トルコリラ円見通し 7日ぶり反騰、3月22日暴落以降の安値更新後に買い戻される(21/4/27)

26日夜には13円台を回復した。27日朝には13.09円まで戻り高値を切り上げている。日足は長い下ヒゲを付け、7営業日ぶりに陽線引けした。

トルコリラ円見通し 7日ぶり反騰、3月22日暴落以降の安値更新後に買い戻される(21/4/27)

トルコリラ円見通し 7日ぶり反騰、3月22日暴落以降の安値更新後に買い戻される

〇トルコリラ円、4/26夕刻安値で12.67まで一段安となるが夜には13円台を回復、7営業日ぶりの陽線引け
〇対ドル、4/26夕刻8.48リラまで大幅続落したが4/27早朝には8.24リラまで戻す、7営業日ぶりの陽線
〇4/26のトルコ10年債利回り、17.97%へ上昇、イスタンブール100は2連騰
〇昨日発表のトルコ製造業景況感・設備稼働率ともに堅調な推移
〇トルコ大統領、米国にジェノサイド認定を撤回するよう呼びかけ、米国との関係悪化は避けたいところ
〇12.90以上での推移中は上昇余地ありとし、13.15超えからは13.20前後を目指すとみる
〇12.85割れからは下げ再開とみて、12.70前後への下落を想定する。

【概況】

トルコリラ円は4月23日夜安値で12.78円まで下落して3月22日暴落以降の安値を更新していたが、週明けの26日は夕刻安値で12.67円までさらに一段安した。しかし16時発表のトルコ製造業景況感や設備稼働率等が予想を上回ったことや4月16日から23日までの6日連続日足陰線による大幅下落に対する突っ込み警戒感からの買い戻しにより26日夜には13円台を回復した。27日朝には13.09円まで戻り高値を切り上げている。日足は長い下ヒゲを付け、7営業日ぶりに陽線引けした。

ドル/トルコリラは26日夕刻に8.48リラまで大幅続落して3月22日からの暴落による3月30日安値8.45リラを割り込んで昨年11月6日に付けた史上最安値8.57リラに迫った。しかし急落し過ぎへの警戒感から買い戻しに入り、27日早朝には8.24リラまで戻している。
日足は4月16日から23日まで6日連続陰線で急落してきたが、26日は7営業日ぶりの陽線となった。3月30日高値とのダブル底及び昨年11月6日底とのダブル底という意味で二重のダブル底で踏み止まる可能性もあるが、急落一服後に再び下げ始めるようだと二重のダブル底を破って下げ足が一段と強まる可能性もあると警戒される。

トルコ10年債利回りは4月26日終値で17.97%へ上昇した。3月30日へのリラ暴落時に18.60%へ上昇したところから4月15日に17.15%まで低下したが、その後は徐々に水準を切り上げてきている。
4月26日のイスタンブール100株価指数は前日比2.14%と上昇、23日は休場だったが22日の1.1%高から連騰となった。3月23日へ暴落的に下げたところから4月6日へ戻したが、戻り一巡から21日にかけて下落して終値ベースでは4月21日時点で3月23日への暴落時終値を割り込んだが、下げ一服でやや持ち直しているところ。
トルコリラ、トルコ債、株式市場ともにやや波乱含みの展開が続く。

【トルコ製造業は堅調】

トルコの4月製造業景況感は111.0となり3月の110.8から上昇、市場予想の105への悪化見通しを上回った。昨年4月はコロナショック第一波の影響で66.8まで悪化していたため、前年比では66.2%上昇となった。またコロナショック前の水準が昨年2月時点で106.9だったが今年1月に107.0へ上昇して回復しその後も若干の上昇を継続している。

トルコリラ円見通し 7日ぶり反騰、3月22日暴落以降の安値更新後に買い戻される

トルコの4月設備稼働率は75.9%で3月の74.7%から上昇した。昨年4月にコロナショックで61.6%まで低下した後は持ち直しを続けており、11月に75.8%まで上昇した後は伸び悩みとなっていたが、4月は11月の水準も上回ってきた。感染拡大の第三波が来ており、トルコ経済への影響も懸念される状況にはあるが、製造業関連では堅調な数字を維持している印象だ。

【トルコのロックダウン強化】

トルコ政府は4月26日に新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するため4月29日から5月17日まで全国的なロックダウン措置を実施すると発表した。都市間の移動には全て当局による承認が必要となり、全学校の閉鎖で授業はオンラインのみとなり、公共交通機関では厳格な定員制限が課される。生活必需品の買い物や緊急の医療行為を除き外出が制限されるが救急隊員や食品業、製造業の従業員などの制限は一部免除される予定。
トルコ保健省によると、4月26日の新規感染者数は3万7312人、累計は466.7万人となった。4月20日に新規感染者数が6万5363人に達して感染拡大第二波のピークだった12月8日の3万3198人を大幅に超えたが、その後は6万人前後で推移しつつ24日に5万人を割り込んでから減少傾向を見せ始めている。
トルコ政府は3月29日から国内の移動と集会の規制に入り、イスラム教の断食(ラマダン)の4月13日から5月12日までを週末全土でロックダウンを行うとしてきたがロックダウンの強化を余儀なくされた状況だ。

【5月3日のインフレ率、5月6日の次回金融政策会合へ向け方向感探る】

トルコ中銀のカブジェオール総裁は4月23日のTVインタビューで「インフレ率が目標の5%に低下するまでは金融引き締め策を維持する」と述べたが、「政策金利を現行水準から引き上げれば実体経済に悪影響が及ぶ恐れがある」と述べた。利下げをする環境には至っていないものの利上げは却って悪影響となるのと考え方であり、「高金利で誰が喜ぶのか?」とも述べたようだ。
いずれは利下げしたいとのエルドアン大統領と同じ思考とすれば少なくとも利上げはしたくないという姿勢が続くと思われ、投資家にとってはリラ防衛への積極姿勢の欠如としてリラ売り材料視される発言だ。この発言もあって26日の夕刻にかけてリラ安が加速したと思われる。仮にトルコのインフレ率がさらに上昇して政策金利を上回った場合に利上げをしなければ、市場は利上げ催促によりリラ売り攻勢を仕掛けることになるのではないかと思われる。

【米国との関係悪化への懸念】

バイデン米大統領は4月24日に第1次世界大戦中に起きたオスマン帝国によるアルメニア人の大量殺害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定した。また23日にはエルドアン大統領と電話による首脳会談を行い、NATO首脳会議に合わせて首脳会談を行うことで合意した。
エルドアン大統領は4月26日に「ジェノサイド」と認定したことを撤回するよう米国に呼び掛けた。26日の閣議後には「米大統領は100年以上前に起きた不幸な事件について根拠がなく、不公正で誤った見解を示した」「米大統領ができるだけ早くこの誤った対応を翻すよう願っている」と述べた。また6月のNATO首脳会議においては米国との関係で「新たな時代への扉を開けたい」とも述べた。ジェノサイド認定はトルコ現政権にとっては受け入れがたいことだが、これをもって米トルコ関係が極めて深刻な対立状況に陥ることは双方ともに避けたいところか。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月26日午後への一段安とその後の反騰を踏まえ、26日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。高値形成期は22日夜高値を基準として27日から29日夜にかけての間と想定するが、大幅続落後の反騰のために戻りは短命の可能性もあるとみて12.90円割れを弱気転換注意とし、12.85円割れからは弱気サイクル入りとして29日から5月3日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では26日深夜への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、遅行スパン転落からは下げ再開を警戒し、先行スパン転落から一段安へ向かいやすくなるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は26日深夜への上昇で70ポイントに到達、その後も60ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとし、弱気転換は50ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.85円を下値支持線、13.15円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以上での推移中は上昇余地ありとし、13.15円超えからは13.20円前後を目指すとみる。13.20円以上は反落注意とするが、12.90円以上での推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.85円割れからは下げ再開とみて12.70円前後への下落を想定する。12.75円以下は反発注意とするが、12.85円を割り込んだ後も12.90円以下での推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月29日
 16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 98.9、予想 97.0)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 4/23時点 (4/16時点 496.9億ドル)
4月30日
 16:00 3月 貿易収支 (2月 -33億ドル、予想 -24億ドル)
 16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 39.1億ドル、予想 37.6億ドル)
 17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 -68.96%、予想 -72%) 
5月3日
 16:00 4月 消費者物価 前月比 (3月 1.08%、予想 2.1%)
 16:00 4月 消費者物価 前年同月比 (3月 16.19%、予想 17.63%)
 16:00 4月 生産者物価 前月比 (3月 4.13%、予想 3.6%)
 16:00 4月 生産者物価 前年同月比 (3月 31.2%、予想 34.21%)
 16:00 4月 イスタンブール製造業PMI (3月 52.6
5月6日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 19.0%、予想 19.0%)


注:ポイント要約は編集部

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る