回りが上昇しドル円も上昇へ
〇米FOMC、テーパリングの時期を意識する内容や景気見通しが従来よりも強気へ傾斜の場合は注意
〇米長期債利回りの再上昇とドル高再開感が強まる可能性も
〇108.50以上で推移か割り込んでも切り返すうちは109円試しとみる
〇108.50割れから続落の場合弱気転換注意、108.25割れから下げに入るとみて108円前後試しへ

【概況】

ドル円は4月23日夜安値107.46円で3月31日高値110.96円以降の安値を更新したが、その後は下げ渋り、26日深夜の上昇で23日深夜の戻り高値を上抜いて戻り高値切り下がりパターンから脱却、27日の日中へ続伸した段階で4月6日夜高値と9日夜及び13日午後の戻り高値を結んだ下降トレンドの抵抗線を突破した。27日深夜には米長期債利回りの上昇が顕著となったことで108.50円を超えて28日早朝には108.77円まで戻り高値を切り上げている。米FOMCの初日が始まり、29日未明の声明発表と議長会見を控えてポジション調整的な買い戻しが優勢となり、米長期債利回りの上昇がそのきっかけになったようだ。

4月27日のNYダウは前日比3.36ドル高、ナスダック総合指数は48.56ポイント安と小動き。前日比に史上最高値を更新したS&P500種指数は前日比0.90ポイント安と小幅下落。FOMC前で様子見の動きに終始した。
米連邦住宅金融局(FHFA)が発表した2月住宅価格指数は前月比0.9%上昇で市場予想及び1月の1.0%を下回ったが前年同月比は12.2%上昇となった。2月S&Pケース・シラー住宅価格指数(全米主要20都市)は前年比11.9%上昇となり市場予想の11.6%及び1月の11.1%を上回った。
米コンファレンス・ボードによる4月消費者信頼感指数は121.7で3月の109.0から大幅上昇、市場予想の113.0を上回り昨年2月以来の高水準となった。現況指数は3月の110.1から139.6へ大幅上昇、期待指数も3月の108.3から109.8へ上昇した。最近の米経済指標は総じて強いが、同指数発表後に米長期債利回りが上昇、ドル円も上昇した。

【米10年債利回りが1.60%を超える】

米10年債利回りは3月30日に1.77%まで上昇したところから低下に転じ、4月16日には1.53%まで下げたが、4月20日午後に1.62%台へ戻したところから再び下げた。22日午前及び23日夜は1.53%台にとどまり一段安は回避されていた。26日夜へ上昇したところでは1.60%に届かなかったために低水準にとどまった範囲として市場の反応もさほど大きくなかったが、27日夜は1.60%を超えて1.63%へ迫ったことでドル高感が強まった。
ユーロドルやポンドドル、豪ドル米ドルなどにおけるドル高はさほどではなかったもののドル円の上昇が相対的に顕著になったためにユーロ円の反騰などでクロス円全般における円安による上昇が目立った。

米FOMCは4月27日に初日を迎えた。29日未明には声明文を発表して議長会見が行われる。実質ゼロ金利と拡大されてきた量的緩和規模については現状維持と予想されているが、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きワクチンが普及したことによる経済活動の活発化で最近の米景気指標は軒並み良好であり、消費者物価の上昇傾向が続いていることでテーパリング=量的緩和の縮小を開始する時期が早まるのではないかとの見方も強まりつつある。今回のFOMCでテーパリングの時期について市場が意識させられる様な内容になる場合や景気見通しが従来よりも強気へ傾斜する場合等では米長期債利回りの再上昇とドル高再開感が強まる可能性もある。

ドル円は1月6日安値102.57円を大底として3月31日高値110.96円まで上昇してきたが、その背景は米長期債利回りの上昇であり、その後の下落は米長期債利回り低下によるものだった。FOMC後の米長期債利回り動向によっては4月23日安値で調整安を消化して上昇再開へ向かうきっかけになるところと注目したい。日足チャートは4月23日が長い下ヒゲのタクリ足となり、26日、27日と連続陽線となった。28日も3日連続陽線=赤三兵となれば上昇再開感が強まり、26日移動平均(現在109.19円)を超えてくれば3月31日高値超えを目指す上昇期入りという印象が強まるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月20日午前安値を前回のサイクルボトム、20日夕高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして23日午前から27日午前にかけての間への下落を想定してきたが、23日夜安値から23日深夜に108円超えへ戻して26日深夜にも戻り高値を切り上げたため、27日朝時点では23日夜安値で直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期は23日夜から27日夜にかけての間と想定されるとしたが、下落期間が長引いた後に上昇基調へ転じる場合は当初のサイクルトップ形成期が伸びることも多いとした。
28日早朝へ一段高しているため引き続きトップ形成中とし、23日深夜の戻り高値を基準として高値形成期を28日の日中から30日深夜にかけての間へ延長する。ただし108.50円割れからは弱気転換注意とし、108.25円割れからは弱気サイクル入りとして28日夜から30日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き返したが、その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からは下げ再開を警戒するが、その際は先行スパン上限が下値支持線となりやすいとみる。ただしFOMC後の反応で先行スパンから転落する場合は下げ足が早まりやすいと注意する。

60分足の相対力指数は28日早朝への上昇で70ポイント台へ乗せてきている。60ポイント前後までを下値支持線としてまだ一段高余地ありとみるが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生する場合は下げ再開を警戒し、50ポイント割れからはいったん仕切り直しの下落期に入るとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.25円を下値支持線、109.00円を上値抵抗線とする。
(2)108.50円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは109円試しとみる。FOMC前段階では109円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、FOMC後に急伸する場合は上値目途を109.50円前後試しへ引き上げる。
(3)108.50円割れから続落の場合は弱気転換注意とし、108.25円割れからはいったん下げに入るとみて108円前後試しとする。108円以下は買われやすいとみて、FOMCから反騰入りの場合は23日夜以降の高値更新から上昇再開とするが、FOMCから下落反応となる場合は4月23日安値107.46円をもう一度試す流れへ進みやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

4/28(水)
バイデン米大統領、上下両院合同会議で演説
OPECプラス共同閣僚監視委員会(JMMC)、閣僚級会合
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価 前期比 (10-12月 0.9%、予想 0.9%)
10:30 (豪) 1-3月期 消費者物価 前年同期比 (10-12月 0.9%、予想 1.4%)
15:00 (独) 5月 GFK消費者信頼感 (4月 -6.2、予想 -3.5)
23:00 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利 (現行 0.00-0.25%、予想 0.00-0.25%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見

4/29(木)
休場、日本
07:45 (NZ) 3月 貿易収支 (2月 1.81億NZドル、予想 0.33億NZドル)
10:30 (豪) 1-3月期 輸入物価指数 前期比 (10-12月 -1.0%、予想 -1.6%)
15:00 (独) 3月 輸入物価指数 前月比 (2月 1.7%、予想 1.0%)
15:00 (独) 3月 輸入物価指数 前年同月比 (2月 1.4%、予想 6.0%)
16:55 (独) 4月 失業者数 前月比 (3月 -0.80万人、予想 -1.00万人)
16:55 (独) 4月 失業率 (3月 6.0%、予想 6.0%)
18:00 (欧) 4月 消費者信頼感・確定値 (速報 -8.1)
18:00 (欧) 4月 経済信頼感 (3月 101.0、予想 102.1)

21:00 (独) 4月 消費者物価指数速報値 前月比 (3月 0.5%、予想 0.5%)
21:00 (独) 4月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (3月 1.7%、予想 1.9%)
21:30 (米) 週間 新規失業保険申請件数 (前週 54.7万件、予想 55.8万件)
21:30 (米) 週間 失業保険継続受給者数 (前週 367.4万人、予想 359.0万人)
21:30 (米) 1-3月期 GDP速報値 前期比年率 (10-12月 4.3%、予想 6.6%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (10-12月 2.3%、予想 10.3%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE速報値 前期比年率 (10-12月 1.3%、予想 2.4%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前月比 (2月 -10.6%)
23:00 (米) 3月 住宅販売保留指数 前年同月比 (2月 -2.7%)
24:00 クォ―ルズFRB副議長、講演


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る