トルコリラ円見通し 暴落商状の一服は続くが円高に圧迫される
〇トルコリラ円、ドル円の下落に圧迫され4/19深夜13.30まで下落、高安レンジから下放れつつある
〇対ドル、レンジ内にとどまっての推移、4/19夕刻8.01リラまで上昇した後はややジリ安の推移
〇リラ暴落・トルコ国債暴落・株暴落のトリプル安は落ち着いているが、上昇再開へ向かう兆しは見えず
〇トルコの地政学的リスク、先週から緊張感が高まり始めている印象、今後に警戒
〇13.40以下での推移中は一段安警戒とし、13.30以下での推移が続く場合は13.26試しへ向かうとみる
〇13.43を超える場合は、13.50を目指す反騰入りを想定する
【概況】
トルコリラ円は4月15日夜のトルコ中銀政策金利発表直後に乱高下したところの13.56円から13.30円までのレンジ内推移が続いているが、ドル円の下落に圧迫されて19日深夜には13.30円まで下落しており、15日の高安レンジから下放れつつある。
対ドルでのトルコリラは4月15日夜の7.98リラから8.15リラまでの高安レンジ内にとどまっての推移が続いており、19日夕刻に8.01リラまで上昇した後はややジリ安の推移で20日午前序盤は8.10リラ近辺での推移となっている。
3月19日のアーバル前中銀総裁の突然の解任報道によるリラ暴落がひとまず落ち着き、4月15日に新任のカジュブオール総裁が政策金利を据え置いたことで暴落再開をひとまず回避しているのだが、為替市場全般でのドル安基調の中にあってドル/トルコリラが小動きを続ける一方でドル円の下落が進行していることで4月16日と19日のトルコリラ円は2日連続の日足陰線で下げており、円高圧力が続くようだと4月15日の高安レンジを下放れて3月30日安値13.01円へ迫る流れとなりかねないところだ。
4月19日のトルコの10年債利回りは17.29%。リラ暴落時の3月30日に18.60%まで急上昇した後は17.50%を挟んでの小動きとなり、15日には17.15%へ低下したもの小康状態の範囲で落ち着いている。
4月19日のイスタンブール100株価指数は前週末比2.2%安と下落した。欧米株安に圧迫された印象だが、3月22日への暴落から4月6日へいったん持ち直したもののその後はやや上値が重い状況が続いている。
リラ暴落、トルコ国債暴落、トルコ株暴落のトリプル安が落ち着いている状況だが、悪材料出尽くしで総じて上昇再開へ向かう兆しはまだ見えず、小康状態にとどまった状況から再びトリプル安へ向かいかねない危うさを引きずっている印象だ。
【地政学的リスク】
トルコは地政学的リスクと緊張問題を多数抱えているが、先週から各方面で再び緊張感が高まり始めている印象がある。4月15日には東地中海のガス田開発問題での融和を探るべく開催されたトルコとギリシャの外相会談で双方が批判合戦する事態が発生して対立の根深さを印象付けた。
ウクライナ国境にロシア軍が大挙して結集していることで欧米を含めて軍事緊張感が高まっているが、トルコはウクライナに無人機(軍事ドローン)の提供を行っており、ロシアとウクライナの対立関係にも絡んでいる。
4月16日には、トルコが黒海と地中海を結ぶイスタンブール運河の着工方針を表明したが、この運河はボスポラス海峡を迂回するルートとなるため、モントルー条約により黒海沿岸国に制限されている黒海への侵入規制が反古となる可能性もあり、ロシアが神経をとがらせているとの報道もある。米国艦隊が運河を利用して黒海に入る可能性も出てくるわけで、今後の米ロ関係、ロシアとトルコの関係の緊張も警戒されるところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、4月14日夕高値からの反落により15日午前時点では14日夕高値で直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして15日の日中から19日夕にかけての間への下落を想定したが、15日夜の中銀金融政策発表直後の急落から持ち直したために16日午前時点では12日夕安値から3日目となる15日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。また高値形成期は19日午後から21日夕にかけての間と想定したが、戻りは短命の可能性もあるので13.45円割れからは下げ再開注意、13.40円割れからは弱気サイクル入りとした。
4月19日夕刻への下落で13.40円を割り込んだため、16日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして20日午後から22日夜にかけての間への下落を想定する。13.40円前後を上値抵抗として下回るうちは一段安警戒とし、13.40円超えからは強気転換注意として16日午前高値試しを想定する。
60分足の一目均衡表では17日未明への下落で遅行スパンが悪化、19日諭告への下落で先行スパンからも転落した。その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後の悪化から下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。
60分足の相対力指数は19日夕刻からの下落から40ポイント以下での推移が続いているので、40ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、強気転換は50ポイント台回復からとする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、13.26円を下値支持線、13.40円を上値抵抗線とする。
(2)13.40円以下での推移中は一段安警戒とし、13.30円以下での推移が続く場合は13.26円試しへ向かうとみる。13.26円以下は反騰注意とするが、13.35円以下での推移なら21日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.40円から13.43円にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、13.43円を超える場合は13.50円を目指す反騰入りを想定する。また13.40円以上での推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
4月20日
23:30 3月 中央政府債務 (2月 186億リラ)
4月22日
16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 86.7、予想 80.0)
17:00 3月 観光客数 前年比 (2月 -68.96%)
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合・議事要旨
20:30 週次 外貨準備高 4/16時点 グロス (4/9時点 493.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 4/16時点 ネット (4/9時点 99.3億ドル)
4月26日
16:00 4月 製造業景況感 (3月 110.8)
16:00 4月 設備稼働率 (3月 74.7%)
4月29日
16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 98.9)
20:30 週次 外貨準備高 4/23時点
4月30日
16:00 3月 貿易収支 (2月 -33億ドル)
16:00 1-3月期 観光収入 (10-12月 39.1億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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トルコリラ円レポート月曜版(2021年4月19日)
実際のレンジは、安値が13.27レベル、高値が13.54レベルとなり、前週に続いて非常に狭い値幅での取引に終始しました。
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